こんにちは。
介護福祉士として18年、特別養護老人ホームや老人保健施設で勤務し、生活相談員として入所相談や家族相談にも携わってきました。
施設探しの相談を受けていると、
「まだ親も歩けているし、施設を探すのは早い気がして……」
「本当に困ってから探せばいいと思っています」
「親が元気なうちから施設を考えるのは失礼な気がします」
という声をよく聞きます。
しかし、生活相談員として多くのご家族を見てきた経験から言うと、施設選びで後悔するご家族の多くは、
動き出すのが遅すぎた
という共通点があります。
今回は、家庭がパニックになる前に知っておきたい「施設探しを始めるタイミング」についてお伝えします。
〇施設探しは「完全に困ってから」では遅い
まず大前提として、介護施設探しはアパート探しとは違います。
アパートなら、
「空き部屋があります」
「契約できます」
「来週から住めます」
ということもあります。
しかし介護施設は、そう簡単にはいきません。
特に特養などの公的施設では、
* 申し込み書類の準備
* 本人状態の確認
* 主治医意見書や診断書の確認
* 施設側の面接
* 入所判定会議
* 空床状況の確認
などが必要になります。
つまり、
お金を払えば明日から入れる
というものではありません。
手続きだけでも数週間から1か月以上かかることがあります。
さらに、特養の場合は、
* 数か月待ち
* 1年以上待ち
* 地域によっては数年待ち
も珍しくありません。
そのため、
「もう限界です」
「来週退院です」
「家では見られません」
という状態になってから探し始めると、選択肢が一気に狭くなります。
〇 現場で多かった「遅すぎた失敗」
生活相談員時代、一番多く見たのは、
病院から退院日を告げられてから慌てるケース
です。
病院から突然、
「治療は終わりました」
「来週退院になります」
「次の行き先を探してください」
と言われる。
そこからご家族は慌てて施設を探します。
しかし現実には、
特養はすぐに空いていない。
老健も満床。
有料老人ホームは費用が高い。
ショートステイも長期利用が難しい。
結果として、
十分に見学も比較もできないまま、空いている施設を選ばざるを得ない
ということが起こります。
これは施設選びで非常に後悔しやすいパターンです。
〇 施設探しを始めるべき5つのサイ
今すぐ入所する必要はありません。
ただし、次のどれか一つでも当てはまるなら、情報収集は始めた方がいいです。
① 転倒が増えてきた
家の中で転ぶ。
ベッドから立ち上がるときにふらつく。
トイレまでの移動が危ない。
こうした転倒が増えてきたら注意が必要です。
高齢者の転倒は、骨折から一気に介護度が上がるきっかけになります。
特に大腿骨骨折などが起こると、入院後に在宅復帰が難しくなるケースもあります。
② 認知症の症状が目立ってきた
同じ話を何度もする。
財布を盗まれたと言う。
火の消し忘れがある。
夕方になると落ち着かない。
外に出ようとする。
このような症状が出てきたら、早めに施設情報を集め始めるタイミングです。
認知症は急に進むこともあります。
「まだ大丈夫」と思っているうちに、家族だけでは対応が難しくなることがあります。
③ 夜間介護が増えてきた
夜中のトイレ介助。
転倒しないかの見守り。
夜間の徘徊。
何度も起こされる。
夜間介護が増えると、介護する家族の睡眠が削られます。
睡眠不足は、在宅介護が崩れる大きなサインです。
家族が眠れなくなると、心も体も限界に近づきます。
④ 介護サービスの利用回数が増えてきた
デイサービスの回数が増えた。
訪問介護が増えた。
ショートステイの利用が増えた。
ケアマネジャーから新しいサービスを提案されることが増えた。
これは、在宅生活を支えるために必要な支援量が増えているということです。
もちろんサービスを増やすことは悪いことではありません。
ただし、
在宅だけで支える負担が大きくなっている
というサインでもあります。
⑤ 家族から「限界」という言葉が出始めた
実はこれが一番重要です。
介護している家族が、
「疲れた」
「もう無理かもしれない」
「仕事との両立がきつい」
「優しくできなくなってきた」
と言い始めたら、かなり危険な状態です。
介護者が倒れてしまえば、在宅介護は続きません。
施設探しは、本人の状態だけでなく、家族の限界も見て判断する必要があります。
〇 まだ元気だからこそ、早めに動く意味がある
施設探しは、
本人が動けなくなってから
家族が限界になってから
退院日が決まってから
始めるものではありません。
むしろ、まだ少し余裕があるうちに始めた方が有利です。
理由は3つあります。
理由① 本人の希望を聞ける
本人が元気なうちなら、
* どんな場所がいいか
* 個室がいいか
* 家から近い方がいいか
* 食事や雰囲気をどう感じるか
を確認できます。
緊急入所になると、本人の希望を聞く余裕がなくなります。
理由② 家族が冷静に比較できる
介護者が限界になると、冷静に施設を比較できません。
疲れ切っていると、
「とにかく早く入れるところ」
「今空いているところ」
に飛びついてしまいやすくなります。
でも施設選びで大切なのは、空きだけではありません。
ご本人に合うか。
費用は続けられるか。
医療対応は可能か。
認知症対応はどうか。
こうした点を冷静に見るには、家族側にも余力が必要です。
理由③ プランBを準備できる
特養だけを考えていても、すぐに入れるとは限りません。
そのため、
* 特養へ申し込みをする
* 老健を一時的に利用する
* ショートステイを活用する
* 有料老人ホームも比較する
* 在宅サービスを増やしてつなぐ
といった複数の選択肢を用意する必要があります。
早めに動けば、プランBを作れます。
遅く動くと、選べるものが減ります。
〇 まとめ
親の施設探しは、
今すぐ入所するため
ではなく、
将来困らないため
に始めるものです。
施設探しで後悔する家族の多くは、
早く動きすぎた人
ではありません。
遅く動きすぎた人
です。
転倒が増えた。
認知症が進んできた。
夜間介護が増えた。
介護サービスが増えた。
家族から限界という言葉が出た。
このようなサインがあるなら、今すぐ入所しなくても、情報収集だけは始めておくべきです。
〇 最後に
私は介護福祉士として18年、生活相談員として多くの施設入所相談に携わってきました。
早めに準備して安心できたご家族もいれば、退院直前に慌ててしまい、十分に比較できなかったご家族も見てきました。
もし今、
✓ 施設探しを始めるべきか迷っている
✓ 親の状態ならどの施設が向いているか知りたい
✓ 特養・老健・有料老人ホームの違いを整理したい
✓ 退院に備えて今から何を準備すればいいか知りたい
という方は、お気軽にご相談ください。
今すぐ入所をすすめるためではなく、ご家族が将来困らないために、今できる準備を一緒に整理します。
まずはメッセージからご相談ください。
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