老子は説きます。
「天下(自分の人生)において作為をしなければ、物事はことのほかうまく治まっていくものだ」と。
ここでいう「作為」とは、単に動くことではありません。
「思考を働かせ、己の欲に基づいて無理に行動すること」を指します。
終わりのない「欲」というエンジン
私たちは、欲こそが行動の原動力だと教わってきました。
しかし、欲を原動力にすると、そこには終わりがありません。
一つ満たされれば、また次の欲が顔を出す。
現代企業の売上目標が、達成してもなお永遠に上方修正され続けるのは、まさにこの構造の象徴といえるでしょう。
「作為」が生む苦しみ
欲に突き動かされて行動するとき、そこには常に「足りない」という欠乏感と、「失うかもしれない」という不安がつきまといます。
この執着こそが、私たちの心に「苦しみ」を生み出す真の原因です。
「足るを知る」という行動の原則
だからこそ大切になるのが、老子の説く「足るを知る」という境地です。
これは「何もしない」ということでも、「成長を諦める」ということでもありません。
「今、この瞬間に必要なものはすべて揃っている」と認め、心の乾きを癒やすことです。
「足りないから奪いに行く」のではなく、「満たされているから、自然に手が動く」。
この足るを知る心を土台に置くことこそが、行動していく中で苦しみを生まず、人生をスムーズに循環させるための絶対的な原則なのです。