なぜ「優秀なのに消耗している人」がこれほど多いのだろうか。
周囲に優秀な人が多い環境で、自分自身も努力している。
それなのに、なかなか差がつかない。
走っているのは自分だけではなく、周囲も全員走っているからだ。
頑張ることが当たり前の世界では、努力は差別化にならない。
1.キャリアはスポーツと同じ「競技構造」を持っている
キャリアは、スポーツとほぼ同じ構造を持っていると考えると分かりやすい。
例えば野球。
・競技人口が多い
・ルールが明確
・勝敗が可視化される
膨大な競技人口の中で、プロ野球選手になれるのは500人〜1,000人に1人とも言われている。
その中で、さらに高額な報酬を得られる人は、ほんの一部しかいない。
仕事のキャリアも本質的には同じである。
・評価軸が比較的明確
・キャリアパスが見えやすい
・ポジション(役職)の数が決まっている
結果として、勝者は少数になり、
多くの人は「優秀だが報われない側」に回る。
もちろん、尊敬はされる。
ただしその代償として、時間・体力・精神力を大量に消費することになる。
2.地位財(尊敬されたい)という「報酬の罠」
・周囲からの尊敬
・ポジション
・有名企業
これらはすべて地位財と呼ばれるものだ。
地位財の特徴は次の通り。
・相対評価で決まる
・椅子の数が増えない
・競争が激化しやすい
地位財を追い続ける限り、
優秀な人との競争から逃れることはできない。
そこで私は、「地位財を捨てる」という選択を勧めたい。
・尊敬を捨てる
・比較を捨てる
・勝ち負けの軸を捨てる
3.「成長」もまた地位財の一つ
人間であれば、特に若いうちは「成長したい」と思うのが自然だ。
ただ、「成長」は目的ではなく、手段ではないだろうか。
どれだけ努力しても、市場価値がカンスト(それ以上頑張っても評価されない)すればそれ以上の努力は「過剰品質」になる。
日本人は全体的に真面目で、職人気質な人が多い。
だが、個人的には
「自分の専門分野が適性も含めてカンストしたら、競争を避けて別の分野へ移る」という判断も、もっとあっていいと思っている。
例えば、
エンジニア:凄い人が大量にいる
顧客折衝:凄い人が大量にいる
どちらも単体では競争が非常に激しい。
私自身、何度も「自分より凄い人」を見てきた。
一方で、「顧客折衝ができるエンジニア」は一気に数が減る。
単体では勝てなくても、掛け合わせることで希少性を作ることができる。
全包囲網で100点を出せる人は中々いない。ただ、1科目なら100点を出せる人はとても多い。
さらに、ここに英語などを組み合わせれば、
「代わりがいない存在」になることも十分可能だ。
体感的には、ここまで来ると全体の5%もいないと思う。
5%以下になると、
「優秀かどうか」よりも
「代わりがいないから残ってほしい」という理由で評価されることも増える。
4.私自身の話
自分の話で恐縮だが、私は現在、1人で零細中小企業をやっている。
「不安定ですね」と言われることも多いが、正直あまり何とも思わない。
むしろ、憧れられるようになる方が競争が激しくなるので困る。
1人、あるいは少人数で仕事をするのは、
モチベーション維持の面で大変な部分もある。
ただ、性格的に真面目なため、特別に苦だと感じたことはなかった。
私のように
能力は突出していなくても、真面目な人にとって、
独立は「地位財を捨てる手段の一つ」として知っておいてほしい選択肢だと思っている。
また上述したように
・顧客折衝
・システムの開発知識
・英語
という3個を強みに、正直1個ずつの能力は高くないが食えている。
何というか昔から
1個の教科で100点よりは10個の教科で70-80点を取るのが得意だったと思う。
どれだけ優秀でも、
代わりが見つかる限り、競争は激しくなる。
もちろん、新しい分野に挑戦する時は
レベルゼロからのスタートになる。
最初はしんどいし、尊敬もされない。
ただ、時間をかければ
一定以上の業務レベルには必ず到達できる。
特に、「職人気質ではなく、飽きやすい人」には、この方法を強くおすすめしたい。
レベルゼロからの未経験分野の学習は楽ではないが、結果として、生き方はかなり楽になった。
5.人の行く裏に道あり花の山
投資の世界に、こんな言葉がある。
「他人と同じことをやっていては大きな成功は得られない。
大きな成功をするには、他人と違うことをしなければならない。」という意味だ。
明確なキャリアパスがあると、頑張りやすく、組織としても強くなる。
ただし、個人レベルで見ると、激しい競争に晒されることになる。
特に私のような文系卒の場合、それなりの報酬を得ようとすると
コンサルや外資金融といった激務に選択肢が限定されがちだ。
受験勉強を勝ち抜いた先が激務、というのは、正直あまり面白い未来ではない。
会社から与えられた問題に対して高得点を取り続ける生き方も一つだ。
一方で、
市場の隙間から出てくる問いに対して
そこそこの得点を取りつつ、生きやすく生きるという選択もあっていい。
1億2,000万人もいる社会なのだから、生き方が一つである必要はない。
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