日曜の夜、23時。
机の上には来週分の宿題が積み上がっています。明日の月曜は新規面談が1件、既存クライアントとの面談が2件。火曜には先週金曜の議事録3本を送る約束で、まだ1本も書けていません。リビングの方からは人の気配がもう消えていて、ラップトップの画面だけが青白く光っています。
「自分のサービスは悪くない。クライアントの満足度も悪くない。なのに、なぜ毎週この時間に机の前にいるんだろう」
3年前の私が、毎週ここに座っていました。1人でコンサル・相談業をやっていて、月10件くらいの面談を回していた頃の話です。
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少しだけ自己紹介させてください。
私は店舗運営の現場に21年いて、現在もアントワークスでエリアマネージャーとして4店舗・年商4.6億円規模のマネジメントをしています。同時にAIエンジニアとして個人開発を続けていて、業務改善の領域でココナラを通じた相談・実装のサポートも行っています。
「人を相手にする業務」を21年やってきた経験を、1人で動くコンサル・コーチ・相談業の方の業務にどう活かせるか。この連載は、その試行錯誤の記録を、4本のエピソードに分けて書いていきます。第1回は、半年かけてAIを業務に組み込む前の自分の机の状態の話です。
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面談1件で消えていた、3時間の内訳
3年前の月曜から水曜にかけて、面談1件の前後で消えていた時間を、淡々と並べてみます。
**月曜の夜21時**
明日の朝10時、初回面談に向けて、事前資料3本を読み始めます。「事業概要」「過去のサービス内容」「想定するオンライン展開のラフ案」。読みながら論点をメモに書き出していく。終わったのは22時。
続けて質問リストの作成。初回で何を聞き出すべきか、を考えながら、過去の似たクライアントの面談メモを見返す。質問リストが固まったのは23時。
最後に、提案書のたたき台。現状認識・課題仮説・打ち手3案のドラフトを作って、寝るのが0時半です。
**火曜の朝**
寝不足のまま面談に入ります。集中が落ちている自覚はあるが、目の前のクライアントの話を聞きながら頭が回らない。「あれ、この人前回何を一番気にしていたっけ」が思い出せない瞬間が、何度かある。
集中が落ちると、相手も察します。空気が重くなる。
終わったのは11時半。次は午後の別件が入っていて、議事録を書く時間がありません。「明日書こう」と思って机を離れます。
**水曜の午前**
議事録を書き始めます。手書きメモは断片的で、火曜の記憶も曖昧。書き起こすのに30分、次回提案を考えるのに50分、フォローメールに20分。気づくと午前が終わっています。
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ここまでの所要時間を足してみると、面談1件あたり、月曜夜から水曜午前まで、合計3時間以上が「面談まわりの手作業」に消えていました。
月10件入る人なら、月30時間です。週に7時間以上。
その7時間は、本来なら新規開拓に動ける時間でした。自分のスキルアップに使える時間でした。家族と話せる時間でした。でも、毎週、議事録と提案書とフォローメールに溶けていきました。
たちが悪いのは、この3時間が「サボった時間」ではないことです。サボったのなら反省して終わりですが、真面目に手を動かして消えていく時間は、簡単には抜け出せません。
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「サービスは悪くない」のに消耗する構造
並べてみて気づいたのは、消えていた時間のほとんどが、自分の頭で考える作業ではなかったということです。
- 事前資料からの論点抽出:構造化作業
- 質問リストの展開:パターン化作業
- 議事録:手書きメモを文章に整える作業
- フォローメール:定型を相手用にカスタムする作業
- 要望の優先度づけ:並べ替え作業
どれも、思考力が要りそうに見えて、実態は「型に流し込む」作業に近いものでした。
本当に頭を使うべきだったのは、面談本番でのクライアントとの対話と、提案の方向を決める判断です。クライアントが何に困っているか、本人が言葉にしていない部分まで含めて読み解く。打ち手の選択肢を出す。相手の反応を見ながら絞っていく。
ここに自分のリソースを向けるはずでした。
ところが、その手前の手作業が消耗しすぎて、本番に向ける思考リソースが残らない。寝不足で本番に入ると、集中が落ちる。集中が落ちると、相手も察する。空気が重くなる。
サービスは悪くないのに消耗していた理由は、ここにありました。本番に使うべき思考リソースを、前後の手作業が食い潰していたんです。
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このまま、10年は続けられない
ある火曜の朝、寝不足のまま面談に入って、終わった後に強く思いました。
「この働き方は10年続かない」
自分のサービス自体は伸びしろがあるはずなのに、自分の体力と気力が先に尽きそうでした。月10件を回している間は売上は立つ。でも、ここから件数を増やそうとすると、手作業の総量がそのまま増える。月15件入れば、月45時間が手作業に消える計算です。
選択肢として浮かんだのは2つでした。
1. 自分が動く件数を減らして、1件あたりの単価を上げる
2. 1件あたりの手作業時間そのものを減らす
1は「単価交渉」と「ブランディング」の話で、すぐには動かしにくい。だから2を選びました。
その時期にChatGPTが世の中に出始めていて、AIで業務効率化、という言葉が話題になっていた頃です。私は最初、半信半疑でした。「コンサル・相談業の繊細な業務を、AIに任せて大丈夫なのか」と。
ただ、選択肢が他になかったので、半年かけて、ChatGPTを自分の業務にどう組み込めるかを試行錯誤しました。
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次回:自分で青ざめた失敗の話
その半年で何があったか、何で躓いたか、結果として何が変わったか――は、続きの記事で書いていきます。
特に最初の躓きは、自分でも青ざめた出来事でした。3年前、クライアントの実名を含むメールを、何の確認もせずにChatGPTに貼り付けてしまった日の話です。
次回、その話を書きます。
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この連載の他の記事
- 第2回:[3年前、クライアントの実名をChatGPTに入れて青ざめた話](#) ※公開予定
- 第3回:[フォローメールが20分→5分になった、コピペで使えるプロンプト1個を公開します](#) ※公開予定
- 第4回:[議事録が3日後だった頃と、翌日昼に届く今で、クライアントの反応がどう変わったか](#) ※公開予定
連載全体で、1人で動く相談業の方向けに、面談まわりの手作業をAIで圧縮した経験をまとめていきます。
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面談後処理の棚卸しから始めたい方へ
「自分の業務でどこから時間が消えているか」を、一度棚卸ししたい方は、ココナラ内の30分相談を覗いてみてください。業務の中身を聞いた上で、どこから手をつけるのが現実的かを30分でお話しできます。
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## 著者情報
- 著者: AkariLab(makoto)
- 専門領域: AI実装エンジニア/個人事業主のクライアント業務改善