経営理念シリーズ③ MVVは、作ることより使うことが重要

経営理念シリーズ③ MVVは、作ることより使うことが重要

記事
ビジネス・マーケティング
前回は、Mission・Vision・Value(MVV)の役割についてご紹介しました。

Missionは会社が存在する理由。
Visionは会社が目指すありたい姿。
Valueは社員一人ひとりの行動基準。

それぞれ役割が異なり、3つが繋がることで会社の方向性が明確になります。
しかし、MVVを作っただけで会社が変わるわけではありません。

実際には、
ホームページに掲載した。
会社案内に載せた。
会議室に額縁で飾った。

それでも社員の行動は変わらない。

そんな会社は少なくありません。
MVVの価値は、「作ること」ではなく「使うこと」にあります。

今回は、実際の会議や現場を例に、MVVがどのように判断の軸になるのかをご紹介します。

1. 経営会議で判断が分かれたとき

あるメーカーでは、原材料価格の高騰を受けて値上げを検討していました。
予算会議では、各部門から異なる意見が出ます。

営業本部長A
「値上げすると、お客様が競合へ流れるかもしれません。まずは価格を据え置いて、数量を維持するべきです。」

製造本部長B
「このままでは利益がほとんど残りません。設備投資もできなくなります。早急に値上げすべきです。」

営業にも製造にも、それぞれ正しい理由があります。
会議室には少し重い空気が流れます。

そのとき、経営企画部長Cが口を開きました。

経営企画部長C
「当社のValueには、『お客様との長期的な信頼を大切にする』とあります。」
「このValueに照らすと、今回の判断はどうあるべきでしょうか。」

会議室は少し静かになりました。
営業本部長Aも製造本部長Bも、

「値上げするか、しないか」ではなく、
「どうすればお客様との長期的な信頼を維持できるか」
という視点で考え始めます。

その結果、
 ・値上げは実施する
 ・一方的に通知するのではなく、お客様へ丁寧に説明する
 ・品質維持のためであることを誠実に伝える
という結論になりました。

このように、Valueは正解を教えるものではありません。

判断に迷ったとき、
会社として何を大切にするのか
という共通の軸を与えてくれるのです。

2. 現場でも、MVVは判断基準になる

MVVが役立つのは、経営会議だけではありません。
現場でも同じです。

商品の出荷前日。
品質検査で小さな不具合が見つかりました。

生産課長D
「不具合は軽微です。お客様が気付く可能性は低いと思います。」

物流課長E
「出荷を止めると納期に間に合いません。この程度なら、お客様にも分からないでしょう。」

少し沈黙が流れます。
そのとき、品質保証部長Fが口を開きます。

品質保証部長F
「当社のValueには、『品質に妥協しない』とあります。」
「今回の判断は、お客様が気付くかどうかではありません。当社が大切にしている価値観に照らして、どうあるべきかです。」

その結果、出荷を一旦止めて原因を確認し、品質を確保した上で出荷することを決めました。

納期は少し遅れましたが、大きなクレームにはつながらず、お客様からも誠実な対応として評価されました。

3. MVVは「判断の軸」である

この2つの事例に共通していることがあります。

それは、
MVVが答えを与えているわけではない
ということです。

営業にも製造にも、それぞれ正しい主張があります。
納期も品質も、どちらも重要です。

だからこそ迷います。

そのとき、
「私たちのMissionは何か。」
「Visionに近づく判断はどちらか。」
「Valueに照らすと、どう行動すべきか。」
という問いを投げかけることで、会社として一貫した判断ができるようになります。

MVVとは、会社紹介のための飾りではありません。
社員が判断に迷ったとき、同じ方向を向くための「判断の軸」なのです。

4. MVVが浸透している会社とは

MVVが浸透している会社では、
会議の中で自然に、
「私たちのValueに照らすと、どう判断すべきだろう。」
という言葉が出てきます。

あるいは、
「その判断の結果、私たちはVisionに近づくのだろうか。」
という会話が交わされます。

MVVは、経営者だけのものではありません。
現場の社員まで含めて、日々の判断の基準として使われて初めて意味を持ちます。

まとめ

MVVは、作ることがゴールではありません。
日々の会議や現場で使われ、社員一人ひとりの判断や行動につながって初めて、その価値を発揮します。

だからこそ、経営理念は「掲げるもの」ではなく、「使うもの」であることが大切です。

次回は、
「理念を作っても会社は変わらない理由」
をテーマに、MVVが組織に浸透しない原因と、実際に根付かせるためのポイントについてお話しします。

最後に

「MVVを作ったものの、社員に浸透していない」
「理念を経営や現場の判断に生かしたい」
「組織の方向性を一つにしたい」
そんなお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。

MVVの構築に関わった経験をもとに、理念を作るだけで終わらせず、経営や組織運営の中で実際に活用できる仕組みづくりをお手伝いします。
まずはメッセージのやりとりで相談が必要かを診断させてください。

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