大相撲の定員は、幕内42人、十両28人となっています(2004年1月場所以降)。
そのため、関取の引退等があると、幕下→十両、十両→幕内へと、ところてん式に昇進する力士が出るわけですが、もしもところてん式の昇進を続けたら、どこまで行くのか?
それを確かめるため、私は『相撲レファレンス』のホームページを使ってどこまで番付が繰り上がるか調べてみました。
並行して、異なる地位の対戦成績も調べてみました。
データは、いずれも1989年1月場所から、2019年3月場所終了時点まで(平成時代の全181場所分)のものです。
起算点とした1989年1月場所は、横綱が千代の富士・大乃国・北勝海の3人、大関が旭富士・北天佑・小錦・朝潮の4人、関脇が逆鉾・太寿山の2人、小結が霧島・三杉里の2人でした。
開始時のチェックポイントは、以下の通りです。
*横綱3(横綱の最下位)
*大関4(大関の最下位)
*関脇2(関脇の最下位)
*小結2(小結の最下位)
*前頭10(上位総当たりの目安である、前頭5枚目以内)
*前頭27(前頭の最下位)
*十両26(十両の最下位)
*幕下30(幕下上位=7戦全勝すれば十両昇進が決まる、幕下15枚目以内)
*幕下121(幕下の最下位。この場所で幕下60枚目格付出デビューした、山﨑{のちの前頭・大翔山。現・追手風親方}も数に含む)
*三段目200(三段目の最下位)
引退力士がいる場合、場所前の引退は「空き番付」と、場所中の引退は「途中休場」とみなしています。
引退力士の場所は、いずれもしこ名が最後に載った場所としています。
公傷(新型コロナウイルス関連も含む)による休場力士や、幕下・三段目付出力士がいる場合は、それも考慮しています。
異なる地位の対戦は、以下の10通りの組み合わせを指します。
なお、不戦勝・不戦敗や、優勝決定戦・巴戦の対戦成績はそれぞれ区別しています。
①:横綱VS大関
②:横綱VS関脇
③:横綱VS小結
④:横綱VS前頭
⑤:大関VS関脇
⑥:大関VS小結
⑦:大関VS前頭
⑧:関脇VS小結
⑨:関脇VS前頭
⑩:小結VS前頭
結果は以下の通りです。
(1)引退等による十両以上の繰り上げ
(▼は引退、↓は陥落、◎は新、○は再。しこ名はいずれも当時。昇進と同時に改名した場合は、改名後のしこ名を表記。H23初と、H23・5の引退等はいずれも大相撲八百長問題によるもの)
H1春:▼朝潮(大) ◎琴錦(十→前) ◎貴闘力(下→十)
H2春:▼龍興山(前・死亡)◎貴花田(十→前) 富士乃真(残留)
H2秋:▼北天佑(大) ◎琴の若(十→前) ○大善(下→十)
H3夏:▼千代の富士(横) ○大若松(十→前) ○剣晃(下→十)
H3夏:▼太寿山(前→十) 芳昇(残留)
H3名:▼大乃国(横) ○旭豪山(十→前) ○大鈴木(下→十)
H4初:▼旭富士(横) ○花ノ国(十→前) ○栃天晃(下→十)
H4夏:▼北勝海(横) ○花ノ国(十→前) ◎若闘将(下→十)
H8春:▼霧島(前→十) ◎琴嵐(下→十)
H8九:▼旭道山(前) 琴別府(残留) ○栃乃藤(下→十)
H9秋:▼力櫻(前→十) 剣晃(残留)
H9九:▼小錦(前→十) ◎金開山(下→十)
H10初:▼旭里(十) ○大碇(下→十)
H11初:▼旭豊(前→十) ○出羽平(下→十)
H11名:▼栃乃和歌(前→十) ◎玉ノ洋(下→十)
H12春:▼若乃花(横) 琴ノ若(残留) ◎泉州山(下→十)
H12秋:▼琴錦(十) 智乃花(残留)
H13初:▼曙(横) ○安美錦(十→前) ◎隆の鶴(下→十)
H15初:▼貴乃花(横) 栃乃花(残留) ◎日出ノ国(下→十)
H15夏:▼安芸乃島(前→十) 出羽乃富士(残留)
H15九:▼武蔵丸(横) ○朝乃若(十→前) ◎白鵬(下→十)
H16夏:▼貴ノ浪(前→十) 若光翔(残留)
H16九:▼武双山(大→関) 時天空(残留) ○大真鶴(下→十)
H17夏:▼琴龍(十) 須磨ノ富士(残留)
H17九:▼琴ノ若(前) ○北桜(十→前) 将司(残留)
H18九:▼旭鷲山(前→十) 大真鶴(残留)
H19夏:▼栃東(大) 皇司(残留) 千代白鵬(残留)
