経営理念シリーズ⑤ 理念を現場に浸透させる方法

経営理念シリーズ⑤ 理念を現場に浸透させる方法

記事
ビジネス・マーケティング
前回は、理念を作るだけでは会社は変わらない、ということについてお話ししました。

経営理念やMission・Vision・Value(MVV)を作り、ホームページに掲載する。社内に掲示する。社員に説明する。

それだけでは、なかなか社員の行動までは変わりません。

理念は、額縁に入れて飾るような大仰なものではなく、日常的に使うものだからです。

では、理念を日常の中で使うとは、具体的にどういうことでしょうか。

今回は、理念を現場に浸透させるための具体的な方法をご紹介します。

1.朝礼では「唱和」より「具体例」を共有する

理念浸透というと、まず思い浮かぶのが朝礼での唱和かもしれません。
もちろん、繰り返し口にすることにも意味はあります。

しかし、
「お客様を第一に考えます」
「挑戦を続けます」
と毎朝読み上げるだけでは、次第に単なる習慣になってしまいます。

そこで、例えばValueが「お客様の立場で考える」であれば、
「昨日、お客様からこんな相談があり、○○さんがこのように対応しました。これはまさに『お客様の立場で考える』行動だと思います」
と、実際の出来事と結びつけて紹介します。

理念という抽象的な言葉と、具体的な行動を結びつける。
これを繰り返すことで、
「この会社では、こういう行動を大切にするんだ」
ということが少しずつ伝わっていきます。

2.1on1では、行動とValueを結びつける

1on1も、理念を浸透させる良い機会です。
例えば、部下が新しい改善提案をしたとします。

そのとき、
「いい提案だったね」
だけで終わらせるのではなく、
「今回の行動は、当社のValueである『挑戦する』そのものだと思う」
と伝えます。

逆に改善してほしい行動があったときにも、

「当社が大切にしている『お客様視点』から考えると、今回はどうだったと思う?」
と問いかけることができます。

ここで重要なのは、理念を説教に使わないことです。
理念を使って正解を押しつけるのではなく、本人に考えてもらう。
そうすることで、Valueと自分の仕事がつながっていきます。

3.表彰では「何を達成したか」だけでなく「どう行動したか」を評価する

多くの会社では、
「売上目標を達成した」
「大型案件を獲得した」
「コストを削減した」
といった成果が表彰されます。

もちろん、成果を評価することは重要です。
しかし、理念を浸透させたいのであれば、理念に沿った行動そのものを表彰する方法もあります。

例えば、
「お客様のために部門を越えて動いた」
「失敗を恐れず新しい方法に挑戦した」
「困っている同僚を積極的に支援した」
といった行動です。

さらに、
「なぜ、この行動が当社のValueを体現しているのか」
まで説明します。

すると、表彰された本人だけでなく、それを見ている社員にも、
会社が本当に評価している行動が伝わります。

4.採用面接でもValueを使う

理念は、入社した社員だけに使うものではありません。
採用の段階から使うことができます。

例えば、Valueに「挑戦」がある会社なら、
「これまで、自分から新しいことに挑戦した経験を教えてください」
と聞いてみる。

「チームワーク」を重視する会社なら、
「チーム内で意見が対立したとき、どのように対応しましたか」
と聞いてみる。

そして、回答の内容だけでなく、
過去に実際にどのような行動を取ったのかを掘り下げます。

価値観を面接だけで完全に見抜くことはできません。
それでも、スキルや経験だけを見る採用より、
「この人は、私たちが大切にしている価値観と合っているだろうか」
という視点を加えることで、採用後のミスマッチを減らすことができます。

5.人事評価にValueを組み込む

そして、最も影響が大きいのが人事評価です。

例えば会社が、
「チームワークを大切にする」
と掲げているとします。

しかし、評価されるのは個人の売上だけ。
これでは社員は、理念よりも個人の売上を優先します。

社員は会社が掲げている言葉以上に、
実際に何を評価しているかを見ています。

そこで、
「成果を出したか」
だけでなく、
「Valueに沿った行動を取ったか」
も評価に加えます。

ただし、ここで注意したいのは、単純にValueを評価シートへ追加すればよいわけではないということです。
「挑戦:5点」
「チームワーク:4点」
だけでは、評価する人によって基準がバラバラになります。

「挑戦とは、具体的にどのような行動なのか」
「チームワークを発揮した状態とは何か」
まで、できるだけ行動レベルに落とし込むことが重要です。

理念は「接触回数」で浸透する


ここまで、
朝礼、1on1、表彰、採用、人事評価
という5つの方法をご紹介しました。

しかし、どれか一つを実施すれば理念が浸透するわけではありません。

社員が、
朝礼で聞く。
上司との1on1で話す。
同僚が表彰される。
人事評価でも問われる。
そして、自分が後輩や部下に同じ言葉を使う。

こうして同じ理念に何度も触れ、それが実際の行動と結びつくことで、理念は少しずつ「会社の言葉」になっていきます。

理念浸透のために、特別なイベントを一度だけ行う必要はありません。

むしろ重要なのは、
普段から行っている活動の中に、理念を少しずつ組み込むことです。

まとめ

理念を現場に浸透させるために必要なのは、理念について何度も説明することではありません。

朝礼、1on1、表彰、採用、人事評価。

普段から会社で行っている活動の中で、理念を実際に使うことです。

そうすることで、理念は「知っている言葉」から、社員が自然に判断や行動に使う「会社の共通言語」へ変わっていきます。

ただし、ここまで仕組みを整えても、理念が浸透しないことがあります。

それは、経営者や管理職自身が理念と違う行動をしている場合です。

社員は、会社が掲げている理念以上に、上司や経営者が実際に何をしているかを見ています。

次回はシリーズ最終回として、
「理念を生きたものにするのは、経営者の行動」
について考えてみたいと思います。

最後に

「理念を作ったものの、現場に浸透していない」
「理念を社員の行動につなげたい」
「評価制度や会議など、実際の仕組みに理念を落とし込みたい」
そんなお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。

理念を作るだけで終わらせず、日々の経営や組織運営の中で実際に使える形へ落とし込む方法を、一緒に整理します。


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