前回の記事では、
「疲れやすさ・下痢・朝の眠さ・落ち込みは、別々の悩みではなかった」
という実践例を紹介しました。
今回も、同じご相談者さんの実践例です。
個人が特定されないよう、一部内容はぼかして書いています。
最初のご相談内容は、
・疲れが抜けない
・腸の調子が悪い
・朝から眠たい
・落ち込みやすい
・夕方になるとエネルギー切れになる
というものでした。
お話を聞いていくと、生活の中でひとつ大きなポイントが見えてきました。
それが、朝のアイスコーヒーです。
もちろん、アイスコーヒーそのものが絶対に悪いという話ではありません。
元気な人が楽しみとして飲むなら問題ないこともあります。
暑い日に冷たいものを飲みたくなることもあります。
コーヒーの香りで気持ちが切り替わることもあるでしょう。
ただし、今回のご相談者さんの場合は、
・足やお腹の冷えがある
・油物や肉で下痢をしやすい
・朝から眠たい
・疲れが抜けない
・夕方にエネルギー切れになる
という状態がありました。
この状態で、朝に冷たいコーヒーを飲むとどうなるか。
命縁弁証学では、ここを「体質と生活の噛み合わせ」として見ます。
冷たいものが胃腸に入る。
お腹の働きがさらに鈍りやすくなる。
朝の食事から十分にエネルギーを作れない。
日中はカフェインでなんとか動く。
夕方になるとエネルギーが切れてくる。
チョコや甘いもので、もう一度なんとか動こうとする。
こういう流れが見えてきました。
つまり、朝のアイスコーヒーは単なる嗜好品ではなく、
その方の体質と状態によっては、1日のエネルギーの流れに影響していた可能性があります。
そこで、まず提案したのはとてもシンプルなことでした。
朝のアイスコーヒーを一度やめてみる。
朝ごはんにお米をしっかり食べてみる。
特別な健康法ではありません。
高価なサプリでもありません。
難しい食事制限でもありません。
ただ、朝に冷たい刺激で動かすのではなく、
体が使いやすいエネルギーを入れる。
この方向に変えてみたのです。
すると、ご本人からとても印象的な報告がありました。
朝のアイスコーヒーをやめて、朝ごはんにお米をしっかり食べたところ、
夕方になってもエネルギーが残っていて、帰宅後もソファーで横にならずに活動できたとのことでした。
それまでなら考えられなかった変化だったそうです。
これは、私にとってもとても大きな実践例でした。
なぜなら、ここで起きた変化は、
「気合いで頑張った」
「根性で動いた」
というものではないからです。
体に合った形でエネルギーが入ったことで、
本来持っていた力が出やすくなった。
そう見る方が自然でした。
ここで大切なのは、
「コーヒーが悪い」
「お米だけが正しい」
という単純な話にしないことです。
問題は、食品そのものの善悪ではありません。
その人の今の状態に合っているかどうかです。
同じコーヒーでも、
温かいコーヒーなら問題ない人もいます。
食後なら大丈夫な人もいます。
元気な時なら楽しめる人もいます。
でも、冷えがあり、お腹が弱り、朝から眠く、夕方にエネルギー切れを起こしている人にとっては、朝の冷たいコーヒーが負担になることがあります。
命縁弁証学では、こうしたズレを見ていきます。
何を食べているか。
いつ食べているか。
どんな状態の時に食べているか。
その後、体や気分がどう変化するか。
この流れを見ることで、
その人にとっての整え方が見えてきます。
今回の場合、朝にお米をしっかり食べることは、単なる栄養補給ではありませんでした。
朝から体温を上げる。
胃腸を動かす。
日中に使えるエネルギーを作る。
夕方のエネルギー切れを防ぐ。
甘いものに頼りすぎる流れを弱める。
そういう意味がありました。
実際、ご本人はその後、
夕方まで体力が持つ感覚や、甘いものへの欲求が少し落ち着く変化も感じられていました。
ここで見えてくるのは、
「甘いものを我慢できない」
という悩みも、単純に意志の弱さではないということです。
体に必要なエネルギーが足りていない。
朝からうまくエネルギーを作れていない。
夕方には燃料切れになっている。
その状態でチョコやお菓子が欲しくなるのは、ある意味では自然な反応です。
だから、いきなり
「甘いものをやめましょう」
と言っても、うまくいかないことがあります。
先に必要なのは、
甘いものを我慢することではなく、
甘いものに頼らなくても動ける状態を作ることです。
今回の実践例では、朝食がその入口になりました。
朝の冷たいコーヒーをやめる。
お米を食べる。
温かいものを入れる。
夕方にエネルギーが落ちきる前に、小さく補う。
こうした小さな調整が、1日の動き方を変えていきました。
これは、命縁弁証学で大切にしている
「状態を整える」
という考え方そのものです。
悩みを直接叩くのではなく、
悩みが出てくる背景を整える。
疲れやすいなら、疲れを責める前に、エネルギーの作り方を見る。
落ち込みやすいなら、心を責める前に、体の余力を見る。
甘いものがやめられないなら、意志を責める前に、燃料切れを見てみる。
体が整うと、選び方が変わります。
「食べてはいけない」ではなく、
「何を食べると楽か」が分かってくる。
「我慢しなきゃ」ではなく、
「こうすると夕方が楽だ」と体感できる。
この体感があると、生活改善は一気に続けやすくなります。
今回のご相談者さんも、ただ説明を聞いただけではなく、実際に試して、体の変化を感じられました。
その結果、
「自分の体はこう反応するんだ」
という感覚が少しずつ育っていきました。
これはとても大切なことです。
誰かに正解を決めてもらうのではなく、
自分の体の反応を見ながら、整え方を見つけていく。
命縁弁証学では、この感覚を大切にしています。
今回の実践例から言えることは、
大きな不調のように見えるものでも、入口はとても小さいことがある、ということです。
朝の一杯。
朝の一食。
夕方の補い方。
冷たいものか、温かいものか。
そんな小さな違いが、1日の体力や気分に大きく影響することがあります。
疲れやすい。
朝から眠い。
夕方に動けない。
甘いものに頼ってしまう。
そういう時は、自分を責める前に、
まず朝の入り方を見直してみるのも一つの方法です。
それだけで、体が少し違う反応を見せてくれることがあります。
次回は、夕方のエネルギー切れと、チョコや甘いものに頼ってしまう流れについて、もう少し詳しく書いていきます。