現代社会読本③~少子高齢化、多様化、ユニバーサル化、情報化、グローバル化など、急激に変化する現代社会について、基本的な理解と知見を持つことは重要です。

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3、少子化社会(society of fewer children)

(1)女性の社会進出(the increase of working women)
 高齢社会をもたらした背景には少子化(decline in the number of birth)があり、そのため少子高齢社会と呼ばれることもありますが、こうした状況をもたらした要因の一つに女性の社会進出が挙げられます。戦前は「男は仕事で、女は家庭」という観念が強く、また、「産めよ、増やせよ」といった国家的スローガンが掲げられたこともあって、子だくさんであることは決して珍しいことではなかったのです。ところが、女性の社会進出に伴って女性の平均初婚年齢(the average age at first marriage)が上昇(2023年で男性は31.1歳、女性は29.7歳)、25~29歳の女性の未婚率(the unmarried rate)は1975年には20.9%でしたが、2020年には約60%となっています。生涯未婚率(the lifetime-unmarried rate)も2020年で17.8%(6人に1人の女性は結婚しない)となり、婚外出産の比重が少ない日本(スウェーデンでは婚外出産が55~57%に達していますが、日本では推定で2.3~2.5%にすぎません)においては、少子化は避けられない傾向となりました。つまり、現代のライフスタイルとして晩婚晩産型が多くなり、非婚非産型も見逃せないほどになってきたのです。

(2)人口問題(population problem)
 人口維持のために必要な合計特殊出生率(total fertility rate 1人の女性が生涯に産む子供の数の平均、夫婦が持つ平均的な子供の数は完結出生児数と言い、1972年から2.2前後で安定していましたが、2021年の時点で1.90人となっています)は2.08(人口置換水準=将来的に人口が増えも減りもしない状態を維持するために必要な合計特殊出生率の水準)とされますが、現代の日本は2024年の時点で1.15です。少子化は将来的に労働力不足をもたらし、経済力などの面で、国全体の地盤沈下につながるとも指摘されています。しかし、結婚や出産は極めて個人的な問題のため、早く結婚して、子供を産むように国が音頭を取るわけにはいかず、ここに少子化問題の難しさがあると言えます。さらに住宅事情の貧弱さ、養育費・教育費の大きな負担が出生率の低下に拍車をかけているという現実もあり、今や関心は「介護の社会化」から「子育ての社会化」に移りつつあると言えます。
 20世紀は「多産多死」から「多産少死」へ(「人口爆発 the Population Explosion」)、さらに「少産少死」へ(「人口革命 the Population Revolution」)と人口の大転換(the Population Change)がもたらされるようになりました。その後、さらに「少産少死」という状況の中で、出生率が人口置換水準以下に下がる現象が見られるようになったのです(「第二の人口転換」)。21世紀に入り、国連が2003年2月に改訂した将来人口推計によれば、途上国を含めて世界の8割の国が2050年までに人口置換水準を保つことができなくなり、人口が減少するとしました。各国の出生率低下の原因は晩産化にあることが明らかになっていますが、高い出生率を維持している国は女性の労働力率
(labor force participation ratio 15歳以上人口に占める労働力人口の割合)も高いという傾向があり、仕事と育児の両立支援策の重要性が浮き彫りになっています。

(3)ライフスタイルの変化(the change of lifestyle)
 日本の「少子化」の背景として「未婚化」があり、特に男性に顕著な傾向であるとされ、大半の人が結婚する「皆婚時代」から「非婚時代」の到来すら指摘されています。国立社会保障・人口問題研究所が2021年に発表した「第16回出生動向基本調査」によれば、18~34歳の未婚者のうち、「一生結婚するつもりはない」と答えた人は、男性で17.3%、女性で14.6%に上りました。戦後の日本は世界でも珍しい「皆婚社会」でしたが、女性の社会進出に伴い、女性の自立が進み、非婚・晩婚は「結婚したい男性」と「結婚しなくてもいい女性」の「ミスマッチ現象」とも表現されます。また、不況により、男性に「家庭を持てるほどの経済力がない」という不安が強まっていることも指摘されています。さらに男女共に年を取るほど理想は高くなるとされ、女性が「白馬の王子様」(Prince Charming)を待つように、男性も「白雪姫」を待っているのではないかと言われています。
 また、最も子供を出産する20代後半の出生率の下落傾向が著しいわけですが、この背景にはまず出産を「先延ばし」にし、結局、産まない傾向があると言います。結婚と同時に妊娠する「ハネムーン・ベビー」(honeymoon 
baby)が少なくなり、代わって20歳代前半で妊娠して結婚する「できちゃった結婚」(授かり婚)が増加し、全婚姻の約4〜5組に1組(約18〜25%)の割合で発生しており、特に10代〜20代前半の初婚では6〜8割と高い比率を占めます。10代~20代前半での「できちゃった婚」はその後の離婚率が4〜6割と高い傾向にあり、20歳代後半になっても第2子を産まなくなったことも影響していると見られます。こうした二極化によって、20歳代後半に出産が集中しなくなったというわけです。妊娠すれば踏ん切りがつくが、そうでなければ仕事や将来を考えて、出産を先延ばしにするという男女の姿がそこにあるのです。

(4)パラサイト・シングル(Parasite Single)
 「パラサイト・シングル」(親と同居する未婚者)の数は、2019年時点で
20〜50代の約1,430万人にのぼり、未婚者全体の約7割を占めていて、その存在は少子化や不況をもたらすとの指摘もあります。35〜49歳の中年層だけでも約180万人存在すると推計されており、親の加齢に伴う介護や「8050問題(80代の親と50代の無職の子)」など、その長期化・高齢化が深刻な社会問題となっています。
 少子化問題がクローズアップされる中、人口突出世代である団塊ジュニア(団塊世代、1947~49年生まれの子供達を中心とした、1971~74年生まれの若者層)の動向に注目が集まっていますが、出産年齢真っ盛りの団塊ジュニア達の一斉出産で第3次ベビーブームがやってくるどころか、肝心のその世代はなかなか結婚しようとしません。こうした中で、その背景に「親元暮らしが快適」とあえて自立しない若い女性達の存在が浮き彫りになってきたのです。
単独世帯~核家族化が進んだ高度経済成長期を経て、未婚者数と高齢者数の増加と共に少子高齢社会を迎えた現在、家族と同居しない単独世帯が増加しています。
パラサイト・シングル~学校卒業後も親と同居し、基本的生活を親に依存している未婚者のこと。親に寄生(パラサイト)しているように見えることから、社会学者の山田昌弘が提唱しました。
リプロタクティヴ・ヘルス/ライツ~女性の性と生殖についての健康とそれを守る権利のこと。女性の地位向上を目指して、国際人口・開発会議で宣言されました。
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