「絶対的な悪は居ない」って気づいた新人看護師時代の話

「絶対的な悪は居ない」って気づいた新人看護師時代の話

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コラム
第1章:今日も鳴り止まないコール
毎日業務に追われながらも、無情にもナースコールはなり続けます。

「ナースコールは新人が取るもの」

このルールを設けることで、新人の成長スピードは早くなるの?
看護師全体の業務改善に繋がっているの?
いや、絶対にそんなことない!
そんなことを悶々と考えながら、毎日コール対応をしていました。

気がつけばもう17時を過ぎているのに、自分の受け持ち患者さんのカルテは、まだ1行も書けていません。

周りを見渡せば、先輩たちはパチパチとキーボードを叩いて、
とっくに申し送りの準備をしています。

「今日も座れるのは17時からかな・・・」

夕方ごろになると、大体こんな感じで諦めモードに入っていました。
ようやくパソコンに向かったとき、先輩から「カルテあと何分で終わる?」と冷たい声で聞かれます。

書き慣れていないし、いい加減には書きたくないから「30分くらいかかります」と正直に答えます。すると先輩の表情が一瞬で曇って

「30分?! 15分で終わらせなさい。」とピシャリ。

「何のために時間を聞いたの…?」と疑問と苛立ちを抱えながら
なんとか書き終えたのは、当初の見積もりよりも遅れた40分後でした。
やっと帰れると思ったら、先輩から「なんで15分で終わらなかったのか、振り返りしておいてね」と冷たく言いって颯爽と帰っていきました。

「なんでカルテを書き終わって怒られてるの?」
また不満は募るばかりです。
新人の仕事だからってナースコールに追われて、でも業務が終わらなかったら「時間管理ができてない」って注意されます。

どう動いても怒られる、逃げ場のない板挟み。

こんなことが毎日繰り返されるので、朝を迎えるのも憂鬱で
必死に「熱でも出てないかな…」とか体調不良がないかを探すけれど
残念なことに私は人より頑丈だったんです。

「私、仕事遅いし、今日も怒られるんだろうな」
「看護をするんじゃなくて、どうすれば先輩に怒られずに済むのかばかり考えている自分めっちゃ嫌だな・・・」

そんなことばかり、毎日ぐるぐる考えていました。

第2章:「私が悪いのかな」って、自分を責めて落ち込んでいない?
毎日「どうして私はこんなに仕事が遅いんだろう」「要領が悪くてダメだな」って、自分を責めて落ち込んでいないでしょうか。

まず伝えたいのは、あなたがあなたを責める必要は
まったく無いですよ、ということです。

もちろん「自分にはまだ未熟な部分があるな」って客観的に振り返れるのはすごく素敵なことです。
仕事がうまくいかないときって、あなた個人の問題だけじゃなくて
病棟の環境やシステムなど、色んな原因が複雑に重なって起こるものなんですよ。

それに、先輩看護師たちも「看護」のプロかもしれませんが、「人を育てるプロ」とは限りません。
どんなに素晴らしい知識を持っていても、伝え方や教え方が不器用なせいで
思うように新人さんの良いところw伸ばすことができなくて
はがゆ思いをされています。
だから、先輩の言うことすべてを「絶対的な正解」だなんて思わなくて大丈夫です。
先輩も同じ人間なんです。

ちなみに当時の私は、先輩から「振り返りしてね」と丸投げされたとき
どうしたと思いますか?
そこでショックで潰れて……なんてことはなく、幸いにも少々(いや、かなり)ひねくれていたので

「丸投げか。じゃあ明日も私の仕事スピードが変わってなくても、文句言わないでね」
なんて心の中でツッコミを入れて、やりすごしていました。

本当に意味のある振り返りなら、先輩が一緒にカルテを見て
「ここはもっと短く書けるよ」とか「この時間はコールが多すぎたね」って、どこに原因があったかを一緒に分析してくれるはずです。
それを「遅れた理由を自分で考えておいてね」と突き放すのは
指導者としての仕事を放棄しています。

第3章:論点がすり替わる恐怖と、私が気づいた「傲慢さ」
気がつくと、病棟の中でいつの間にか論点がすり替わっていました。

ナースコールに追われて、カルテを書く時間がなくて定時に帰れないという問題点から
「カルテを書くのが遅い」「時間管理ができていない」「あの子は仕事が遅い」と私個人に問題があることにされてしまっていたんです。

