放送業界に勤めていた時に体験したほんの少しだけ怖い話

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コラム
こんにちは。
こまりです。

今回も「ほんの少しだけ怖い話」をお話しします。


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【 episod3  】割れたスタジオ照明


「お通夜は明日らしいの」

スタジオ横のカメラ機在庫にて、同僚から先輩の訃報を聞いたのは、本番を3時間前に控えたときでした。

その先輩はつい一週間前に入院していて、それまでとても元気だったので、突然の体調不良にみんな戸惑っていました。
数日前、今度みんなでお見舞いに行こうと話していたところだったのもあります。

先輩はとても不真面目を装うのにとえも真面目な方で、怒る時もどこか明るくて、反省していると分かると最後には茶化しておわらせてくれる方でした。

私が他の先輩に怒られてひたすら謝って自身の能力不足に落ち込んでいた時に、いきなりアンプで大きな音を鳴らしてびっくりさせられたこともありました。
曰く「空気が悪いままだと出来ることも出来なくなる。とりあえず無心で頑張って手を動かせ」だとか。

「色々考えたことが吹っ飛びそうじゃないですか」と恨み言を言うと、笑っていました。
それが決して悪意からくる行動ではなく、励ましであると分かる、そんな優しい方です。

機材にネズミのフンがあったときは「見つけたら追い払ってやる」と私たちの誰よりも怒っていたのに、数日後にネズミが出た時は逃げ惑う私たちに「でも必死に生きてるしなぁ」と言うような方でした。

なにか信じられない気持ちで、「ご病気だったの?」と聞くと、同僚からは「原因不明らしい」と返ってきました。

同僚が言うには、部長がお見舞いに行ったらしいのですが、その時はそう説明されたそうでした。

その場になんとも言えない空気が流れました。
受け入れるにはあまりに唐突で、どう言葉を発していいのか分からないというのが正しいと思います。

ところで、スタジオ横のカメラ機在庫とは、スタジオで使用するカメラなどなどの機材を収納した場所です。

収録前に規定の照明を付けてカメラの色味などを調整したり、倍率の違うレンズに交換したりします。

だいたい3人くらいで準備をして、最後に5、6台あるカメラのすべてが同じ色味の映像を撮れるように調整します。

同僚からこんな話がでたのは、その調整中、5.6分ほど私たちに待ち時間がうまれたときでした。

無言になった私たちの空気を割って、ぱりんという音が響きました。

LEDになってきていたのもあって、昔と違って今は照明がいきなり割れるなんてあまりありません。

なので、照明が割れたことに恥ずかしながらその場の一同悲鳴を上げたまま固まってしまって、インカムで「誰か照明触った?」という声がかかるまで、しばし呆然としていました。

「えー、すみません。照明が割れたので、照明さん(照明担当)を呼んでいただけますか?」

インカムにそれだけ言ったっきり、また無言の空気が流れました。

「もしかして、私たちがサボってたと思って喝を入れられたのかな」

そういった同僚は、とくに怖がっているとかではなく、どこかそうであってほしいというような声音でした。

「んー、ただ、ちょっとびっくりさせたかったんじゃない」

人を驚かせるのが好きな先輩のことを思い出しながら言うと、どこかに残っていたのか、照明の破片がおちてきました。
あっと思って同僚と目が合って、少しだけ笑いました。

そんなほんの少しだけ怖いお話。

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