ここまで、甘いもの、カフェイン、ジャンクフード、ご褒美、SNS、旅行について書いてきました。
一見すると、それぞれ別の問題に見えます。
しかし、共通しているものがあります。
それは、
快感があるものは、何度も欲しくなりやすい
ということです。
今回は、その背景にある脳の仕組みについて考えていきます。
難しい話ではありません。
「なぜ分かっているのに、また欲しくなるのか」
ここを整理していきます。
■ 人は「快」を覚える
人の脳は、気持ちよかったことを覚えます。
甘いものを食べて楽になった。
コーヒーを飲んで動けるようになった。
買い物をして気分が上がった。
SNSで反応がもらえて嬉しかった。
旅行に行って解放感があった。
こうした体験があると、脳はそれを記憶します。
そして次に疲れたとき、不安になったとき、物足りないときに、
「あれをすれば楽になる」
と反応しやすくなります。
これが依存の入り口です。
■ ドーパミンは「快感」だけではない
依存の話では、よくドーパミンという言葉が出てきます。
ドーパミンは単純に「快感物質」と説明されることがあります。
ただ、実際にはもう少し広く、
期待・報酬・行動の動機づけ
に関わるものと考えた方が分かりやすいと思います。
つまり、
「気持ちいい」
だけではなく、
「欲しい」
「またやりたい」
「手に入れたい」
という方向に人を動かす働きがあります。
■ 欲しいものは、手に入れる前から強くなる
依存で重要なのは、快感そのものよりも、
欲しくなる力
です。
たとえば甘いものを食べる前から、すでに頭の中では甘いもののことを考えています。
コンビニに寄ろうか。
チョコを買おうか。
カフェに行こうか。
今日は頑張ったからいいかな。
この段階で、すでに欲求は動き始めています。
実際に食べた瞬間だけではなく、
「食べる前の期待」も人を動かしているのです。
■ SNSはこの仕組みを刺激しやすい
SNSも同じです。
投稿する。
反応がつく。
いいねが増える。
コメントが来る。
すると脳は、
「また投稿したい」
「また反応が欲しい」
と覚えます。
しかもSNSの場合、反応がいつ来るか分かりません。
すぐ来ることもあれば、少し遅れて来ることもあります。
この「いつ来るか分からない反応」は、人を何度も確認させやすくします。
だからSNSは、ただの情報収集ではなく、欲求を刺激し続ける仕組みになりやすいのです。
■ 甘いものやカフェインも同じ構造
甘いものやカフェインも、ただ味が好きだから欲しくなるわけではありません。
疲れているときに甘いものを食べる。
少し楽になる。
コーヒーを飲む。
少し動けるようになる。
この経験が繰り返されると、体と脳は覚えていきます。
疲れた
↓
甘いものが欲しい
眠い
↓
コーヒーが欲しい
ストレスがある
↓
何か食べたい
このような回路ができていきます。
こうなると、意志だけで止めるのは難しくなります。
なぜなら、ただの好みではなく、状態を戻すための手段として脳が覚えているからです。
■ 快感はだんだん強い刺激を求めやすい
依存で怖いのは、同じ刺激では満足しにくくなることがある点です。
最初は少しの甘いもので満足できた。
でも、だんだん量が増える。
最初はたまにの買い物でよかった。
でも、疲れるたびに買いたくなる。
最初は旅行が特別だった。
でも、次の予定がないと落ち着かなくなる。
これは、その人が弱いからではありません。
刺激で状態を保とうとすると、だんだん刺激が基準になってしまうからです。
■ 依存は「快楽を求める問題」だけではない
ここで大切なのは、依存を単なる快楽の問題として見ないことです。
人はただ楽しみたいから依存するのではありません。
多くの場合、
疲れている。
不安がある。
満たされない。
退屈がつらい。
自分を保てない。
そうした状態が先にあります。
その状態を一時的に変えてくれるものに、依存性が生まれます。
つまり依存は、
快楽の問題であると同時に、状態の問題
なのです。
■ 命縁弁証学で見ると
命縁弁証学では、今の状態や環境を「縁」として見ます。
依存は、縁の乱れを一時的な快で補っている状態です。
流れとしてはこうです。
疲れ・不安・不足感
↓
快を求める
↓
一時的に楽になる
↓
脳が覚える
↓
また同じ快を求める
↓
根本の状態は変わらない
これが未病のループです。
病気とまでは言えない。
でも、判断力や生活の安定は少しずつ揺らされていきます。
■ だから「意志の力」だけでは難しい
依存のある状態で、
「もう食べない」
「もう見ない」
「もう買わない」
と決めることはできます。
でも、疲れや不安や不足感が残っていると、脳はまた同じ快を求めます。
そこで我慢だけをすると、さらにストレスが増えます。
ストレスが増えると、また快が欲しくなります。
だから、意志だけで戦うほど苦しくなることがあります。
必要なのは、欲求を押さえ込むことだけではありません。
欲求が強くならなくても済む状態に整えることです。
■ 欲求は敵ではなく、サインでもある
甘いものが欲しい。
コーヒーが欲しい。
スマホを見たい。
買い物したい。
旅行に行きたい。
こうした欲求をすべて悪いものとして扱う必要はありません。
欲求は、自分の状態を教えてくれるサインでもあります。
疲れていないか。
不安が強くなっていないか。
食事が乱れていないか。
睡眠が足りているか。
日常が苦しくなっていないか。
欲求が強くなったときは、
「自分が弱い」と責めるよりも、
「今の状態はどうなっているのか」と見る方が大切です。
■ まとめ
依存は、単に快楽を求める問題ではありません。
快を覚え、期待し、また欲しくなる脳の仕組みがあります。
甘いもの、カフェイン、SNS、買い物、旅行。
これらは一時的に気分を変えてくれます。
しかし、根本の疲れや不安や不足感が残ったままだと、また同じ刺激を求めやすくなります。
大切なのは、欲求を根性で押さえ込むことではありません。
欲求が暴れなくても済む状態に整えることです。
依存を責めるのではなく、
依存が起きている状態を見ていく。
そこから、未病を整える道が始まるのだと思います。
■ 次回予告
次回は、ここまでの話を踏まえて、
依存はどうすれば抜けられるのか
について考えていきます。
占い、健康法、ダイエット、SNS。
人は不安なとき、外に答えを求めやすくなります。
でも本当に必要なのは、答えを増やすことではなく、
自分で判断できる状態を取り戻すことです。
次回は、依存から抜けるための方向性について書いていきます。