今日から、「もしタロットカードの世界の中に、
うちで飼っている黒猫が入り込んでしまったら…?」という妄想から生まれた物語を少しずつアップしていこうと思います。
これは単なる“こうだったら面白いな”という空想ではなく、
黒猫の目線でカードの世界をのぞき込み、そこから私・シュイが霊視し、
カードの意味や気配を読み解いていくというスタイルのシリーズです。
タロットを知っている方も、まだよく知らない方も、
“猫とカードの旅”を通して、
すこしでも世界の奥行きや気持ちのひだに触れてもらえたら嬉しいです。
タロットカードの中には、
一枚だけ黒猫の姿が描かれているカードがあります。
「ワンドのクイーン」ー
足元に黒猫を従えた、情熱と直感を司る女王のカードです。
このシリーズでは、その黒猫が
タロットの世界をふらふらとさまよい旅する様子を、
物語とともに、そして霊視とともに描いていきます。
描かれた絵の意味だけでなく、
その奥にある気配や感情を、猫とともにたどっていきます。
カップの6
懐かしい庭と、過去の声が交差する場所で…
幾つもの庭を越えて歩いたあと、
花の匂いに誘われるように、小さな柵をくぐった。
カァン、と金属の鳴る音。
子どもが二人、背丈ほどのカップを前にして何かを渡している。
片方のカップには、花がひとつ。
贈っているのか、それとも受け取っているのか。
柔らかな光が、石畳に落ちていた。
家々は静かに遠くにたたずみ、過去の記憶のように輪郭をぼやかしている。
……どこかで見たような、でももう戻れない、そんな空気がここにはあった。
【カップの6】は「懐かしさ」や「子ども時代の記憶」と言われます。
でも本当の意味は、「その記憶が今の心に何を残しているか」。
カードに描かれる“贈り物”は、花のように優しいもの。
けれど贈っているのが大人ではなく「子ども」という点がとても象徴的です。
子どもの頃の純粋さや、無垢な願い。
誰かに優しくされたかった気持ち。
その“原点”が、いまの選択や人間関係の中に、気づかないうちに顔を出していることがあります。
このカードが出たとき、私は視えます。
「その人の奥に眠る“まだ叶っていない想い”」を。
黒猫は、もう一度、花の香りを鼻先で確かめてから、
静かにその場をあとにした。
その背に、柔らかな日差しが差していた。
そこには、また別の物語が待っているのでした。
また、次のカードのお話で。