Excelを自動化する前に、「誰から誰へ仕事が渡っているか」を見直してみる

Excelを自動化する前に、「誰から誰へ仕事が渡っているか」を見直してみる

記事
ビジネス・マーケティング
前回の記事では、

「人がやらなくていい仕事を減らす」

というテーマで、紙のタイムカードや勤怠表をデータ化する仕組みについて書きました。

紙に書かれている時間を人が読み取り、
Excelへ転記する。

必要な仕事ではあるけれど、
そこに人の時間を使い続ける必要があるのか。

そんなところから始めた業務改善です。

ただ、実際にいろいろな業務を見ていると、
もう一つ気になることがあります。

それは、

作業そのものより「仕事の受け渡し」に時間がかかっているケースが多いことです。



「まだ書類が届いていません」が仕事になっている


たとえば、専門家と企業との間で行われる業務を考えてみます。

企業側が必要な情報を準備する。

専門家へ送る。

専門家が確認する。

不足している項目があれば連絡する。

企業側がもう一度確認する。

追加資料を送る。

また専門家が確認する。

文章にすると当たり前の流れです。

ところが実務では、

「この書類は届いていましたか?」

「この項目は誰が入力するのでしょうか?」

「以前メールで送ったと思います」

「最新版はどのファイルでしょうか?」

というやり取りが発生します。

一つ一つは数分です。

でも、案件が増えると積み重なります。

そして厄介なのは、
これらの仕事が予定表にはほとんど現れないことです。

申請書を作る時間は予定できます。

ところが、

メールを探す時間。

不足資料を確認する時間。

進捗を思い出す時間。

ファイルを開いて中身を確認する時間。

こうした小さな時間が、仕事の間に入り続けます。



業務改善というと「自動入力」を考えがちです


業務改善の相談では、

「Excelを自動化したい」

「AIに文章を作らせたい」

「OCRで読み取りたい」

という話から始まることがよくあります。

もちろん、それも有効です。

ただ、最初に確認したいことがあります。

そもそも、そのExcelへ情報が届くまでの流れは整っているでしょうか。

入力だけ速くなっても、

必要な情報がメール、
LINE、
紙、
Excel、
PDF、

とバラバラに届いていれば、
結局どこかで人が整理することになります。

つまり、

作業を自動化する前に、

情報がどう流れているかを整理する。

こちらの方が先に効くことがあります。



助成金業務を見ながら、そんなことを考えました


現在AkariLabでは、
社労士業務を想定した助成金業務支援の仕組みを試作しています。

目指しているのは、

「AIが勝手に助成金を申請してくれるシステム」

ではありません。

助成金は制度ごとに要件がありますし、
企業の状況によって判断も変わります。

最終的には専門家による確認が必要です。

そこで考えたのが、

専門家が判断する前までの情報整理を、できるだけ仕組みに渡すこと。

です。

たとえば、

企業側がWeb上で必要事項を入力する。

必要な情報や書類を揃える。

社労士側で入力内容を確認する。

不足している部分だけ確認する。

最後に専門家が内容を判断する。

そんな流れです。



「全部保存するシステム」にしないという選択もある


システムを作ると、

「すべての情報をクラウドへ保存しましょう」

となりがちです。

ただし、それが常に正解とは限りません。

特に、

従業員情報、
賃金情報、
労務関連資料、

などを扱う業務では、
保存方法やアクセス権限も考えなければなりません。

そこで今回の試作では、

必要な情報を入力してもらい、
専門家が確認し、
最終的な資料は専門家側で管理する。

そんな考え方も検討しています。

システムを大きくすることより、

必要以上に情報を持たないこと。

これも立派な設計だと思っています。



人の仕事をなくすのではなく、「確認する位置」を変える


勤怠OCRでも同じでした。

AIに100%任せるのではなく、

AIが読み取る。

人が確認する。

確定した情報を使う。

助成金業務でも考え方は変わりません。

企業側から届いた情報を、

専門家が一から整理するのではなく、

あらかじめ一定の形に整えておく。

そして、

専門家は「整理する人」ではなく「判断する人」になる。

ここが大切だと思っています。



専門家の時間は、もっと価値のあるところへ使える


たとえば、

「この欄に会社名を書いてください」

という確認と、

「この企業は、この制度の要件を満たしているか」

という判断。

同じ10分でも、
仕事としての意味はかなり違います。

専門家の価値は、
情報を転記することではありません。

制度を理解して、
状況を確認して、
判断して、
企業へ説明する。

そこにあります。

だからこそ、

その前にある整理作業は、
できるだけ小さくした方がいい。

私はそう考えています。



小さな会社ほど「専用システムを入れるほどではない」が多い


一方で、

大規模な業務システムを導入するほどではない。

という会社も多くあります。

月に数件しかない。

担当者も数人しかいない。

今のExcelでも一応仕事はできている。

こういう状況です。

この場合、

数百万円かけてシステムを入れ替える必要はないと思います。

フォームを一つ作る。

Excelを少し整理する。

OCRを一部分だけ使う。

確認画面を一つ作る。

それだけで、
かなり楽になる仕事もあります。

業務改善は、

大きなシステムを導入することではありません。

今の仕事の中で、

「毎回ここで止まる」

「毎回ここを確認している」

「毎回同じことを入力している」

という場所を一つ見つける。

そこから始めれば十分です。



AkariLabでやりたいこと


最近、

勤怠表のOCR化や、
助成金業務支援の仕組みを作っています。

一見すると別々のサービスに見えます。

でも、私の中では同じです。

紙をCSVにすることが目的なのではありません。

助成金システムを作ることが目的でもありません。

やりたいのは、

人がどこで時間を使っているのかを整理して、人にしかできない仕事へ時間を戻すこと。

です。

現場には、

「昔からこうやっている」

という理由だけで続いている作業がたくさんあります。

そして、それを毎日見ている人ほど、
その不便さに慣れてしまいます。

だから、ときどき外から見て、

「これ、本当に必要ですか?」

と問い直す。

それだけで、
改善の入口が見つかることがあります。



勤怠表のデータ化については、
現在ココナラでもサービスを提供しています。

▼タイムカード・勤怠表のデータ化サービス



紙の勤怠表やPDF、スマートフォンで撮影した画像などから、
出退勤時刻を整理してCSVへ変換します。

ただし、

AkariLabが目指しているのは、
OCRだけを提供することではありません。

その前後にどんな仕事があるのか。

どこまでを仕組みに渡し、
どこから人が確認するのか。

そこまで含めて考える。

業務改善は、
ツールを入れるところから始まるのではなく、

仕事の流れを一度、机の上に広げてみるところから始まる。

最近は、そんなふうに考えています。
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