ChatGPTを業務に使い始めた頃、私は1つ大きな失敗をしました。
クライアントから届いたメールの全文を、何の確認もせずにそのままChatGPTに貼り付けて、「これに対する返信案を考えて」と頼んだことがあるんです。メールには相手の実名、会社名、メールアドレス、それから契約金額の具体的な数字まで入っていました。
ChatGPTが返してきた返信案は、確かに使えるものでした。「○○様、いつもお世話になっております」と固有名詞まで自然に入っていて、すぐコピペで送れる完成度。
便利だな、と思った直後、ふと気づきます。
「あれ、この情報、OpenAIのサーバーに行ったよね」
その瞬間、自分の判断の浅さに青ざめました。
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この連載は、1人で動く相談業の方が、面談まわりの手作業をAIで圧縮するための経験を、4本に分けて書いています。第2回は、AIを業務に使う前に決めておきたい「入力と出力の前提」の話です。
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守秘義務契約の対象に、ChatGPTのサーバーが含まれるか
そのクライアントとは、明確に守秘義務契約を結んでいました。契約書には「第三者への情報提供は禁ずる」と書かれていた。ChatGPTのサーバーが「第三者」に当たるかどうか、当時の私は分かっていませんでした。今でも厳密な解釈は迷うところがあります。
ただ、1つだけはっきりしていたのは、もし相手から「あなたは私の情報をどう扱っていますか」と問われたとき、「ChatGPTに全文貼りました」と正直に答えられるか、ということでした。
答えは、Noでした。
「規約上は問題ない」かもしれません。でも「相手に説明して気持ちよく納得してもらえるか」となると別の話です。守秘義務契約は、規約論争ではなく信頼関係の問題だと、その時に思いました。
そこから半年かけて、AIを業務に使う時の「入れていい情報」「入れてはいけない情報」、それから「やってはいけない使い方」を整理しました。
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AIに入れる前に、必ず削る情報
私が今、AIに何かを渡す前に、必ず削るようにしている情報を並べておきます。
- クライアントの実名、社名、メールアドレス、電話番号
- 契約金額の具体的な数字
- センシティブな個人情報(健康・宗教・家族関係・離婚・病歴など)
- 守秘義務契約の対象となっている情報そのもの
- 同業他社や競合の悪口・内部情報
これらは、仮名・概略・抽象化で代替できます。
- 「A社(中小製造業、50名規模、3代目)」
- 「40代女性・管理職、新規営業に不安がある」
- 「契約期間6ヶ月、月額は中位帯」
この程度の抽象化でも、AIは十分に意味のある出力を返してくれます。むしろ、業種・規模・フェーズを1〜2行で具体化しておく方が、出力の精度は上がります。
なお、ChatGPTの個人向けプラン(Free / Plus / Pro)と、Business / Enterprise / API では、データの扱いやトレーニング利用の前提が異なります。個人向けプランでは設定で学習利用をオフにすることができますが、ここは規約改定もあり得るので、定期的にOpenAI側のヘルプを確認することにしています。
ただ、規約がどうであれ、守秘義務契約の対象になっている情報は「相手に説明できる扱い方」を自分で決めておくのが安全です。私は今、メールを要約させる時も、必ず固有情報を削った上で「クライアント(業種・規模を1行)から、以下の要望が届いた」と抽象化してから渡しています。実名や金額が出力に紛れ込む事故が、これだけで起きなくなります。
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AIの出力を、そのまま使わないために
入力側のルールと同じくらい大事なのが、出力側の扱いです。
AIの出力をそのままクライアントに送ってしまうと、後で振り返ってヒヤッとする事故が起きやすいので、注意点を4つ挙げます。
- AIが推測で書いた「相手の心理」を、そのままクライアントへの提案に入れる
- 数字(売上・KPI・コストなど)が入った出力を、確認せずにそのまま提案書に貼る
- 法的な助言を含む出力を、専門家確認なしで契約書に流す
- 「素晴らしい議論でした」のような評価的な前置きを、そのまま議事録に残す
AIには事実を作る能力もあります(いわゆるハルシネーション)。確認工程を省略すると、自分の信用がそのまま削れます。出力された内容は、必ず一度読み返してから使う、というのを習慣にしてください。
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プロンプトがうまく動かない時の、3つの直し方
もう1つ、ChatGPTを使い始めた頃にハマっていたのが、「プロンプトがうまく動かない」状態でした。
「フォローメールを書いて」とだけ頼んで返ってきた文章が、テンプレ感丸出しで使えない、ということが続いた時期があります。当時の私は「ChatGPTは使えないな」と思っていました。
でも、原因は私のプロンプトが曖昧すぎたことでした。今は、プロンプトがうまく動かない時の直し方を3つ覚えています。
**1. クライアント情報を具体化する**
「業種・規模」を「中小製造業・50名・3代目」のように具体的に書き直す。曖昧な入力には曖昧な出力が返る、というシンプルな話に、半年経って気づきました。
**2. 出力フォーマットを明示する**
「箇条書きで5項目」「各項目1〜2行」「合計15行以内」のように、文字数や形式を縛る。AIは形式を指定されると、内容の解像度も上がる傾向があります。
**3. 「○○は避けて」と禁止を明示する**
「評価的な表現は避けて」「カタカナ語を多用しないで」のように、明示的に弾く。AIは「素晴らしい議論でした」のような褒め言葉を入れがちなので、最初に弾いておくと議事録に評価コメントが残らなくなります。
この3つを試しても出力が合わない時は、そもそも自分の業務にそのプロンプトが合っていない可能性が高い、というのが半年触ってきた結論です。合わないプロンプトを無理に使うより、3つ試して諦める方が早いです。
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## 次回:実際に使えるテンプレを、1つだけ公開します
ここまで読んでくださった方は、AIを業務に使うときの「入れていい・ダメ」「使い方の前提」が、ある程度整理できたかと思います。
では、実際に動くテンプレはどう書いたらよいのか。
次回の記事で、私が今も毎日使っている20個のテンプレのうち、1つだけを公開します。フォローメール用のプロンプトで、3年前に20分かかっていた作業を、5〜6分に短縮できるものです。
その後の話も含めて、4本連載の2本目です。
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この連載の他の記事
- 第1回:[日曜の夜23時、机に積まれていた来週の宿題と、寝不足の火曜の朝](#)
- 第3回:[フォローメールが20分→5分になった、コピペで使えるプロンプト1個を公開します](#) ※公開予定
- 第4回:[議事録が3日後だった頃と、翌日昼に届く今で、クライアントの反応がどう変わったか](#) ※公開予定
連載全体で、1人で動く相談業の方向けに、面談まわりの手作業をAIで圧縮した経験をまとめていきます。
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守秘義務を崩さずにAIを使いたい方へ
業務でAIを使う前提を一緒に整理したい方には、ココナラ内の私の30分相談を覗いてみてください。業務の具体に合わせて、何を抽象化して、何をそのまま入れていいか、を一度棚卸しできます。
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## 著者情報
- 著者: AkariLab(makoto)
- 専門領域: AI実装エンジニア/個人事業主のクライアント業務改善
- 運営: ココナラで業務改善相談、個人ブログで毎日執筆、SNS自動投稿パイプラインの個人開発