H19名:▼高見藤(十) 琉鵬(残留)
H19秋:▼時津海(前) 海鵬(残留) 栃乃花(残留)
H20名:▼若ノ鵬(前・解雇)○土佐ノ海(十→前) 潮丸(残留)
H20秋:▼露鵬(前・解雇) 千代白鵬(残留) 猛虎浪(残留)
H20秋:▼白露山(十・解雇) 市原(残留)
H20秋:▼玉春日(十) ◎大翔湖(下→十)
H21初:▼若麒麟(十・解雇) ○十文字(下→十)
H21夏:▼潮丸(十) ◎琴禮(下→十)
H21名:▼出島(前→十) ○隠岐の海(下→十)
H22初:▼千代大海(関→前) 武州山(残留) ◎大道(下→十)
H22初:▼朝青龍(横) 玉乃島(残留) 海鵬(残留)
H22名:▼琴光喜(大・解雇)○豊桜(十→前) 岩木山(残留)
H23初:▼蒼国来(前・解雇) 翔天狼(残留) ○双大龍(下→十)
蒼国来はのちに解雇無効判決が確定して現役復帰。その分は(5)に記載。
H23初:▼星風(十・解雇) 明瀬山(残留)
H23・5:▼徳瀬川(前) 高見盛(残留) ○上林(下→十)
H23・5:▼白馬(前) 栃乃洋(残留) ○濵錦(下→十)
H23・5:▼春日王(前) ◎富士東(十→前) 城ノ龍(残留)
H23・5:▼光龍(前) 木村山(残留) 剣武(残留)
H23・5:▼猛虎浪(前) ○黒海(十→前) ◎天鎧鵬(下→十)
H23・5:▼琴春日(前) 木村山(残留) ◎千代の国(下→十)
H23・5:▼将司(十) ○垣添(下→十)
H23・5:▼豊桜(十) 益荒海(残留)
H23・5:▼境澤(十) ○妙義龍(下→十)
H23・5:▼霜鳳(十) ◎飛天龍(下→十)
H23・5:▼旭南海(十) ◎荒鷲(下→十)
H23・5:▼安壮富士(十) ◎琴勇輝(下→十)
H23・5:▼若天狼(十) ◎飛翔富士(下→十)
H23・5:▼清瀬海(十) ○北勝国(下→十)
H23・5:▼千代白鵬(十) 濵錦(残留)
H23名:▼魁皇(大) ○寶智山(十→前) 飛天龍(残留)
H25秋:▼把瑠都(十) 栃ノ心(残留)
H25九:▼阿覧(前) 琴勇輝(残留) 青狼(残留)
H26春:▼琴欧洲(関→前) ◎佐田の海(十→前)○隆の山(下→十)
H27初:▼栃乃若(十) ○希善龍(下→十)
H27名:▼旭天鵬(前→十) ○希善龍(下→十)
H29九:▼日馬富士(横) 大奄美(残留) ○希善龍(下→十)
H31初:▼貴ノ岩(前) 豊山(残留) ○大成道(下→十)
H31初:▼稀勢の里(横) 千代翔馬(残留) ◎霧馬山(下→十)
(十→前は34人、新5、再12、残留17。下→十は65人、新19、再21、残留25)
(2)繰り上がり
横綱3→消滅(1992年5月場所直前、61代横綱・北勝海の引退により消滅)
大関4→消滅(新横綱は1995年1月場所。65代横綱・貴乃花の昇進による)
(2003年1月場所中、65代横綱・貴乃花の引退により消滅)
関脇2→消滅(新大関は1992年7月場所。曙の昇進による)
(新横綱は1998年7月場所。66代横綱・若乃花の昇進による)
(2000年3月場所中、66代横綱・若乃花の引退により消滅)
小結2→消滅(新関脇は1992年7月場所。琴錦の昇進による)
(新大関は1994年3月場所。武蔵丸・貴ノ浪の同時昇進による)
(新横綱は2003年3月場所。68代横綱・朝青龍の昇進による)
(2010年1月場所後、68代横綱・朝青龍の引退により消滅)
前頭10→大関1(新小結は2003年3月場所。土佐ノ海の昇進による)
(新関脇は2007年9月場所。朝赤龍の昇進による)
(新大関は2011年11月場所。琴奨菊の昇進による)
前頭27→前頭8(2011年7月場所、若の里が前頭5枚目以内に入る)
(八百長事件の際に前頭12→前頭11まで昇進)
十両26→前頭18(新入幕は2008年1月場所。海鵬の残留による)
(八百長事件の際に前頭28→前頭22まで昇進)
幕下30→前頭26(新十両は1999年3月場所。出羽平の昇進による)
(新入幕は2011年7月場所。木村山の残留による)
(八百長事件の際に十両7→前頭30まで昇進)
幕下120→十両17(2006年1月場所、千昇が幕下15枚目以内に入る)
