「取引先を調べようとしたら、ホームページが見つからなかった」
「求人に応募しようとしたけど、会社のHPがなくて不安になった」
こうした経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
では、「HPがない会社=信頼できない」は事実なのか? 感覚的にはそう思いつつも、実際のデータで検証した情報はほとんどありません。
この記事では、複数の調査データをもとに、HPの有無が企業の信頼性にどう影響するのかを客観的に検証します。「うちの会社にHPは本当に必要なのか?」と迷っている経営者の方に、判断材料をお届けします。
「HPがない会社は怪しい」は本当か?──データで見る
1. 経営者の79.8%が「HPがある会社の方が信頼度が高い」と回答
従業員50人未満の中小企業経営者1,127人を対象にした調査で、こんなデータが出ています。「HPがある会社の方が信頼度が高いと思うか?」という質問に対し、79.8%が「はい」と回答しました。
つまり、経営者自身も「HPがある会社の方が信頼できる」と感じているのです。これは「なんとなく」ではなく、ほぼ8割という明確な多数意見です。お客様や取引先から見ても同様でしょう。会社名で検索して公式サイトが出てこなければ、「この会社、大丈夫かな?」と思われるのは自然なことです。
2. 更新されていないHPも逆効果──約50%が「営業しているか不安」
ただし、HPがあれば何でもいいわけではありません。同じ調査で、「更新されていないHP」についても質問しています。
約半数が「営業しているか不安になる」、約3分の1が「取引しようと思わない」と回答しています。正直に言うと、放置されたHPは「ない」よりも印象が悪い場合があります。「HPがあるのに情報が古い」は、「この会社は仕事にも手を抜いているのでは?」という連想を生むからです。
中小企業のHP開設率は「93%」ではない
1. 総務省の93.2%は従業員100人以上が対象
「企業のHP開設率は93%以上」──このデータを見たことがある方もいるかもしれません。総務省の「令和6年通信利用動向調査」によると、企業のHP開設率は93.2%です。
しかし、この調査には大きな前提条件があります。対象が「従業員100人以上の企業」に偏っているのです。日本の企業の99%以上は中小企業であり、この数字は中小・小規模事業者の実態を反映していません。
2. 中小企業の実態は約48.5%──半数はまだHPを持っていない
では、中小企業の実態はどうでしょうか。中小企業6,744社を対象にした調査(約半数が従業員5名以下)では、HP導入済みの企業は約48.5%でした。
つまり、中小・小規模事業者の約半数はまだHPを持っていないのが現実です。総務省の93%とは約45ポイントもの乖離があります。「うちの規模でHPは必要ないだろう」と思っている経営者の方は、決して少数派ではありません。
3. 業種によるHP開設率の差
同調査では、業種によって開設率に大きな差があることも分かっています。
建設業や卸売業ではHP開設率が20〜30%台と低く、「HPがないのが普通」という業界もあります。しかし、裏を返せばHPを持つだけで同業他社と差別化できるとも言えます。
HPがないことで失っているもの──3つの機会損失
HPがなくても今まで仕事が回っている──そう感じている方もいるかもしれません。しかし、データを見ると「気づかないうちに逃している機会」が見えてきます。
1. 取引先の開拓: BtoB経営者の約30%がHP原因で発注を取りやめた経験あり
中小企業の経営者・役員103名を対象にした調査では、発注時にコーポレートサイトを参考にする経営者は75.8%、HPが原因で発注を取りやめた経験がある経営者は約30%という結果が出ています。
取りやめの理由は「情報が更新されていない」「デザインが古い」「必要な情報が見つからない」「会社の魅力が伝わらない」などです。つまり、BtoB取引では4社中3社があなたのHPを見ているのです。HPがなければ、検討のテーブルにすら載らない可能性があります。
2. 新規顧客の獲得: 購入前情報源の第1位は「公式サイト」
BtoB購買意思決定者218名を対象にした調査によると、サービス購入時の情報源は1位が公式サイト49.5%、2位がSNS20.6%でした。
公式サイトがSNSの2倍以上の割合で利用されています。さらに別の消費者調査では、Webサイトが期待に応えない場合、62.6%の消費者が商品購入や情報収集を中断するというデータもあります(2014年実施の調査ですが、Web体験への期待値は年々高まっており、現在ではより厳しい水準と考えられます)。
HPがないということは、最も信頼される情報源が存在しない状態です。
3. 人材の採用: 求職者の84.8%がHPで企業研究を行う
HPの有無は、採用にも大きく影響します。20〜39歳の就職・転職活動者540名を対象にした調査では、企業HPで情報収集・企業研究を行う求職者は84.8%、採用サイトのある企業をポジティブに感じる求職者は62.4%、採用サイトを見て応募意欲が高まった求職者は40%という結果が出ています。
HPがない会社に応募するのは、求職者にとって「不安」です。特に若い世代ほど、企業情報をWebで確認する習慣が定着しています。「採用しても人が来ない」という悩みの原因の一つが、HPの不在にあるかもしれません。
HPがなくても信頼を構築できるケースはあるか?
