「父の死亡が載っている戸籍を取ったのに、銀行で『出生までさかのぼった戸籍も必要です』と言われました」
相続のために役所へ行き、ようやく手にした戸籍。それでも追加を求められると、何を取り直せばよいのか迷ってしまいます。被相続人の戸籍は、出生から死亡まで連続してそろえる必要があります。
今回は、長男が父の預金の相続手続きを始める場面を考えてみます。
※以下は制度を説明するための架空のモデルケースです。実際のご相談事例ではありません。
【今回の家族と手元の書類】
父が亡くなり、家族が把握している相続人は母と長男・長女の3人。
遺言書はなく、長男が銀行への連絡を担当しています。
手元にあるのは、父の死亡が記載された戸籍全部事項証明書1通です。
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■ 1.「全部事項証明書」でも、一生分とは限らない
長男は「全部と書いてあるのだから、父のことは全部載っているはず」と考えていました。
戸籍全部事項証明書の「全部」は、その戸籍に記録されている全員の事項という意味です。一人の出生から死亡までの経歴が、すべて1通に収まるという意味ではありません。
戸籍は婚姻や転籍、法令に基づく改製などで新しく作られることがあります。新しい戸籍に引き継がれない事項もあるため、最後の戸籍だけでは過去の相続関係まで確認できない場合があります。
今回の長男が追加を求められたのは、父の死亡を示すためだけではなく、父にどのような親族関係があったかを確認するためです。
まずは銀行から渡された必要書類の案内を見直します。遺言書の有無などによって求められる書類は異なるため、取り直す前に不足する範囲を確認しましょう。
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■ 2.発行日ではなく、戸籍がつながる順に並べる
長男は父の戸籍を読み直し、戸籍が新しく作られた時期と、それ以前の戸籍を示す記載を探すことにしました。
見るのは、主に次の情報です。
・本籍と筆頭者
・戸籍が編製・改製された日とその理由
・転籍や婚姻などの記載
・従前の戸籍を示す情報
例えば、父の戸籍が次の順に移っているとします。
出生時に入っていた親の戸籍
↓
婚姻によって新しく作られた戸籍
↓
転籍後の戸籍
↓
改製後の戸籍(父の死亡を記載)
※これはつながりを示す一例です。必要な戸籍の種類や通数は人によって異なります。
長男が持っていたのは、このうち最後の戸籍だけでした。最後の戸籍から一つ前へ、その前へと記載をたどり、父の出生までつながる資料をそろえていきます。
「昨日発行された戸籍だから十分」という判断はできません。発行日の新旧と、その戸籍で確認できる期間は別です。
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■ 3.役所では「父の出生から死亡まで必要」と伝える
次に役所へ相談するとき、長男は「父の戸籍を1通ください」という頼み方を変えることにしました。
「父の預金の相続手続きに使います。出生から死亡までつながる戸籍が必要です。今はこの1通を持っています」
目的と必要な範囲、手元の資料を伝えると、何を追加で確認したいのかが明確になります。本籍地と筆頭者、父の氏名と生年月日も整理しておきます。
古い資料には、除籍謄本や改製原戸籍謄本といった名称のものがあります。同じ戸籍をもう1通取ることと、以前の戸籍を追加することを混同しないようにしましょう。
父の戸籍を子が請求する場合などには、本籍地以外の窓口で取得できる広域交付を利用できることもあります。ただし対象外の証明書もあり、すべてがその場でそろうとは限りません。必要な本人確認書類と取得できる範囲は窓口に確認します。
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■ 4.集まった戸籍から、相続関係を整理する
出生まで戸籍がつながったら、家族が把握している3人だけでよいか、戸籍の記載と照らし合わせます。戸籍を集め終えることと、その内容を確認し終えることは別の作業です。
長男は、分からない記載に印を付け、銀行からの案内と一緒に整理しておくことにしました。
相続関係説明図は、確認した親族関係を図にまとめる書類です。自分で図を作っただけで、銀行への戸籍提出が不要になるわけではありません。
一方、法務局で交付される認証文付きの法定相続情報一覧図の写しは、対応する手続きで戸籍の束に代えて利用できます。利用できるか、ほかに何の書類が必要かは提出先に確認します。
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■ 途中まで集めた戸籍があってもご相談いただけます
当事務所では、相続関係説明図や法定相続情報一覧図の作成をお引き受けしています。
お持ちの戸籍を確認して相続関係を整理し、不足する資料を調べます。戸籍の取り寄せが必要な場合は、受任した書類作成業務に必要な範囲で進めます。
「何通か取ったけれど、これで全部か分からない」
「古い戸籍のどこを読めばよいか分からない」
そのような段階でも構いません。手続きを進めたい銀行等の数と、手元にある書類の種類をココナラのメッセージでお知らせください。
ことぶき行政書士事務所
行政書士 堀部 晶子
東京都行政書士会所属 登録番号 第18081890号
※相続登記の申請は司法書士、相続税の申告は税理士にご相談ください。相続人間の交渉や紛争対応は弁護士にご相談ください。
※令和8年9月時点の一般的な説明です。個別の状況と提出先により必要書類は異なります。
参考:三菱UFJ銀行「ご用意いただく書類」「よくあるご質問」、法務省「戸籍法の一部を改正する法律について」、法務局「法定相続情報証明制度」について。
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