宵灯をひとつ。
本日も守護者〈アスル〉とのお話をお届けしていきます。
「何かを始めるのなら、つけ足すよりも、今あるものを使っていく」
〈アスル〉はそう言って、頭に載せた冠へそっと手を添えました。
たとえば、この冠だが、だいぶ古くなっていたものだった。
周りは新しいものを勧めていたのだが、磨けば光るだろうと思い、私はこれを選んだ。
新しいものを作ることは、ある意味では簡単だ。
技術の進歩もあり、安価に作られるものもある。
それはそれで生活に役立つものなのだから、よいことだと思う。
だが、新しいものばかりを作ることにとらわれて、古くなったものはもう大事にしなくていい、というわけではない。
古くからあるものには、当時の想いが映し出されている。
技術だけではなく、作り手の想いや、それを使ってきた者の想いが宿っているものだ。
この世界の技術の進歩はすさまじい。
それは良いことではあるが、私はどうにも、古いものには意味がないというような風潮を感じる時がある。
不便なこともあるだろう。
手入れに手間がかかることで、放置してしまうものもあるかもしれない。
だが、その手間が余白を生む。
現代は情報が溢れすぎている。
その波にのまれ、自分を見失っている人も多いように感じる。
生活の質を落とせと言いたいわけではない。
ただ古いものを買えと言っているわけでもない。
たとえば日記を始めようとするのなら、新しいノートを買うのではなく、使いかけのノートから始めてみるように。
新しい習慣を作る時、人はつい新しい道具を買いたくなることがあるだろう。
だが、それだけで満足してしまい、習慣そのものが続かないこともあるかもしれない。
それなら代用できるものを使い、まずは三日、一週間と段階を踏んでみる。
そして今あるものを使い切り、次のステップへ踏み出そうとした時に、道具をそろえても遅くはない。
新しいものは、実は今あるものの中から見つかることもある。
何か新しいものがなければ始められない、という思いをいったん脇に置き、今、手元にあるもので始めてみるのも、新たな発見があるだろう。
何かを始める時は「形から入る」という言葉がありますが、時には少し立ち止まってみるのもいいのかもしれません。
新しいものをつけ足していくのではなく、今あるものから始めてみる。
そうすることで、本当に自分に必要なものなのかを見極めることもできます。
また、今あるものを最後まで使い切ることで心にも暮らしにも余白が生まれ、新しいものを迎え入れるスペースも少しずつできていくのでしょう。
いつも、
魂の案内人〈シリス〉と
守護者〈アスル〉と共に、お待ちしております。
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