ここまでデータを見てくると、「やっぱりHPは必須か」と思われるかもしれません。しかし、正直にお伝えすると、HPがなくてもビジネスが成り立つケースは存在します。
1. Googleビジネスプロフィール・口コミの信頼度データ
Googleマップ(Googleビジネスプロフィール)は、特に地域密着型のビジネスにとって強力な集客ツールです。Googleマップの利用率は83.1%、Googleマップで検索した人のうち実際に来店した割合は73%、口コミ検索で最も信頼できる媒体の1位はGoogleマップという調査結果があります。
飲食店や美容室、クリニックなど、来店型ビジネスの場合、Googleビジネスプロフィールの充実だけでも一定の集客は可能です。
2. SNSだけで十分なケースと限界
SNSだけで集客しているビジネスもありますが、限界があります。企業のSNS運用に関する調査によると、企業全体の54.8%がSNSを運用していない状態です。運用している企業でも約3割が「効果は得られなかった」と回答しています。
SNSは「認知を広げる」には向いていますが、情報の蓄積性が低い(過去の投稿が埋もれる)、検索で見つけてもらいにくい(Google検索に引っかかりにくい)という弱点があります。「この会社について詳しく知りたい」と思ったとき、SNSだけでは会社概要、サービス内容、所在地、問い合わせ先などの基本情報にたどり着きにくい。HPはそうした「信頼の受け皿」として機能するのです。
3. 正直に言うと──HPが不要な会社の条件
制作者としての本音を言うと、以下のすべてに当てはまる場合は、HPがなくてもビジネスに大きな支障はないかもしれません。新規顧客の開拓が不要(既存顧客だけで十分)、採用活動をしていない(人材を募集する予定がない)、BtoB取引の新規開拓をしない(紹介や既存ルートのみ)、地域密着型でGoogleビジネスプロフィールと口コミで十分集客できている、というケースです。
ただし、この条件にすべて当てはまる会社はかなり少ないのが現実です。事業を拡大したい、新しい人材を採用したい、新規の取引先を開拓したい──こうした意向が少しでもあるなら、HPは「投資」として検討する価値があります。
「作るだけ」では逆効果──放置HPのリスク
ここまでの内容で「HPを作ろう」と思った方に、もう一つ大切なことをお伝えします。
1. 情報未更新のHPは「ない」より印象が悪いケースも
冒頭のデータで触れた通り、更新されていないHPに対して約50%の経営者が「営業しているか不安になる」、32.6%が「取引しようと思わない」と回答しています。HPを作ったことで安心してしまい、そのまま何年も放置する──実はこれが最も危険なパターンです。放置されたHPは「存在しない」のと同じか、それ以上にネガティブな印象を与えます。
2. 最低限やるべき3つのこと
HPを持つなら、最低限以下の3点は維持してください。
① SSL対応(https化)
SSL未対応のサイトは、ブラウザに「保護されていない通信」と表示されます。これだけでお客様は「このサイト、大丈夫?」と感じてしまいます。現在はほとんどのレンタルサーバーで無料SSLが利用できるため、追加費用はかかりません。
② 情報の定期更新
最低でも3〜6ヶ月に1回は、お知らせやブログの更新を行いましょう。「最終更新日」が古いHPは、「この会社はもう活動していないのでは」と思われるリスクがあります。年末年始の営業案内を更新するだけでも構いません。
③ 問い合わせ導線の確保
電話番号、メールアドレス、お問い合わせフォーム──いずれかがすぐに見つかるようにしておくことは最低限のマナーです。せっかくHPに訪れたお客様が「連絡先がわからない」と離脱するのは、大きな機会損失です。
まとめ
「HPがない会社は信頼できない」──これは感覚論ではなく、データが裏付けている事実です。ただし、HPは「作ればいい」というものではありません。放置されたHPは逆効果です。最低限の更新・SSL対応・問い合わせ導線の3つを維持できる体制を整えた上で、HPを持つことをおすすめします。
中小企業のHP開設率がまだ約48.5%という今、HPを持つこと自体が差別化になります。同業他社がHPを持っていない業種なら、なおさらチャンスです。
出典・参考データ一覧
本記事内で引用した調査データは、PR TIMES(株式会社プラスト)、総務省「令和6年通信利用動向調査」、Wepage(ホームページ作成大学)、未知株式会社、サイトエンジン株式会社、MarkeZine(アドビシステムズ)、株式会社ONE、GMO TECH、株式会社トライハッチ、株式会社Giv-ning、東京商工リサーチ等の調査結果に基づいています。詳細な出典・調査時期・サンプル数は弊社ブログの元記事に記載しております。
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