テレビ業界に勤めていた時に体験したほんの少しだけ怖い話

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コラム
こんにちは。
こまりです。

今回は「ほんの少しだけ怖い話」をお話しします。


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【 episode2 】お兄さんの編集ブース

名称未設定のデザイン.png

取材先から帰り、撮影したテープを見返そうと、ゆっくりと取材テープを再生できる場所を探していました。

たまたま映像を編集するための編集ブースが空いていたので、そこを使わせていただくことにしました。

なぜか妙に寒いその小部屋で再生デッキにテープを入れたとき、ふと後ろに黄色いTシャツを着たお兄さんが立っていることに気づきました。

題名にて「ほんの少し怖いお話」としていることでもうお察しの方もいらっしゃるかもしれませんが、このお兄さん、どうにもこの世の方ではないようでした。

昔から機械に干渉する幽霊のお話は多く、電波の飛び交う場所は溜まりやすいなどと言われますが、テレビ局にはそれなりにこういう方がいらっしゃいます。

他のブースに変更しても良いのですが、そんなことよりも疲れていて、移動するのがちょっと面倒です。

特に何かするわけでも睨んでいるわけでもないし、まあいいかと私はそのままその場所でテープを再生することにしました。

少し経ってから、一緒に取材に行ったディレクターが様子を見にきました。

もともとラガーマンだったそのディレクターは、現役引退後も体を鍛えていて、ザ体育会系というかんじの溌剌さのある方です。

ディレクターのAさん(仮)は、一緒にテープを確認しようと来たらしいのですが、私の顔を見て「なんか調子悪いの」と心配してくれました。

「なんかこの部屋ちょっと寒くて…」

「そういえばこの間、ここのブースでいきなり扉が閉まったとかで、みんな騒いでたなあ」

編集ブースの扉は普通より重いガッチリとしたもので、自然と閉まると確かにちょっと怖いかもしれません。

ふと考え込んだAさんは、ふいに宙に向かって話しかけました。

「ちょっとここよりいい場所があるから、ついてきて。紹介するよ」

まるでデートに誘うような文言です。

ちなみに誘っているお相手はAさんのちょうど後ろにいますので、特に見えているというわけではなさそうでした。

Aさんがブースを出ると、黄色いシャツのお兄さんは、その背中にぴたりと向いて廊下に出ました。

あ、付いていくんだ。

「ここのほうが居心地が良いと思うから、どうぞ」

Aさんが案内したのは、10メートルほど離れた角の編集ブースで、他よりは少し大きめの場所でした。

指差した大きめの編集ブースに、黄色いシャツのお兄さんが入っていきます。

あ、入るんだ。

私はなんとなく、そのブースのガッチリとした扉を閉めました。

封印。

「よし」

黄色いシャツのお兄さんはただただ移動しただけなので何も解決はしていないのですが、Aさんはガッツポーズをしました。

「これで大丈夫でしょ」

特に何も大丈夫ではないのですが、まあいいかと私も頷きました。

なによりも疲れていたので、この後の作業が捗るなら異論はありません。

ちなみに黄色いシャツのお兄さんはこのブースをよほど気に入ったのか、その後もそこから動きませんでした。

よっぽど居心地がいいのかなと思いながら、心の中ではそのブースを「お兄さんの編集ブース」と呼んでいました。


そんなほんの少しだけ怖いお話。

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