前回は、プロジェクトを止めずに前へ進めるための仕組みについてお話ししました。
課題を明確にする。
WBSで仕事を分解する。
担当者と期限を決める。
進捗や課題を管理する。
これらは、プロジェクトを成功させるために欠かせない考え方です。
しかし、これだけでプロジェクトが成功するとは限りません。
計画を立て、WBSを作り、進捗会議を開いても、
プロジェクトが前に進まないことがあります。
なぜなら、仕組みだけでは人は動かないからです。
プロジェクトを動かすのは、最後は「人」です。
1. 会議での合意と、本当の合意は違う
プロジェクトでは、
「皆さん、これで進めますが、異論はありませんか?」
という場面がよくあります。
誰も反対しない。
全員がうなずく。
これで安心してしまうことがあります。
しかし、この時点では、本当に合意できているとは限りません。
実際には、
「忙しいから後で考えよう。」
「本当は納得していない。」
「反対しても変わらないだろう。」
そんな気持ちのまま会議を終えている人もいます。
つまり、
反対しないことと、納得して動くことは別なのです。
プロジェクトでは、会議で「Yes」をもらうことではなく、
現場で実際に動いてもらうことが重要です。
2. ステークホルダーとは、個別対話
だから重要になるのが、ステークホルダーマネジメントです。
今回の場合、ステークホルダーとはプロジェクトに影響を与える人、
またはプロジェクトから影響を受ける人です。
例えば、営業部、製造部、管理部、情報システム部、役員。
同じプロジェクトでも、それぞれ立場も評価指標も異なります。
営業は売上を見ています。
製造は工数や品質を見ています。
経営層は利益や会社全体への影響を見ています。
そのため、全員に同じ説明をしても、伝わるとは限りません。
重要なステークホルダーほど、一対一で話す時間を作ることが重要です。
会議では言えない、
「実は現場では難しいと思っている。」
「以前も同じことをやって失敗した。」
「本当の課題は別のところにあるんじゃないか。」
こうした話は、個別に話して初めて聞けることが少なくありません。
一見すると遠回りですが、結果としてこれが最も早くプロジェクトを前へ進めます。
3. 動いていることと、成果が出ていることは違う
プロジェクトでは、「動いているように見える人」にも注意が必要です。
資料は提出される。
期限も守る。
会議にも参加する。
一見すると順調に見えます。
しかし実際には、
・論点が整理されていない。
・判断に必要な情報が不足している。
・次の工程へ引き渡せる品質になっていない。
ということがあります。
プロジェクトで評価すべきなのは、
何をやったかではありません。
次の人が仕事を進められる成果物になっているかです。
活動量ではなく、アウトプットの質を見ることが、
プロジェクトを成功させる上で重要です。
4. 人選は、最大のマネジメント
私は、プロジェクトは人選で8割決まると思っています。
現場を知っている人。
調整力のある人。
意思決定できる人。
数字に強い人。
実行力のある人。
こうした人を適切に配置できるかどうかで、
プロジェクトのスピードは大きく変わります。
逆に、
「手が空いているから、お願いしよう」
「毎回同じメンバーだから、別の人にしよう」
という理由だけで人を選ぶと、途中で苦労することになります。
プロジェクトに不慣れな人がうまく動けないのはよくあることです。
それでも、すぐにメンバーを替えるのは避けましょう。
まずは、話を聞く。
困っていることを確認する。
役割を見直す。
必要な支援を行う。
それでも改善しないのであれば、体制を見直すこともリーダーの責任です。
プロジェクトには期限があります。
一人への配慮が、組織全体の成果を損なってはいけません。
時にはメンバーを変更することも、プロジェクトを成功させるための重要な判断です。
まとめ
このシリーズでは、「決めたことを実行に移す方法」を5回にわたりご紹介してきました。
・本当にやるべきことを決める
・プロジェクトとして立ち上げる
・計画を見える化する
・止めないための仕組みを作る
・人を動かす
どれか一つだけでは、プロジェクトは成功しません。
しかし、この5つがそろうことで、
「決めただけで終わる会社」は「決めたことをやり切る会社」へ
変わっていきます。
経営では、優れた戦略を立てることも重要ですが、
それ以上に成果を左右するのは、最後までやり切る実行力です。
このシリーズが、
皆さまの会社で「決めたことをやり切る」ためのヒントになれば幸いです。
最後に
経営判断、事業計画、管理会計、業務改善、プロジェクト推進などについて、
「何から整理すればよいかわからない」
「決めたことがなかなか実行されない」
「プロジェクトを前に進めたい」
そんなお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。
メーカーで20年以上、商品企画や経営企画の立場で数多くのプロジェクトに携わってきた経験をもとに、現状を整理し、実行につながる進め方を一緒に考えます。