(新十両は2011年7月場所。飛天龍の昇進による)
(八百長事件の際に幕下13→十両25まで昇進)
三段目200→幕下46(新幕下は2006年7月場所。箕應山の昇進による)
(八百長事件の際に幕下91→幕下70まで昇進)
(序二段以下は定員が無いため、省略)
(3)大関昇進による繰り上げ
H2夏:◎霧島(関→大) ○栃乃和歌(小→関) ○両国(前→小)
H4名:◎曙(関→大) ○琴錦(小→関) 小結は4人
H5春:◎貴ノ花(関→大) 関脇は4人、小結は2人
H5秋:◎若ノ花(関→大) 関脇は3人、小結は2人
H6春:◎武蔵丸(関→大) 関脇は4人、小結は2人
〃 :◎貴ノ浪(関→大) 〃
H11春:◎千代大海(関→大) 関脇は3人、小結は3人
H11秋:◎出島(関→大) 関脇は3人、小結は2人
H12春:○貴ノ浪(関→大) 関脇は4人、小結は2人
H12夏:◎武双山(関→大) 関脇は3人、小結は2人
H12名:◎雅山(関→大) <入れ替わりで貴ノ浪が関脇転落>
H12秋:◎魁皇(関→大) <入れ替わりで武双山が関脇転落>
H12九:○武双山(関→大) ◎追風海(小→関) ◎若の里(前→小)
H14初:◎栃東(関→大) 関脇は3人、小結は2人
H14秋:◎朝青龍(関→大) ○土佐ノ海(小→関) ○貴ノ浪(前→小)
H16秋:○栃東(関→大) 関脇は3人、小結は2人
H17春:○栃東(関→大) 関脇は3人、小結は2人
H18初:◎琴欧州(関→大) ○白鵬(小→関) ○玉乃島(前→小)
H18夏:◎白鵬(関→大) ○雅山(小→関) ◎安馬(前→小)
H19秋:◎琴光喜(関→大) ◎朝赤龍(小→関) ○稀勢の里(前→小)
H21初:◎日馬富士(関→大)○安美錦(小→関) ○稀勢の里(前→小)
H22夏:◎把瑠都(関→大) ○安美錦(小→関) ○栃煌山(前→小)
H23九:◎琴奨菊(関→大) 関脇は3人、小結は2人
H24初:◎稀勢の里(関→大)○豊ノ島(小→関) ◎若荒雄(前→小)
H24夏:◎鶴竜(関→大) ○豪栄道(小→関) ○豊真将(前→小)
H26秋:◎豪栄道(関→大) ◎豪風(小→関) ◎千代大龍(前→小)
H27名:◎照ノ富士(関→大)○逸ノ城(小→関) ◎宝富士(前→小)
H29名:◎高安(関→大) 関脇は3人、小結は2人
H30名:◎栃ノ心(関→大) ○御嶽海(小→関) ○松鳳山(前→小)
(小→関は14人、新3、再11。前→小は13人、新5、再8)
(4)大関陥落による不運
H5初:↓霧島(大→関) 関脇は4人、小結は2人
H6初:↓小錦(大→関) 関脇は4人、小結は2人
H12初:↓貴ノ浪(大→関) 関脇は4人、小結は2人
H12名:↓貴ノ浪(大→関) <入れ替わりで雅山が大関昇進>
H12秋:↓武双山(大→関) <入れ替わりで魁皇が大関昇進>
H13秋:↓出島(大→関) 若の里(小)は再関脇、琴ノ若(前)は再小結ならず
H13九:↓雅山(大→関) 関脇は3人、小結は2人
H16名:↓栃東(大→関) 関脇は3人、小結は2人
H17初:↓栃東(大→関) 関脇は3人、小結は2人
H22初:↓千代大海(大→関) 琴奨菊(前→小)は再関脇、豊ノ島(前)は再小結ならず
H25初:↓把瑠都(大→関) 栃煌山(前→小)は再関脇、豊ノ島(前)は再小結ならず
H26初:↓琴欧洲(大→関) 妙義龍(前→小)は再関脇、豊ノ島(前)は再小結ならず
H29春:↓琴奨菊(大→関) 関脇は3人、小結は2人
H29九:↓照ノ富士(大→関) 関脇は3人、小結は2人
(小結留め置きが4人、新0、再4。前頭留め置きが4人、新0、再4)
(5)定数の増減等による繰り上げ・繰り下げ
H3初:この場所より幕内の定員が38人→40人に増やされる(関取の定員は64人→66人。十両は26人で据え置き。騏乃嵐は残留、他3人は新)。
十両→幕内 ◎大輝煌、◎巴富士
幕下→十両 騏乃嵐、◎栃天晃
H16初:この場所より幕内の定員が40人→42人に、十両の定員が26人→28人に増やされる(関取の定員は66人→70人。玉春日・壽山は残留、他4人は再。なお、直前の場所で横綱・武蔵丸が引退したため、これに伴う繰り上げ分は(1)に記載している)。
