20 年ぶりの出題形式の変更。その全貌が出題元より公表されました。かなり大きめの変更です。
以下順を追ってご説明いたします。
主な変更点
(変更時期) 2026年1月21日から。
(1)スコア体系の変更:従来の0〜120点スケールに加え、新たに1〜6(0.5刻み)スケールを導入。
(2)出題内容・出題形式(特にリーディング/リスニング)における 「多段階適応型(adaptive)設計」の導入。
(3)出題トピック/素材の更新:従来のアカデミックテーマだけでなく、現代の学習環境や学生経験に即した内容に。
(4)試験体験の簡便化(予約~受験~スコア通知までの流れ)。
以下、もう少し細かく見ておきます。
(1)スコア体系の変更
2026年1月21日から、新しいスコアスケール「1~6(0.5刻み)」を導入。
(2)この新スケールは、世界的な語学能力基準である Common European Framework of Reference for Languages(CEFR)に整合させるためのもの。
(3)移行措置として、2026年1月~2028年1月頃までの2年間は、旧スコア(0~120)も併記される予定。
(4)それぞれのセクション(Reading/Listening/Speaking/Writing)も1~6でのスコアとなり、総合スコアは各セクションの平均を四捨五入(0.5刻み)で出す方式。
(5)旧形式( 0〜120 点スコア)での受験と新形式( 1 〜 6 スコア)での受験では、対策・感覚が少し異なってきそうです。特に「適応型」形式になるという点では、従来の「固定問題数・固定難易度」という想定での対策がそのまま通用するとは限らない可能性があります。
出題形式・内容の変更
リーディング及びリスニングのセクションで 多段階適応型(multistage adaptive) の設計が導入される予定。これは、受験者の解答状況に応じて問題の難易度・内容が変化する形式です。
従来はアカデミックなものが中心でしたが、TOEIC で出るようなビジネス英語寄りのものも出題されるように。
テストの所要時間、構成も簡素化・効率化が図られており、受験者の負担を軽減する意図があります。スコアの通知が速くなることも言及されています。
あなたにとっての準備ポイント
このように、大きな変更が入るということは、受験対策にも影響があります。以下、日本で受験を予定している方にとって特に留意すべき点を挙げます。
(1)新形式で「適応型」が導入されるということは、特定の難易度帯の問題をこなすだけでなく、自分の英語力に応じて変化する問題に対応できる柔軟性が問われます。途中で難しい問題が出ても動じずに解答を継続して下さい。
(2)従来の「大学教科書風」のテーマだけでなく、アカデミックではないコンテキストでの英語運用も準備しておいた方が有利です。この点では、TOEIC の経験があると有利です。
(3)スコア報告方式が変わるので、受験校/提出先が新スケール(1〜6)をどう扱うか、日本から応募する大学がどちらのスケールを基準にするかを事前に確認した方が安心です。特に「2026年1月以降受験分」では新スケールが適用される点に注意。
(4)実際の対策教材・模試も、これらの変更を反映したもの(出題トピック、適応型問題形式、短時間化、スコア報告例)へ移っていくはずなので、早めに新形式対応版の教材を選ぶ・チェックすることをおすすめします。
従来型の TOEFL をやっていた人にとって今度の新形式の試験は易しく感じるようになるであろう内容がサンプル問題に出ていました。中には TOEIC で出るような問題も含まれており、これまでの TOEFL よりは親しみやすくなった印象です。より広い学力層の皆様に対応できる試験になったと言えそうです。
新形式(2026年1月21日以降)の構成
「*」のついた値は「受験者の回答に応じて(適応型方式により)変動する可能性あり」という意味合いで、ETS公式ページにもその旨が記されています。
補足・注意点
「問題数」「時間目安」がセクション毎に「約 ○〜○」と幅を持たせているのは、多段階適応型(multistage adaptive)形式をReading/Listeningに導入するためです。
したがって、受験者のレベルによって、解く問題の数や試験時間が変動します。自身の応答状況に応じて変化するというわけです。
スピーキング・ライティングについても、明確なタスク数や時間配分を詳細に公表しているわけではありません。上記はあくまで目安となります。
出題トピック・問題形式に新しいものが入ることが発表されています。例えば、これまでの大学のキャンパスライフに関わる会話や大学の教科書、大学での講義の音声に加え、より広範な場面での社会生活、日常生活・ソーシャルメディアの使用、ウェブ記事や広告等の素材からの出題もサンプル問題にて公表されています。
スコア体系も変更され、セクション毎スコアおよび総合スコアが 1.0〜6.0(0.5刻み) のスケールに変わる予定です。
TOEFL iBT 出題形式:新旧比較(2026年改定対応)
スコアが1.0から6.0の「0.5刻み」で表示されるようになるので、その数値に慣れるまでに少し時間がかかるかもしれません。
