ハラスメント防止のカギは「ズレ」「怒り」「思い込み」に気づくこと
春、新しい出会いが始まる季節。 だからこそ、あらためて「ハラスメント防止」について考えてみたいと思います。
◆ ハラスメントの現状
厚生労働省の「令和5年度職場のハラスメントに関する実態調査報告書」によれば、過去3年間で相談があったハラスメントの種類は以下の通りです:
パワーハラスメント(64.2%)
セクシャルハラスメント(39.5%)
カスタマーハラスメント(27.9%)
妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント(10.2%)
介護休業等に関するハラスメント(3.9%)
就活等セクハラ(0.7%)
これは、全国の従業員30人以上の企業・団体、7,780件を対象とした調査に基づいています。
ハラスメントは「行動した側のつもり」よりも、「受け取った側の影響」が重要です。 それは、ときに受け手の人生そのものを左右してしまうほど、深刻なダメージを与えることもあるのです。
◆ 私が考えるハラスメント防止のカギは「3つの視点」
1.ズレに気づく力
人はつい、「相手も自分と同じように感じているはず」と思いがちです。
しかし、伝える側の“つもり”と、受け取る側の“受け止め方”には、大きなズレがある場合があります。
だからこそ、
「伝えた意図」ではなく、「相手に与えた影響」
この視点で物事を捉える習慣が必要です。
「そんなつもりじゃなかった」は通用しません。 どんなに善意でも、受け手が傷ついたのなら、それは振り返るべきサインなのです。
2.怒りを理解し、手放す力
怒りの背景には、理性よりも本能が働いています。
脳は3層構造になっていて、
脳幹(爬虫類脳):本能的、瞬間的な反応
大脳辺縁系(哺乳類脳):感情を司る
大脳皮質(人間脳):理性・論理を司る
怒っているときは、本能的な「爬虫類脳」が優位になっており、論理的に考える力は抑えられています。
肩が強ばり、呼吸が浅くなるなど、身体にもサインが現れます。
そんなときこそ、「深呼吸」。
ゆっくり息を吐くだけで、人間脳が少しずつ戻ってきます。
そして、こう自分に問いかけてみてください。
「相手にも事情があるかもしれない」
「怒ることにエネルギーを使うより、変えられることに使おう」
「この出来事は、自分に何を学ばせようとしているのか?」
怒りの原因は「理想と現実のギャップ」にあります。 でも、「過去と他人」は変えられません。 変えられるのは、「自分と未来」。
だからこそ、できているところに目を向ける。 それは、心理学でいう「Yesセット(肯定モード)」を自分に与えることでもあります。
3.思い込みを手放す力
「アイコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」という言葉をご存じですか?
アインシュタインはこう言いました。
「常識とは、18歳までに集めた偏見のコレクションである」
たとえば…
「男性だから強くあるべき」
「女性だから気が利くはず」
「LGBTの人はこういう考え方をする」
こうしたステレオタイプは、脳が“省エネ”のためにしてしまう思考の近道。 でも、人は一人ひとり違います。
だからこそ、
「ちゃんとその人自身を見る」ことが大事。
思い込みではなく、観察。 ステレオタイプではなく、その人の“できているところ”に目を向ける。 それが、信頼と人間力を育てる視点だと私は思います。
◆ 新しい出会いの季節に
ハラスメント防止とは、「ルールを守ること」以上に、
人を大切にしようとする思いやりの実践
だと思います。
新年度、新しい出会いがたくさんあるこの季節。 誰もが“安心して自分らしくいられる関係”を、少しずつでも築いていけたら。
きっと、もっとワクワクする未来が待っているはずです。
📝まとめ
ハラスメントは「伝えた意図」ではなく「受けた影響」で判断される
怒りは本能。深呼吸で理性を取り戻そう
思い込みを手放して、相手の“今ここ”を見つめる