化学メーカー在籍のエンジニアがポンプを担当したとき(2)設計

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ポンプの仕様、スペックを設計していく流れについて徒然なるままに書いていきたいと思います。ご担当者様の参考になれば幸いです。

1.流量
 送りたい液体の量は設計条件としてあると思います。
 液体流量は化学メーカーではm3/hrという単位で設定されることが多いと思います。ポンプメーカーの仕様書などではL/minと記載されることが多いので単位を間違えないように要注意。物質収支上ではkg/hrなど質量基準での記述となるので、液体密度によって、流量kg/hr÷液体密度kg/m3=m3/hrと換算して単純間違いしないように注意です。細かく言いますと液体密度は温度依存性があるので正確に計算するには送る時の液体温度の密度で計算することが必要となります。
 また、流量は通常流す流量(定常流量)で設計することが一般的ですが、プラント立ち上げ時に流す流量や切り替えで流す流量などを考慮して最小、定常、最大の流量を考えておくと、より設計者らしくなり、運転した時の落ち度がなくなります。

2.揚程(吐出側)
 ポンプスペックの最も必要事項になります。メーカーに見積する際にこれはポンプメーカーではなくユーザー側が設計するスペックです。ポンプ前後の差圧がポンプ揚程となります。
 まずは吐出側から。送り先の高さ、送り先の圧力は設計条件として決まっていると思います。あとは圧力損失を計算して送り側の必要圧力を決めます。ポンプメーカーの揚程はm単位が多いと思います。単位を揃えることが大変重要となります。自分が会社に勤めた辺りからSI単位系が一般的となってきているので、SI単位系で揃えるのが無難です。粘度、密度などもSI単位で揃えると計算間違えが無いです。送り先高さは液体密度[kg/m3]×重力加速度[m/s2]×高さ[m]で[Pa]となります。
 圧力損失は、配管の圧力損失の計算が必要となります。今までの経験では⊿P=4*f*L/D*ρ*u^2/2で計算して問題ないです。層流、乱流で摩擦損失係数fの取扱いが異なります。新規プラントではuをどうするかとなりますが、液体では1~2m/sで設計することが一般的ですが、配管レイアウトで配管長が長い場合は2m/sで計算すると配管サイズが小さくて済みます。1m/sだと若干遅い、という感覚です。これは経験に基づいてます。
 その他、ストレーナ、バルブや流量計などの圧力損失も加える必要あります。

3.揚程(吸込側)
 タンクから液体を払い出す場合、地下タンクからの液を吸い込む場合、タンクが負圧の場合、などで吸込み側の圧力が異なります。吸込み側(サクション側と言ったりします)の配管の圧力損失も計算する必要があります。吐出側と計算方法は同じです。同様にストレーナやバルブの圧損を考慮必要です。

4.揚程
 吐出側の圧力-吸込側の圧力=揚程(ポンプ必要圧力)で計算することになります。

5.NPSH
 ポンプ設計にはかかせないNPSHの計算が必要です。これは学生時代には習わなかった指標です。NPSHの計算がないとポンプが壊れます。サクションの液が沸騰するかどうかを判断することになりますが、沸騰してしまうとポンプ内が液体と気体となってしまいポンプ回転羽のバランスが崩れてしまい、最悪壊れてしまいます。一般的にキャビテーションと言われてます。運転している方はキャビテーションを良くご存じだと思いますが、ポンプが振動するなどして壊れそうで怖い思いをします。
 NPSHの計算はavailableとrequireがあり、ユーザー側の設計はavailableと言い、メーカー側がポンプを設計する際のNPSHがrequireで、NPSH_available>NPSH_requireとなっておく必要があります。ですので、設計でNPSH_availableを仕様書に記載して、ポンプメーカー側にNPSH_requireを選定してもらう必要があります。

6.動力
 ポンプ動力は上記の流量、揚程、液密度で軸動力を算出することが基本となります。ポンプメーカーがモーター動力を選定してくれますが、選定してもらったモーターが過剰でないかどうかは設計者が判断しなければなりません。過剰モーターは電気コストアップの元です。一度購入すると、更新するまでその電気コストがかかってしまうことになります。

7.軸シール
 危険物はノンシールポンプを選定するのが無難です。危険物漏洩のリスクが低いからです。ノンシールポンプのメーカーは日本では2社になります。ノンシールであってもポンプの回転羽(インペラー)を支える固定ベアリングにもいろいろなタイプがあり、液性状をメーカー側に正確に伝えて選定してもらう必要があります。
 水系はグランドパッキンを選ぶのが一般的となります。グランドパッキンは漏れるものと考えて、排水先を設計しておく必要があります。でないと水漏れ箇所がいずれ満水となってしまいます。
 液漏れを極力無くしたい場合は、メカニカルシールを選定することになりますが、グランドパッキンシールより高価となります。メカシールは多種多様なシール形式があり、メーカーノウハウにお任せするのが早いと思います。

ここではポンプ単体の設計について徒然なるままに書いてみました。
次回は設置する際のポンプ周りのP&IDについて徒然書きしたいと思います。

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