🔮 妹のタロット占い、始めました

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自分には、年の離れた妹がいます。名前は瞳。現在、高校二年生。

小さい頃から好奇心の塊のような子で、興味を持ったことにはとことんのめり込む性格だ。ピアノ、水彩画、天体観測——どれも長くは続かなかったが、熱中している間の集中力だけは本物だった。

そんな瞳が、ある日突然「タロットをやりたい」と言い出した。

正直、また一時的なブームだろうと思った。だが今回は少し様子が違った。

瞳はココナラのコンテンツマーケットで販売されているタロット学習コンテンツを自分の小遣いで購入し、独学で勉強を始めたのだ。

大アルカナ二十二枚の意味を丸暗記し、小アルカナにも手を伸ばし、スプレッドの種類やリーディングの組み立て方まで、体系的に学んでいった。僕が気づいた頃には、瞳のデスクにはタロットの参考資料が山積みになっていた。

「お兄ちゃん、ちょっと占ってあげようか」
ある晩、リビングで声をかけられた。半信半疑で対面に座ると、瞳は慣れた手つきでカードをシャッフルし、ケルト十字のスプレッドを展開してみせた。

一枚一枚めくりながら語る言葉には、高校生とは思えない落ち着きがあった。的を射た指摘もいくつかあり、素直に驚いた。

それから数週間後のことだ。
休日の朝、瞳が僕の部屋のドアをノックした。開けると、やけに真剣な顔で立っている。

「お兄ちゃん、あたし、タロット占いを本格的に始めることにした」

計画はこうだ。まず学校の友達を相手に実践を積む。放課後に空き教室を借りて、一回ワンコインで占う。評判が出てきたら、ココナラで占いサービスを出品する。そのためにまず、自分の部屋を占いの館のような雰囲気に改装したい。費用は自分の貯金から出すし、両親の説得も自分でやる——と、そこまで一気にまくしたてた。

「すごいな、ちゃんと考えてるじゃん」
感心して言うと、瞳はにっこり笑った。その笑顔の裏に何かあると気づくべきだった。

「それでね、部屋に飾るポスターを作ってほしいの」

僕は趣味でデザインソフトをいじることがある。簡単なバナーやSNSの画像くらいなら作れる。だが、妹の目には「プロ級の腕前を持つ兄」と映っているらしい。過大評価も甚だしいが、頼み込む瞳の目があまりにきらきらしていたので、「一枚だけだぞ」と引き受けてしまった。

瞳の普段の姿をイメージして、制服を着た女の子がタロットカードを手にしているデザインを仕上げた。背景には淡い星空を散らし、柔らかいフォントで「Tarot Reading」の文字を入れた。自分としては、なかなかの出来だった。
意気揚々と瞳に見せた。

「……うーん」

嫌な予感がした。

「かわいいんだけどさ。これだけじゃダメだよ。もっといろいろデザインしてよ」

「一枚でいいって言っただろ」

「言ってないよ。お兄ちゃんが勝手に一枚って決めたんでしょ」

言った。確かに言った。だが瞳にとって、過去の発言は都合よく書き換えられるものらしい。

そこから注文の嵐が始まった。「神秘的な雰囲気のやつ」「ダークでかっこいい系」「お客さんがリラックスできる温かい感じの」「ココナラのサムネにも使えるやつ」——要望は際限なく湧いてくる。色は紫と金が基調。月と星のモチーフは必須。フォントはセリフ体で高級感を出してほしい。あ、一枚くらいポップなのもほしい。

「お兄ちゃんが占ってもらった時、『あなたは周囲の人を助ける運命です』ってカードに出てたよ?」

「それ、お前が勝手に解釈しただろ」

反論は聞き流された。

結局、僕の休日はすべてポスター制作に費やされた。リビングから様子を見に来た母が「仲良しねえ」と呑気に言うのが、余計に腹立たしい。仲良しじゃない、これは労働だ。

夕方、五枚目のポスターを仕上げて並べた。瞳はそれを一枚一枚じっくり眺め、ついに満面の笑みを浮かべた。

「これ! この神秘的なやつ、最高! あと、このポップなのはココナラ用にする! お兄ちゃん、天才!」

さっきまでダメ出しを連発していた人間の言葉とは思えない。だが、妹が嬉しそうにしているのを見ると、不思議と疲れが和らぐから兄というのは因果な生き物だ。

瞳はポスターを大事そうに抱え、「お父さんたちの説得行ってくる!」と階段を駆け下りていった。途中で振り返り、一言付け加えるのを忘れなかった。

「あ、お兄ちゃんが記念すべき最初のお客さんね。ココナラ出品前に練習台になってもらうから」

「……また無料で使われるのか」

「何言ってるの。ちゃんと料金いただきます。兄妹割で三割引にしてあげるけど」

「割引率下がってないか?」

「需要と供給だよ、お兄ちゃん」

どこで覚えてきたのか、経済用語まで使いこなしている。タロットの次は商売の才能まで開花させるつもりらしい。

こうして、占い師・瞳の物語は幕を開けた。カードを引くまでもなく、僕がこの先も都合よく使われる未来だけは、はっきりと見えている。

※この物語はフィクションです。ただし、「兄は妹に弱い」という法則だけは、フィクションではないかもしれません。なお兄がその日に引いたカードは「塔」の逆位置——災難のあとに再生。彼の休日は崩壊しましたが、妹の笑顔で何とか再生したそうです。笑



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ということで、
前回のブログでご案内したコンテンツに続き、
タロットに関するコンテンツをコンテンツマーケットへ準備中です。
そのうちにです。笑



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