顧問契約・コンサル契約の条件の決め方|料金・サポート範囲・期間で迷ったときに読む実務ガイド

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法律・税務・士業全般

法律より先に、決まらないのは「条件」のほうなんです


顧問契約書を作りたい、というご相談を受けると、みなさん法律の話を心配して来られます。でも、実際に手が止まっているのは、たいてい別のところ。月いくらにするか、どこまで面倒を見るか、いつまでの契約にするか。この三つが決まらないんですよね。
逆に言うと、ここさえ決まれば、契約書はもう半分できたようなものです。条文って、決めた条件を文章に直すだけの作業なので。
なのでこの記事では、条文の文例は並べません。料金、業務の範囲、サポートの量、期間、お金まわり、終わり方。顧問やコンサルの契約で決めることになる条件を、ひとつずつ、どう考えればいいかだけお話しします。税金や有効性の細かいところは専門家に確認していただく前提で、現場の判断のものさしを中心にしました。

まず、助言を売るんですか? 作業を売るんですか?


最初に一つだけ確認させてください。あなたが売るのは「助言」ですか、それとも「作業」ですか。
顧問やコンサルは、ふつう助言を売る商売です。相談に乗って、方向を示して、判断の材料を出す。手を動かして物を作るのは相手で、自分はそこに口を出す側。
なぜここから確認するかというと、助言型か作業型かで、料金の決め方も、背負う責任も、まるっきり変わってくるからなんです。助言だけなら、料金は相手の規模や相談の頻度で決まります。でも作業まで含むなら、作業量で見積もる話になりますし、作ったものの出来にも責任が出てくる。看板はどちらも「コンサル」でも、中身はまったく別の商売なんですよね。両方やるつもりなら、案件ごとにどっちなのかを分けておかないと、料金も契約書も収拾がつかなくなります。

料金は、時間・月・結果のどれで売るか


形は大きく三つ。
ひとつめは、時間で売る。1時間いくら、1回いくら、というスポット型です。単発の相談や、まだ関係の浅い相手に向いています。分かりやすいぶん、収入は読めません。
ふたつめが、月で売る。月額固定で、相談にずっと乗る顧問型。長く付き合う相手向きで、毎月の売上が計算できるのが強みです。顧問契約といえば、だいたいこれを指します。
みっつめは、結果で売る。売上の何パーセント、というやつですね。聞こえはいいんですが、助言の商売とは相性がよくありません。だって、売れるかどうかは相手が動くかで決まるのに、報酬だけ結果に縛ってしまうと、自分ではどうにもできないものに収入を握られることになる。どうしても入れたいなら、固定の月額を土台にして、結果連動はおまけ程度に。それ以上は、おすすめしません。
では自分はどれか。関係が続く前提なら月額、お試しや単発なら時間売り。これが基本の選び方です。
実際のところ、入口は時間売りで、続きそうなら月額に切り替える、という二段構えの人がいちばん多いですね。いきなり「月額の顧問でどうですか」だと、相手も身構えますから。まず1〜2回、スポットで相談を受けてみる。お互い様子を見て、それから月額に移る。この流れだと相手も納得して入れますし、自分も「この人と毎月やっていけそうか」を確かめられます。スポット相談の料金表と、顧問契約の契約書。両方を手元に用意しておくと、この切り替えがスムーズです。

月額をいくらにするか、で迷ったら


正解の金額なんて、ありません。でも、決め方のとっかかりはあります。
まず、自分が顧問に取られる時間を、ざっと足してみてください。月の打ち合わせ、チャットへの返信、その前の下調べ。ぜんぶ合わせて何時間になるか。そこに自分の時給を掛けて、出た数字に経験やノウハウのぶんを上乗せする。この積み上げが、いわば下限です。これより安いと、ただの時間の切り売りになってしまいます。
避けたいのは、キリのいい数字を雰囲気で出すこと。「まあ月10万くらいかな」で決めて、始まってみたら手間が想定の倍だった……というのは、本当によくあります。先に下限を計算して、そこから相手の規模と自分の看板で上に乗せていく。順番が逆だと、あとで苦しくなりますよ。
それと、金額を書くときは、税込か税抜かを必ず添えてください。「月10万」が税込か税抜かで、手取りが1割変わります。口約束のまま進めて、初回の請求でずれる。これがいちばん、しょうもない揉め方なので。