新形式の出題タイプ・トピック例
TOEFL iBTの2026年1月21日以降の更新版について、公式発表・信頼できる情報ソースから「こういうタイプや素材が出る可能性が高い」という具体例を整理します。完全な確定情報ではない部分もありますので、「傾向」として捉えてください。
TOEFLでは、新形式問題による出題が始まった後に、受験生のデータを集めてさらなる変更、改良が行われてきました。今回もそうなると考えられます。
Reading(読解)
(1)「穴埋め(スペル/単語補充)問題」:例えば、段落の中で単語の一部が「‑ ‑ ‑」の形で空欄になっており、文脈からその語句を補うタイプ。 Duolingo で出題されるタイプです。
(2)非アカデミックな短文素材:メモ、掲示、メール、掲示板投稿、ポスター、請求書など、いわゆる“学生生活・日常”に即した文章。 TOEIC のようなイメージです。
(3)従来のアカデミックな文章も残りますが、本文の長さも小問の数も半減。小問の数も大問1問あたり10問題から5問に。
Listening(聴解)
(1)多段階適応型(アダプティブ)なので、前半の正答率によって後半の難易度が変動します。
(2)素材として「学生間の会話」「キャンパスでの相談」「オンライン授業/ディスカッション」など、アカデミック場面+日常学生シーン。例えば「新入生のオリエンテーションでの会話」「グループワークの指示とやりとり」など。
(3)従来の「講義+会話」という構成は残るものの、トピックに変化あり。例えばポッドキャスト形式、または「学生が実際にどう英語を使うか」を反映した形式に。
Speaking(スピーキング)
「Repeat After Me(繰り返す)」、「Virtual Interview(仮想面接)」といった2形式のみが出題元が公表するサンプル問題に記されています。
「Repeat After Me(繰り返す)」タイプの問題はこんな感じ。
例: “You are learning to welcome visitors to the zoo. Listen to your manager and repeat what she says.”
トピックとしては、学生のキャンパス生活・アルバイト・グループ活動など、より「日常に根ざした英語運用場面」が増える見込み。従来はアカデミックなものが主に出題されましたが、出題対象に広がりが出てきます。従来型の TOEFL に、TOEIC の一部の形式で見られるようなビジネス英語が加わるイメージです。
Writing(ライティング)
ETS が公表した新形式情報のサンプル問題では、従来の「Integrated task(読む+聞く+書く)」が消滅しています。「Academic Discussion task」は残っています。話題素材として「ディスカッション掲示板」「オンラインクラスでの学生応答」「学生の意見交換」など、学生の英語使用場面を想定した内容。
これに「メール作成(Email Writing)」「語句並び替え(Word Ordering)」といったより短く、実用的な文書作成を課す問題が加わっていました。
メール作成問題は、TOEIC のライティングテストを受験された方であれば、お馴染みの形式です。
対策時のポイントまとめ
新形式では 形式が変わる部分(タスク形式・素材・時間配分・適応型) と、 変わらない基盤(英語力:語彙・文法・理解力) に分けて対策を行う。
素材トピックが「学生生活/グループワーク/キャンパスでの英語使用」など実用的になってきているので、これらを意識した練習を増やす。
スピーキング・ライティングでは、短時間・短タスク型へ移行するため、「即答力」「文書作成スピード」「英語を即座に口に出す・書く習慣」が求められる。
旧形式対応教材もまだ価値があるが、新形式用サンプル・模試(公式、信頼できる出版物)を必ず取り入れる。出題元からサンプル問題が公開されています。
受験日・形式の確認を必ず。2026年1月21日以降は新形式。
あわてる必要はありません。
2005 年に TOEFL iBT が新たに導入された時ほどの衝撃はありません。あの時は、紙に印刷された問題を解く試験からコンピュータ受験に変わりましたので、それなりの衝撃がありました。スピーキング試験という、それまでは全くなかった試験も導入されました。
あの衝撃に比べれば、今回の変更は大したことはありません。
今回の変更の柱は2本
「難しすぎた TOEFL を少し易しくする」
「受験生のレベルに合わせて難易度を調整した問題が出題される」
この2点です。従来型の TOEFL をしっかりやってきた方が苦しむことはありません。従来型の TOEFL の方が難易度が高かったからです。
これまでは TOEFL がターゲットにしてこなかったような、より幅広い学力層の皆様向けに、より親しみやすい試験になったということが言えそうです。
新形式の出題が始まってもその後何年かかけて変更が加えられていきます。時代の要請にあった試験に常に進化していくという ETS の姿勢を垣間見るような気がします。