人間は「葛藤」する生き物です。言い換えれば、「矛盾」ばかりの生き物と言っても良いでしょう。しかし私たちは論理的に物事を考えることのできる高い知性を持っているため、「矛盾」を嫌います。
自身の中に相反する願望を持っていても、どちらかを優先し、どちらかを無意識のうちに切り捨てようとします。これは非常に合理的な選択です。ひと時に相反する願望を満たすことは非常に困難。どちらかを優先して達成する方が簡単でしょう。
ところが、ここで問題が発生します。知らず知らずのうちに、切り捨てた願望の方にも行動が引っ張られるという問題です。しかも切り捨てた方の願望は認識しにくいので、本人の視点ではわけもわからないまま理不尽な行動を取ることもあります。
愛されたいと願っているのに、客観的に見ると人を遠ざける行動をしている。成功したいと願っているのに、なぜか空回りばかりする。これらは、相反する願望の片方を認識できておらず、それをないがしろにしてしまっているからこそ起こる現象です。
誰かに愛されたいという願望と、一人になりたいという願望。あるいは、成功したいという願望と、成功などせず穏やかに暮らしたいという願望は、現実的に考えればどちらも同時に達成することは困難ですが、人間の心はそう単純ではありません。というよりも、「両方を同時に達成することはできない」という理性が心を捉えることを複雑にしています。
人間にとって、2つの相反する願望を持つことは、ごく普通のことです。相反する心の均衡を保ちながら、私たちは生きているのです。
迷いがあっても構いません。矛盾していても、そのどちらも本心です。あとはどうやってその2つの願望を叶えるかを考えれば良いだけです。とても難しいことですが、それができるだけの力があなたにはあるはずです。
両方得ようとするのはわがままでしょうか。……そうかもしれませんね。ですがそれこそが私たち人間の愚かさであり、素晴らしさなのです。