経営において、数字を見ることは大切です。
売上、利益、原価、経費、客数、単価、在庫、人件費。
会社にはさまざまな数字があります。
ただ、「数字分析」と聞くと、少し難しく感じる方もいるかもしれません。
細かな数字をすべて見なければいけない。
複雑な計算をしなければいけない。
統計解析のような専門的な手法が必要になる。
そう考えてしまうこともあります。
もちろん、細かな分析や専門的な手法が役立つこともあります。
しかし、日々の経営判断に必要な数字分析は、
実はそれほど難しいものではありません。
多くの場合、必要なのは足し算、引き算、掛け算、割り算です。
大切なのは、難しい計算をすることではありません。
何と何を比べるかです。
1. 数字は、比べて初めて意味を持つ
数字は、ただ眺めているだけでは判断材料になりません。
今月の売上が1,000万円だった。
利益が100万円だった。
客数が500人だった。
これだけを見ても、それが良いのか悪いのかは分かりません。
大事なのは、何と比べるかです。
前年と比べてどうか。
予算と比べてどうか。
前月と比べてどうか。
商品別に見るとどうか。
顧客別に見るとどうか。
売上と利益を比べるとどうか。
数字は、それ単体では意味を持ちにくいものです。
比較して初めて、変化や違和感が見えてきます。
2. 売上が増えても、安心してよいとは限らない
たとえば、ある会社で売上が前年より増えたとします。
前年の売上が1,000万円。
今年の売上が1,200万円。
売上は200万円増えています。
一見すると、良い結果に見えます。
しかし、ここで利益も見てみます。
前年の利益が100万円。
今年の利益も100万円。
この場合、売上は増えていますが、利益は増えていません。
なぜでしょうか。
値引きをして売上を作ったのかもしれません。
原価が上がっているのかもしれません。
外注費や物流費が増えているのかもしれません。
特別対応が増えて、現場の手間が増えているのかもしれません。
ここで必要なのは、難しい分析ではありません。
売上の増加額を見る。
利益の増加額を見る。
売上増加と利益増加を比べる。
これだけでも、重要な違和感に気づくことができます。
「売上は増えたが、利益は増えていない」
この事実が見えるだけで、次に確認すべきことが変わります。
3. 四則演算で見えることは多い
経営に必要な数字分析は、四則演算でできることが多くあります。
売上を客数で割れば、客単価が分かります。
売上から変動費を引けば、限界利益が分かります。
利益を売上で割れば、利益率が分かります。
今年の売上から去年の売上を引けば、増加額が分かります。
売上の増加額からコストの増加額を引けば、本当に増えた利益が見えてきます。
どれも難しい計算ではありません。
しかし、経営判断には十分に役立ちます。
たとえば、売上が増えている時に、客数と客単価に分けて見る。
利益が下がっている時に、売上、原価、値引き、固定費に分けて見る。
忙しいのに儲からない時に、顧客別や案件別に採算を見る。
こうした分析の多くは、四則演算でできます。
大切なのは、計算の複雑さではありません。
どの数字を組み合わせるか。
どこに違和感を持つか。
何を確認すれば判断できるか。
ここが重要です。
4. 数字を見すぎると、かえって分からなくなる
一方で、数字はたくさん見ればよいわけではありません。
売上、粗利、営業利益、客数、単価、在庫、回転率、残業時間、
問い合わせ件数、商談数、成約率、リピート率。
見る数字を増やそうと思えば、いくらでも増やせます。
しかし、あれもこれもと数字を見ようとすると、
かえって何が大事なのか分からなくなります。
会議では、それぞれの数字を確認するだけで時間が過ぎてしまう。
結局、何が問題なのか分からない。
今月、何を優先するのかが見えない。
このような状態になりがちです。
さらに、数字を集める現場にも負担がかかります。
集計する。
確認する。
資料にする。
報告する。
修正する。
数字を増やすこと自体が、現場の仕事を増やしてしまうこともあります。
本来、数字は経営判断のために見るものです。
数字を集めること自体が目的になってしまっては、本末転倒です。
5. 見るべき数字は、会社の状況によって変わる
では、どの数字を見るべきなのでしょうか。
答えは、会社の状況によって変わります。
売上が伸び悩んでいる会社なら、
客数、単価、リピート率を見る必要があるかもしれません。
利益が残らない会社なら、
粗利率、値引き、商品別利益を見る必要があるかもしれません。
忙しいのに儲からない会社なら、
案件別の手間、顧客別の採算、残業時間を見る必要があるかもしれません。
在庫が重い会社なら、在庫金額や在庫回転を見る必要があるかもしれません。
すべての会社が、同じ数字を同じように見る必要はありません。
大切なのは、自社の課題に合わせて、見るべき数字を絞ることです。
数字を見る力とは、たくさんの数字を並べる力ではありません。
今の経営課題に対して、見るべき数字を選ぶ力です。
まとめ
経営の数字分析は、必ずしも難しいものではありません。
日々の経営判断に必要な分析の多くは、
足し算、引き算、掛け算、割り算でできます。
大切なのは、難しい計算をすることではありません。
何と何を比べるか。
どの数字に目を付けるか。
どの数字を分けて見るか。
どの数字を見れば、次の行動を決められるか。
ここが重要です。
一方で、数字はたくさん見ればよいわけではありません。
あれもこれもと数字を増やすと、何が大事なのか分からなくなります。
数字を整理する現場の負担も増えます。
だからこそ、会社の状況に合わせて、見るべき数字を絞る必要があります。
数字を見る目的は、資料を作ることではありません。
次の行動を決めることです。
経営に必要な数字分析では、難しい計算よりも、何に目を付け、何と何を比べるかが重要になります。
経営判断、事業計画、管理会計、業務改善などについて、
「何から整理すればよいかわからない」
「自社の場合はどう考えればよいか相談したい」
という方は、お気軽にご相談ください。
現状を一緒に整理しながら、次に取るべき打ち手を考えるお手伝いをいたします。