もちろん、私自身にも改善すべき点はたくさんあったと思います。
先輩なら3分で書き終わるカルテに10分掛かってしまったり
処置の準備を先にしておけば後の業務がスムーズに回せたはずだったり。

でも新人の間は、そういった問題点を一人で抱え込んで改善していくものではありません。
客観的な視点から「あなたの行動の癖はここだよ」と教えてもらって
一緒に成長していくために「教育」が存在するのだと思います。

だから、「自分の業務もあるのに、新人の面倒をみてやっている」なんていう先輩側のスタンスは、大きな間違いなんです。

本来は
「色んな職業がある中で看護師を選んでくれて、数ある病院の中からうちに入職してくれた。だから楽しく仕事を続けてもらうために、教育者として全力でサポートする」
これが先輩側の正しいスタンスです。

そして新人側も
「先輩自身もたくさん業務があって忙しい中、私のために時間を作って教えてくれている。早く組織に貢献できるように、患者さんを守れるように頑張るぞ!」と思う。

こうやって、お互いに思いやりを持つことで初めて、職場って成り立つんですよね。私個人としては、どちらかが上から支配するような「主従関係」が強すぎる職場は、絶対に長続きしないと思っています。

ただ、当時の私はというと自分自身にも「謙虚さ」が圧倒的に足りていませんでした。

「教育担当の先輩がいるんだから、何から何まで懇切丁寧に教えてくれるのが当たり前」
心のどこかでそう思っていたんです。
だから先輩から「なんでこれできていないの?」と聞かれたら、「そんなの教わってない!」と心の中でシャットアウトして片付けていました。

実は、その「教わってないし」という私の傲慢な態度が
言葉にしなくても先輩にしっかり伝わっていたんですよね。
だから先輩も私に対してそれ相応の冷たい態度を取っていた。
ただそれだけのことだったんです。

第4章:先輩たちの心を変えた、私の「脳内変換」
正直、納得のいかないルールや、消滅したほうがいい悪しき風習がある職場はたくさんあります。

でも残念ながら、先輩方は何十年とその環境で、同じ思考で生きてきたので、もう他人の力で簡単に変わることはできません。

だからこそ、自分が変わってあげるんです。

「なんで相手が悪いのに、こっちが大人な対応を取らなきゃいけないの?」って思いますよね。私も当時、別の先輩から全く同じことを言われました。

「あなたは世渡り下手だね。だからターゲットになりやすいんだよ。
もう上の人たちは変わらないから、自分が変わっていくしかないよ」

言われた瞬間は、全然納得がいかなかったし「これ以上私が我慢しなきゃいけないの?」って絶望しました。

でも、このときに考え方を変えてみたんです。
「これって、相手は私より年齢は上だけど、『私の方が先輩よりも精神年齢が上になれるチャンス』ってことじゃない?」って。

そう思ったら「よし、じゃあ大人の対応ってやつをやってやろうじゃん!」って、急にスイッチが入ったんです。(やっぱり捻くれていたので)

具体的には、先輩から「時間管理をしなさい」と注意されたとき
こう聞き返してみました。

「昨日はここの業務で時間が掛かってしまったので、
今日はこっちの業務から取り掛かってみたんですけど
あまり改善されませんでした。先輩はどうやって時間管理をしていますか?」

こうやってアドバイスを求められて、嫌な気になる先輩はいません。
だって、仕事に対して前向きでどう見ても「頑張ろうとしている姿勢」が伝わっているんですもの。

するとどうでしょう。
それまであんなに冷たかった先輩からの風当たりが、あっという間に柔らかく変わっていったんです。

ここで私はもう一つの大切な事実に気づきました。

「なんだ。自分にも原因があったんだ。自分が変わってあげようじゃなくて、自分が変わるべきだったんだ」

「あの先輩が悪い」「あのルールがおかしい」と相手を敵にしている間は
ずっと苦しいままです。
でも「じゃあ自分はどう動こうか?」と主語を自分に戻した瞬間
現実を動かす鍵はあなたが握ることになります。

絶対的な悪はいません。
お互いの「思い込み」と「関わり方」のズレが敵を作っているだけかもしれません。

私の体験はあくまでも結果論ですし、実践に移すことは難しいこともあるかもしれません。
でもこの記事を読んでくださり、少しでも気づきをえてくださったなら
あなたはもう昨日の自分とは違います。

私の苦い経験、というか黒歴史も報われるのでどうか活用してみてください!笑
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