月額に「含むもの」と「含まないもの」、両方書く


月3回の打ち合わせとチャット相談、ここまでが月額。それを超える対応は別料金。この線を引いておかないと、相手の期待がじわじわ膨らんで、月額の中で何でも頼まれるようになります。
そして、含むものを書いたら、含まないものも書いておく。これ、忘れる人が多いんです。
たとえば、資料を一から作る作業。現地への出張。相手のスタッフへの研修。こういう「助言を超えた作業」は月額に入りません、別途お見積もりです、と書いておく。書いていないと、「顧問なんだから、それくらいやってくれますよね」という空気のなかで、なし崩しに引き受けることになります。含むものと含まないものを両方並べておけば、追加の相談が来たときに「それは別料金の範囲なんです」と言いやすくなりますよ。

「相談し放題」は、自分の首を絞めることがある


集客には効くんですよね、「チャット無制限」「相談し放題」。だから入れたくなる。でも、文字どおりに無制限でやると、たいてい自分が潰れます。
夜中に質問が飛んでくる。すぐ返して当然、という顔をされる。一日に何十件も届く日がある。
回数を無制限にするのは、構いません。その代わり、応じ方のほうに枠をはめておきましょう。決めておくのは、対応する時間帯、返信の目安、使う窓口、相談していい範囲。「平日の日中に対応」「返信は翌営業日まで」「窓口はこのチャットだけ」「顧問業務に関する相談に限る」といったあたり。回数は縛らない、でも、いつ・どこで・何について応じるかは決めておく。これなら「無制限」を看板に出しながら、自分の生活も守れます。
窓口を一つに絞るのは、特に大事です。電話もメールもSNSもチャットも全部、となると、どこに何の相談が来たのか追えなくなりますから。一本にまとめておけば、やり取りがそこに溜まっていく。あとで「いつ何を助言したか」を見返すときにも、これが効いてきます。
打ち合わせの回数も、繰り越しのルールまで決めておくと楽ですよ。月3回と決めても、相手の都合で今月は1回だけ、という月は出てきます。その余ったぶんを翌月に繰り越せるのか、消えるのか。繰り越しありにすると、ある月にまとめて5回、みたいなことになって自分がきつくなる。基本は「その月で消化、繰り越しなし」にしておいて、特別な事情のときだけ相談、くらいがちょうどいいと思います。

業務の範囲は、語尾で線が引けます


助言型の顧問なら、業務を書くときに語尾を「指導・助言」でそろえる。じつは、これだけでけっこう守れるんです。
「商品を企画する」ではなく「商品企画に関する指導・助言」。「仕入れを代行する」ではなく「仕入れに関する指導・助言」。手を動かすのは相手、自分は口を出す側。その関係を、語尾だけで表します。
見た目だけの話に思えるかもしれませんが、これ、責任の話なんです。「企画する」を引き受けたら、企画が外れたとき自分の責任になる。でも「企画に関する助言」なら、その案を採るかどうかを決めるのは相手で、コケても相手の判断の結果。語尾を変えるだけで、結果の責任が相手側に残るんですね。
もうひとつ。相談のなかで出てきた威勢のいい言葉を、そのまま契約書に持ち込まないこと。「斡旋する」「プロデュースする」みたいな言葉、会話では分かりやすいんですが、契約書に書くと「その結果に責任を持つのか」という話に化けます。日常の言葉は意味だけ受け取って、契約書では一段おとなしい「指導・助言」に置き換える。それだけで、背負うものが軽くなります。

目的に「売上を伸ばす」と書いてはいけません


これは、料金より大事かもしれません。
相手が顧問を雇うのは売上のためですから、目的の欄にも「売上向上のため」と書きたくなります。気持ちは分かります。でも、これを書くと、顧問が売上という結果を約束したように読めてしまうんです。売れるかどうかは、相手が動くか、商品に力があるか、市場がどうかで決まるのに、結果まで背負わされる。
書くなら、「事業を伸ばすにあたり、顧問として指導・助言を求める」。相手が売上を狙っているのは事実なので書く。でも、約束するのは助言まで。後から「成果が出ていないじゃないか」と言われたとき、この一行が効いてきます。
念のため言っておくと、手を抜く設計ではありませんよ。本気でやる、でも結果は保証できない、というだけのこと。お医者さんが全力で治療しても「必ず治します」とは言えない。あれと同じです。契約書は、できることの範囲を正直に書く場所であって、やる気を値切る場所ではないので。

