年末仕事納めのタイミングに大掃除を設定している企業は世の中多いように感じます。昔から決まっている慣習のようにも思われますが、就業時間で掃除を行う意図は何かあるのか調べてみました。
まず前提として、年末に必ず大掃除を実施しなければならないといった旨の法令は存在しておりません。つまり義務ではありませんが、就業時間内に組まれているのであれば業務として扱われ従わなければ業務命令違反となります。ただし業務である以上命令する側には安全配慮義務が課され、危険が伴う作業や体調に合わせて合理的配慮に注意しなければならないケースもあります。
さて、本題の大掃除の意義ですが複数の領域にまたがる法律をカバーする側面があるとさえています。労働者の安全や健康の確保・職場の安全衛生を保つことを目的とした“労働安全衛生法”や危険物・障害物の放置防止など作業場を安全に保つことを狙いとした“労働安全衛生規則“があります。掃除による整理整頓、不要物の除去は労災や衛生リスクの効果的な防止と見做され、法の趣旨を満たす実務的な手段と言えます。
他にも防火扉の前に物を置いている、非常口に荷物が山積していて通れないなどは“消防法”に抵触している事案でありこうした事態が発覚した場合は処罰や罰則のリスクに直面します。大掃除のタイミングでこうしたポイントを確認し、加えて防災設備の整備や可燃物の管理などを行うことで万が一の時に対処できる体制を徹底する意味合いも含まれております。
会社や事業主がリソースを割いてまで大掃除を行う、言い換えると何を危惧してのアクションなのかというとまずは監査対策が挙げられます。対象となる主な監査は労働基準監督署や消防署、ISOや社内の監査部門など多岐にわたります。定期的な清掃は管理機能が行き届いている証拠となり、是正指導や指摘を回避する可能性を高められます。仮に労災が発生したとして、「会社は予見できた危険に適切に処置していたか?」という争点に対して実施記録やチェックリストが残っていれば安全配慮義務を果たしていた証拠としての価値を発揮します。
また何か損害を被り保険の申請をする際も、管理不備や長期間にわたる法令違反が発覚した場合は部分保証、最悪支払いがなされないなどといった事態にもなりかねません。保険支払いを無事済ませるための「保険」としての役割も期待されます。
どこかの誰かは言いました。
「掃除は丸く掃くな 四角く掃け」と。
せっかくやる良い機会が訪れたのならば中途半端ではなく自分が納得いく形で終わらせられるよう行動したいものですね。