VI Lovers
恋愛だけではなく、「本当に結びついているもの」を見るカード
今回は、Vision Quest Tarot の「VI Lovers」です。
前回の「Ⅴ Shaman」では、外側の正しさではなく、自分の内側にある知恵や導きを信じていく流れがありました。
そこから次に出てくるLoversでは、その内側の感覚を持ったまま、今度は「誰か」と向き合うテーマに入っていくように感じます。
標準タロットでは「恋人たち」と呼ばれるカードで、恋愛やパートナーシップを表すカードとして知られています。
男女が描かれていることもあり、まずは恋愛や親密な人間関係を思い浮かべやすいカードです。
Vision Quest TarotのLoversにも、中央には向かい合う男女が描かれています。
ふたりは身体を寄せ合い、腕を回し合っているように見えます。
この絵柄だけを見ると、やはり基本には恋愛や、男女の関係に近いテーマがあるように感じます。
誰かに惹かれること。
相手と向き合うこと。
心を開くこと。
自分ひとりでは動かなかった感情が、相手の存在によって動き出すこと。
けれど、このカードは「恋愛です」とだけ言い切るには、少し奥行きがあるようにも思います。
絵柄から感じること
背景には滝が流れています。
水は感情や無意識を思わせますが、滝になると、ただ静かにたまっている水ではなく、上から下へと流れ落ちる強い動きがあります。
自分では止められない感情の流れや、心が自然に動いていく感じ。
また、関係の中で何かが洗い流されていくような印象もあります。
奥にはオレンジ色の空が見えます。
オレンジ色は、あたたかさや生命力、人と人との距離が近づく感じを思わせます。
冷静に頭で判断するというより、心や身体が反応しているような色です。
この空があることで、ふたりの関係は閉じたものではなく、これから何かが始まっていくようにも見えます。
足元には白い花が咲いています。
白い花は、純粋さや素直な気持ちを感じさせます。
まだ形になりきっていないけれど、確かに芽生えている感情。
相手に対して持つ、飾らない気持ち。
または、関係の中にある大切なものを、静かに示しているようにも見えます。
そして、このカードで気になるのが、右下にいる二匹のカエルです。
カエルたちは、ただ背景として描かれているというより、男女を見つめているようにも感じます。
カエルは水辺にいる生き物で、水と陸のあいだを行き来します。
卵からオタマジャクシになり、そこから姿を変えてカエルになっていくことから、変化や成長を思わせる存在でもあります。
この二匹のカエルがいることで、Loversはただの恋愛の甘いカードではなくなります。
人と人が惹かれ合うことの奥にある、本能的な反応。
関係によって自分が変わっていくこと。
理屈では説明しきれない、自然界の流れのようなもの。
そんな意味が、そっと加わっているように感じます。
恋愛だけに限らない関係性
Loversは、恋愛やパートナーシップを見るときに出てくることの多いカードだと思います。
けれど、恋愛だけに限定されるカードではありません。
たとえば、仕事や活動の中で「この人と組むかどうか」を考える場面にも関係してくると思います。
条件だけを見れば悪くない。
方向性も近い。
けれど実際に話してみると、安心して自分を出せる相手なのか、それともどこか無理をして合わせているのかが見えてくる。
恋愛でなくても、人との関係には相性があります。
一緒にいることで自然に開いていく関係もあれば、頭では良いと思っていても、どこか身体が固くなる関係もあります。
このカードは、そうした「関係の中で自分がどう反応しているか」を見るカードでもあるのだと思います。
鑑定の中で感じたこと
以前、恋愛が絡んでいるように見えるご相談を鑑定したときに、このLoversが出なかったことがありました。
最初は、相談者さん自身も「これは恋愛の可能性があるのかも」と感じていたようでした。
けれどカードを読み進めていくと、実際には恋愛そのものが中心ではなく、別のテーマが強く出ている相談だったことがあります。
そのときに、Loversが出ないことにも意味があるのだと感じました。
もちろん、恋愛相談だから必ずLoversが出るわけではありません。
出ないから恋愛ではない、と単純に決めるものでもありません。
それでも、このカードが出るか出ないかは、そこに恋愛的な結びつきや、相手との深い引力が本当にあるのかを見る、ひとつの指針になるのかもしれません。
Loversが問いかけるもの
Loversが出るとき、そこには「相手」がいます。
でも、それは相手だけを見るカードではありません。
相手に惹かれる自分。
その人の前で自然でいられる自分。
逆に、不安になったり、迷ったり、期待してしまう自分。
そういう自分自身の反応も、このカードは映し出しているように思います。
標準タロットの「恋人たち」には、選択の意味もあります。
Vision Quest TarotのLoversでも、その選択は大切なテーマとして感じられます。
ただ、その選択は、条件や正しさだけで決めるものではないのだと思います。
自分の心がどちらを向いているのか。
身体はどう感じているのか。
その関係の中で、自分は自然でいられるのか。
そうした、もっと深いところでの選択です。
このカードが出たときは、恋愛であっても、そうでなくても、次のように問いかけてみるとよいかもしれません。
私は今、誰と本当に向き合おうとしているのだろう。
この関係の中で、私は自然な自分でいられているだろうか。
惹かれているのは、相手そのものなのか。
それとも、自分の中にある別の期待や不安なのか。
Loversは、恋愛のカードでありながら、恋愛だけに閉じないカードです。
人と人が出会い、惹かれ合い、その関係の中で自分自身も変わっていく。
その流れを、滝や花やカエルたちが静かに見せてくれているように感じます。
次の「Ⅶ Spiritual Warrior」では、誰かとの関係や選択を経たあと、自分の意志で進んでいく力へと流れが移っていきます。
Loversで感じた心の向きや結びつきを、自分の人生の中でどう扱っていくのか。
そこが次のテーマにつながっていくのだと思います。
もし今、人との関係や、自分の気持ちの向き先を整理したいと感じるときは、カードを通して一緒に見ていくこともできます。
Hal Luno
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This reading features cards from The Vision Quest Tarot, created by Gayan S. Winter and Jo Dosé, and published by AGM Müller. All rights reserved.