「何もしてくれない」と言われないために、記録を残す


結果を約束しない代わりに、やったことは残せるようにしておく。これが、「お金を払っているのに何もしてくれない」と言われたときの盾になります。
契約書には、相手から求められたら状況を報告する、という条文を入れておきましょう。ただし、「毎週、報告書を出す」みたいに重くしないこと。助言が本業なのに、報告書づくりが毎週のノルマになったら本末転倒ですから。求められたら答える、その程度の受け身でかまいません。
契約書の外では、打ち合わせのメモと、チャットのやり取りを消さずに置いておく。顧問契約には形のある納品物がないので、このやり取りそのものが、自分が働いた証拠になります。さっき窓口を一本にと言ったのは、この記録を一か所に集めておく、という意味もあったんです。
とはいえ、ここまでやって裁判沙汰になることは、めったにありません。月いくらの顧問契約で、わざわざ法廷まで行く相手は少ないですから。記録は、裁判に勝つためというより、「言った・言わない」を最初から起こさないための保険。そのくらいに思っておけば十分です。

期間は、短く区切って自動で続ける


長く縛らない。これが顧問契約の期間の基本です。
最初を1か月か数か月にして、どちらからも申し出がなければ自動で続く形。相手は、合わなければ短い周期で抜けられる。自分は、続くかぎり収入が読める。お互いに都合がいいんですよね。
やめ方は、期間が切れる一定の前までに「更新しません」と伝える形にします。一か月更新なら一か月前まで、というふうに。ただ、自動更新には落とし穴があって、黙っていると勝手に続いてしまう。やめたいのに通知を忘れて、もう一周……というのが起きます。更新の期限は契約書にはっきり書いて、自分のカレンダーにも入れておくくらいでちょうどいいです。
それと、ふつうのやめ方とは別に、緊急の出口も用意しておきましょう。顧問料を何か月も払ってくれない。相手が事業をたたむ。信頼関係が完全に壊れた。こういうときに、更新を待たずすぐ切れる条文です。「予告して更新しない」と「重大な事情ですぐ解除」は、分けて書いておく。後者がないと、こじれた相手と更新月まで付き合うはめになりますから。

「その人だから頼んだ」を、勝手に変えさせない


再委託は、原則禁止にしておきましょう。引き受けた顧問の仕事を、勝手に別の誰かに振らせない、という条文です。
ふつうの業務委託なら、再委託をある程度認める設計もあります。でも顧問契約は違うんです。相手は、あなたの実績を見込んで頼んでいる。助言する人が、本人ではなく連れてきた知らない誰かに代わったら、頼んだ意味がなくなります。誰が助言するか、それ自体がこの契約の商品ですからね。
なので、原則ダメ、相手が前もって書面でOKしたときだけ例外。例外で認める場合も、その人に同じ義務を守らせて、その人がやったことの責任は自分が負う。今はひとりでも、将来チームでやる可能性があるなら、この例外の入口だけ作っておくと、あとで結び直さずに済みます。

お金まわりで、抜けやすいところ


まず、支払いのタイミング。当月分をいつ払ってもらうか。「翌月末までに当月分」のように、締めと支払日を決めます。振込手数料はどちら持ちか。これは頼む側が持つのが一般的ですね。それと振込先の口座。このあたりを曖昧にすると、毎月ちょっとした確認のやり取りが走ります。
次に、実費。顧問でも、サンプルを試作したり、相手のところへ出向いたりすれば実費が出ます。材料費・交通費・宿泊費は相手持ち、自分が普段から使っているもの(パソコンや通信費)は自分持ち、と線を引いておく。金額の大きい出費が出そうなときは、先に相手の承認をもらう、という一手間も入れておくといいですよ。「そんな高い実費は聞いていない」を防げます。
それから、途中でやめたときの精算。自動更新だと、途中終了の場面はいつか来ます。終わった日までやったぶんに応じて精算する、と書いておけば、最後の月で揉めません。
賠償の上限も、見ておいてください。ひな型には「違反して損害を与えたら全額賠償」という、上限なしの条文が入っていることが多いんです。事業者同士なら直ちにおかしいわけではないんですが、月いくらの顧問料に対して賠償が青天井だと、釣り合いません。助言ひとつで相手の事業全体の損害を背負うかも、となったら、思い切った助言ができなくなりますから。上限を顧問料の何か月分かにするとか、わざと・重い落ち度の場合に限るとか。相手との力関係を見ながら、青天井のまま素通り、だけは避けましょう。
税金は、最初に一度だけ確認を。顧問料は事業者間の取引なので、消費税やインボイスがついてきます。自分が課税事業者かどうか、相手がインボイスを求めてくるかどうか。ここは税理士さんの領分なので深入りしませんが、金額を税込・税抜のどちらで書くかにも関わります。料金を決める段階で整理しておくと、あとの請求がすっきりしますよ。