十両→幕内 玉春日、○追風海
幕下→十両 ○栃不動、○濵錦、○須磨ノ富士、壽山
H23名~H23秋:同年春に発覚した大相撲八百長問題で幕内・十両力士を中心に大量の引退・解雇者が出たため、2回に分けて欠員を補充(H23名は暫定的に幕内40人・十両26人の計66人として、H23秋は本来の幕内42人・十両28人の計70人に戻した。なお、H23名古屋場所中に大関・魁皇が引退したため、これに伴う繰り上げ分は(1)に記載している)
H23名・十両→幕内:翔天狼、高見盛、栃乃洋、◎富士東、木村山
H23秋・十両→幕内:○黒海、木村山
(幕内の引退・解雇者は蒼国来・徳瀬川・白馬・春日王・光龍・猛虎浪・琴春日の7人)
H23名・幕下→十両:○双大龍、明瀬山、○上林、○濵錦、城ノ龍、剣武、◎天鎧鵬、◎千代の国、○垣添、益荒海、○妙義龍、◎飛天龍、◎荒鷲
H23秋・幕下→十両:◎琴勇輝、◎飛翔富士、○北勝国、濵錦
(十両の引退・解雇者は星風・将司・豊桜・境澤・霜鳳・旭南海・安壮富士・若天狼・清瀬海・千代白鵬の10人)
H25名:H25年夏場所の直前に蒼国来の解雇無効判決が確定して、当人が解雇直前と同じ(H23技量審査場所で名前が載るはずだった)西前頭15枚目の地位で復帰したため、東十両筆頭と、東幕下筆頭の力士を不運な力士とみなしている。
H25名:蒼国来(前・復帰) 貴ノ岩(十)は新入幕、千代丸(下)は新十両ならず
(6)異なる地位の対戦成績
横綱VS大関:514-231、勝率.690(その他不戦2-3、決定戦10-5、巴戦3-2)
横綱VS関脇:429-143、勝率.750(その他不戦2-5、決定戦5-2、巴戦2-0)
横綱VS小結:489-99、勝率.832(その他不戦2-8)
横綱VS前頭:1912-297、勝率.866(その他不戦5-37、決定戦3-0、巴戦1-0)
大関VS関脇:602-451、勝率.572(その他不戦4-11、決定戦2-0、巴戦0-1)
大関VS小結:747‐365、勝率.672(その他不戦3-13)
大関VS前頭:3289-1161、勝率.739(その他不戦20-47、巴戦1-0)
関脇VS小結:420-321、勝率.567(その他不戦4-5)
関脇VS前頭:1923-1023、勝率.653(その他不戦10-9)
小結VS前頭:1569-1156、勝率.576(その他不戦12-10)
*異なる地位による2人の決定戦は24回(うち14回は横綱VS大関、7回は横綱VS関脇、2回は横綱VS前頭、1回は大関VS関脇)。
3人による巴戦は3回(うち2回は横綱VS大関VS関脇、1回は横綱VS大関VS前頭)。
4人による優勝決定戦は1回(横綱2人+大関1人+前頭1人。決定戦には横綱VS大関の1戦と、横綱VS前頭の1戦を含む)
5人による優勝決定戦は1回(横綱1人+大関3人+関脇1人。決定戦には大関VS関脇の1戦を、巴戦には横綱VS大関の1戦を含む)。
*左端の対戦成績および勝率には、一方が休場・引退したことによる不戦勝・不戦敗を含まない(不戦勝・不戦敗の分は、「その他不戦」と区別して表記している)。
*反則勝ちは対戦成績に含まれるが、金星としてはカウントされないため、実際に横綱が配給した金星の数は295個である(平成時代には2003年7月場所で横綱の朝青龍が旭鷲山の、2014年9月場所で横綱の日馬富士が嘉風のマゲを掴んで反則負けした2例がある)
(7)所感
以上が平成時代の全データですが、正直言ってこのデータを集計するのには膨大な手間がかかりました。
自分でも、よくこんな集計を1人で全部やり遂げたな、と思ってしまったくらいです。
しかし、このデータがあれば長く現役を続けると、どこまで番付が繰り上がるのか、一目で分かります。
横綱・大関・関脇・小結・前頭の実力差がどれ位なのかも、一発で分かります。
横綱・大関・関脇・小結・前頭の実力差が分かれば、大相撲のゲームを作る時に極めて緻密なパラメータ調整が可能になるはずです。
元号が令和に代わってからのデータは別の記事にまとめてありますので、そちらも確認してみてください!