キャリアの歩み方|「弱み」の再定義。それは、克服するものではなく、向き合うもの

キャリアの歩み方|「弱み」の再定義。それは、克服するものではなく、向き合うもの

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面接では強みの一方で、以下のように訊かれる場面もしばしばあります。

「あなたの弱みは何ですか?」

多くの人は、この質問にどう答えるかで頭を悩ませます。弱みは、隠すべきもの、あるいは早く克服しなければならないもの——そんな風に捉えている方が多いように思いますが、いかがでしょうか。

でも、私は少し違う見方をしています。

「できたこと」「できていたこと」は、その日限りの「出来事」

私たちは日々、「できたこと」「できていたこと」ということに、つい目を向けがちです。もちろん、それ自体は悪いことではありません。

ただ、私にとって「できていること」「できたこと」は、突き詰めれば、その日その日の単なる「出来事(=出来た事)」に過ぎません。その日の記録ではあっても、それ自体が必ずしもすべてその先の未来の自分の自己成長を保証し続けることでもないと思っています。

本当の成長は、むしろその逆——毎日「できていないこと」に、どれだけ目を向けられて、それをできるに変えられるかにあると、私は思っています。

私たちは、無意識に3〜5年先の自分と比べている

人は、日々の生活の中で、無意識のうちに3〜5年ほど先の自分を思い描いているように感じます。

「これができて当たり前」「なんでこんなことができないのか」——そうした自責の感情は、実は、今の自分ではなく、その先にいるはずの自分と、無意識に比べてしまっている、もしくは、今までの出来事(=出来た事)に固執して過去の自分に留まったままにしまっているからこそ生まれてくるのではと思いますが、いかがでしょうか。

でも、よく考えてみると、これは少し不思議な比べ方のようにも思えます。今、目の前にいる「できない自分」と向き合わないまま、まだ見ぬ未来の自分を基準にして自分を責めてしまっている。これでは、今の自分がどこに立っているのかさえ、見えにくくなってしまうのではと思いますが、いかがでしょうか。

できない自分と対峙することが、一番の近道

もし、その「3〜5年先の自分」に少しでも近づきたいのであれば、必要なのは、過去の「出来事(=出来た事)」に固執することなく、今できない自分と、まず正面から向き合うことです。

「どうしたらできるようになるのか」を、日々少しずつ意識しながら、一つひとつの「できないこと」を「出来事」へと変えていく。この積み重ねこそが、実は未来の自分に近づくための、一番の近道だと私は捉えています。

過去の「出来事」に固執してしまう場合もある

一方で、これとは逆の傾向を持つ方もいらっしゃるように思います。未来の自分を見すぎるのではなく、過去の「出来た」という出来事に、ずっと固執してしまっているケースです。

「あの頃はもっとできていたのに」「かつては評価されていたのに」——過去の成功体験が、いつしか自分を縛る基準になってしまっていることがあります。これもまた、未来を見すぎる場合と根っこは同じで、「今」の自分から目をそらしてしまっている状態なのかもしれません。

未来を見すぎても、過去にとらわれすぎても、向き合う先はいつも「今ではない自分」になってしまいます。大切なのは、そのどちらでもなく、今、目の前にいる、できていない自分をまず認めることなのではと思いますが、いかがでしょうか。

そして、ここが一番お伝えしたいことなのですが、「できていない自分を認めること」自体を、自分自身の一つの「出来事」に変えてしまう、という捉え方です。認めることは、後退ではありません。今の自分の立ち位置を正確に知るという、それ自体が既に一つの前進なのだと思います。過去にも未来にも引っ張られず、「今」を起点に少しずつ歩んでいく方が、日々の生き心地は良くなっていくのだと思います。

干支の逸話に見る、「牛歩」という生き方

干支の由来には、こんな逸話があります。ねずみは、歩みの遅い牛の頭の上に乗り、ゴール直前で飛び降りて、一番乗りを果たしたと言われています。

でも、自分の足で、自分の力で、最初にゴールへたどり着いていたのは、実は牛の方でした。この、着実で急がない牛の歩みのことを「牛歩」と呼びます。

私はこの解釈として、生き急ぐ必要はないということなんだなと捉えました。牛のように、一歩ずつ、着実に歩んでいく。日々の生活の中で、自分の「できないこと」を一つずつ「出来事」に変えていく。その積み重ねの先にこそ、自己成長があるのだと思います。

「弱み」は、隠すものではなく、自己成長へと結びつく「材料」である
こう考えると、冒頭の「あなたの弱みは何ですか」という質問への向き合い方も、少し変わってきます。

弱みは、克服して消し去るべきものというより、今の自分がどこに立っていて、これからどこに向かって歩いていくのかを示してくれる、一つの材料なのかもしれません。

弱みを隠そうとするのではなく、まず正面から見つめてみる。そして、それを少しずつ「出来事」に変えていく歩みそのものを、自分の言葉で語れるようになる。それこそが、本当の意味での「弱みの再定義」なのだと思います。

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