教えたノウハウは、契約が終わっても相手に残る


顧問契約では、お互いに踏み込んだ情報を出し合います。相手は内部の数字や計画を見せてくれる。自分はノウハウを渡す。だから守秘義務は双方向で置いて、契約が終わったあとも何年かは効かせる形にします。
ここで、知っておいてほしいことが一つ。教えたノウハウを、契約が終わったあとに相手が使い続けるのは、止められません。一度頭に入ったことを、消すなんてできませんから。できるのは、秘密情報として管理させること――よそに漏らさない、外に流用しない――そこまで。相手が学んだことを自分の事業で活かすこと自体は、止めようがないんです。教えることで稼ぐ商売の、まあ、宿命みたいなものですね。だから顧問料は「教えること」への毎月の対価という形にして、教えたあとの使い方まで縛ろうとはしない。そう割り切るのが現実的です。
競合への配慮を入れることもあります。契約のあいだと、その後しばらくは、相手の直接のライバルには同じ助言をしない、という約束。相手の「ライバルにもノウハウを流されたら困る」という不安を、和らげる条文です。ただ、これは自分を縛る側の条文なので、範囲や期間はよく考えてください。広く約束しすぎると、自分の今後の仕事を、自分で狭めることになります。

報告のさせ方で、自分を縛りすぎない


さっき「求められたら報告する、くらいでいい」と書きました。これ、書き方を間違えると逆効果になるので、もう少しだけ。
たとえば「毎月、活動報告書を提出する」と入れてしまうと、助言が本業なのに、毎月レポートを書く仕事が増えます。顧問料に、その作成の手間まで含まれているんでしたっけ、という話にもなりますよね。顧問契約は、報告そのものが商品ではありません。だから報告は「相手から聞かれたら、そのとき状況を答える」という受け身の形でとどめておく。これで十分です。
ついでに言うと、相手が「ちゃんと働いてくれているか不安」と感じるのは、報告書がないからではなく、ふだんの連絡が途切れたときなんですよね。月の打ち合わせをきちんとやって、チャットの返信が約束どおりの早さで返ってくる。それさえできていれば、わざわざ報告書を出さなくても、相手の不安は溜まりません。書面で縛るより、日々の反応で信頼を積むほうが、顧問契約には合っていると思います。

電子契約にするなら、ひな型の末尾を直す


離れた相手と月いくらで続ける顧問契約は、電子契約が向いています。紙で郵送して、押印して、返送して……より、ずっと早く済みますから。
気をつけたいのは、紙前提のひな型をそのまま使わないこと。「本書2通を作成し、各自記名押印のうえ保管する」という末尾は、紙と印鑑がある前提の文です。電子契約には合わないので、「電磁的記録を作成し、双方が電子署名を行い、それぞれ保管する。電磁的記録を原本とし、印刷したものは写しとする」という趣旨に書き換えます。
開始日にも、ひと言。電子署名だとタイムスタンプが日付の代わりになりますが、署名のやり取りが数日にまたがることもありますよね。「この月の頭から始めたい」という希望があるなら、署名の日とは別に、契約開始日を書き込む欄を作っておく。最初の顧問料がいつ発生するかは、この開始日で決まりますから。
控えがデータで両方の手元に残るのも、電子契約のいいところです。紙だと「契約書、どこにいったっけ」が起きますが、データなら探せます。何か月か経って「あの条件、どうだったかな」となったとき、すぐ見られる状態にしておく。締結したら、相手にも控えのデータを渡しておいてくださいね。

おわりに


長くなりましたが、要はひとつです。立派な条文をそろえる前に、自分が何を引き受けて、何は引き受けないのかを、自分のなかで決めきること。
助言を売るのか、作業を売るのか。月額に何を含めて、何を含めないのか。どこまで応じて、どこから別料金か。結果は約束しない、でも記録は残す。これを先に決めてしまえば、あとはそれを文章にするだけで、大した作業ではありません。逆に、ここを曖昧にしたまま体裁のいい契約書を作っても、運用が始まった途端に「こんなはずじゃなかった」が出てきます。
自分の経験を売り始める方へ。料金やサポート内容を考えるのと同じ熱量で、約束の線引きにも時間を使ってみてください。そこさえ決まっていれば、たいていのトラブルは、起きる前に消えてくれます。



本記事は、顧問・コンサルティング契約の条件設計に関する一般的な考え方の解説です。料金や条項の有効性、税務の扱いは、業種や個別の事情によって変わりますので、実際の契約書づくりや料金設定にあたっては、専門家への確認をおすすめします。契約書の作成・確認のご依頼は、出品中のサービスからお気軽にどうぞ。



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