現代社会読本②~少子高齢化、多様化、ユニバーサル化、情報化、グローバル化など、急激に変化する現代社会について、基本的な理解と知見を持つことは重要です。

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2、ユニバーサル社会(universal society)

(1)バリアフリー(Barrier-free)
バリアフリー:高齢者や障害者が社会参加する際に障壁となるものを取り除くこと。
 現実の社会(住宅・道路・駅・公共施設など)は健常者を対象として設計されたものであるため、障害者・高齢者にとってはバリア(barrier 障害・障壁)となるものが少なくありませんでした。このバリアを取り除いて、高齢者・障害者にも住みやすい社会を作っていこうとするのが「バリアフリー」です。そして、この最大のポイントが「心のバリアフリー」であり、社会全体の意識改革であるとされます。
 また、住宅を「バリアフリー」に改修したり、福祉用具を購入したりする際、福祉・医療と建築などの分野の橋渡し役を担う新しい資格として「福祉住環境コーディネーター」が注目を浴びています。これは東京商工会議所が独自に開発した検定試験で、段差の解消や手すりの設置、介護用品の導入など、障害や介護の状況に合わせた住宅改造や整備が円満に運ぶように、住む人と医療関係者、ホームヘルパーやケアマネジャー、建築業者らと連携しながら、適切なプランを提供する人材の育成を目的としています。3級は福祉と住環境関連の基本的な知識が、2級は各分野の専門職と連携して具体的な解決策を提案する実務能力が問われます。厚生労働省では2001年から従来のケアマネジャーに加え、新たに同コーディネーター2級合格者と作業療法士を、「介護保険による介護住宅改修費の支給申請をする際に、理由書作成ができる専門職」と位置付けました。

(2)ノーマライゼーション(Normalization)
ノーマライゼーション:身体的・精神的障壁を取り除き、高齢者や障害者など、全ての人が不自由なく(ノーマルに)暮らせる共生社会を目指す理念のこと。
 バリアフリーの根底にある考えがノーマライゼーションで、これは障害者・高齢者を特別視しないで、一つの個性・特徴の持主としてとらえていく共生(Co-existence)の原理です。具体的には、住宅内や道路の段差の解消や介護スぺースのある風呂場やトイレ、車イスが通れる廊下の幅の確保、レストランでのスロープの確保や手話などを含めた従業員教育の徹底、駅などの下りのエスカレーターの整備や歩道の点字ブロックの上に駐輪させないようにするなど、実に多く挙げられます。例えば、ある調査結果では配慮の必要な高齢者の89%、介助の必要な高齢者の72%が「旅行に行きたい」と希望していますが、こうした希望に沿うには交通機関や宿泊、観光施設の環境整備が必要であると同時に、社会全体が高齢者・障害者を自然に受け入れ、特別視せずに配慮していくという「共生意識」が必要になってくるのであす。これはQOL(Quality of Life、人生・生活の質)の観点とも直結しています。

(3)ユニバーサル・デザイン(Universal Design=UD)
 年齢や性別、体格、障害の有無などに関係無く、誰にとっても使いやすい配慮がされた製品や空間、サービス、社会の仕組みを目指す考え方をユニバーサル・デザインと呼びます。バリアフリーが「障害がある人のために障壁を取り除く」という考え方であるのに対し、UDは「みんなのため」という発想であり、「共用品」とも呼ばれます。障害や年齢に関係無く着られる「ユニバーサル・ファッション」(universal fashion)の考え方も、これに基づいています。1970年代に米ノースカロライナ州立大学の故ロナルド・メイス氏が提唱したとされます。欧米諸国では、握力の衰えた人のための開け閉めしやすいドアのノブや、バネがついて開く時に力のいらないハサミ、足の不自由な人でも乗り降りがしやすい乗車口の低いバスなどの開発が早くから進められてきました。
 ちなみに「ユニバーサル・デザインの7原則」と呼ばれるものは、次の通りです。
①誰でも公平に使うことができるものであること。
②多様な使い手に柔軟に対応でき、使いやすいものであること。
③ユーザーの経験・知識・言語能力・使用時の集中力に関わらず、使い方が簡単に理解できること。
④周囲の条件や使い手の認知能力に関わらず、製品が必要な情報をきちんと伝えていること。
⑤製品の危険性を排除し、突発的または意図しない行動による事故の可能性をできる限り避けていること。
⑥快適に、身体的負担を感じずに使用できること。
⑦使い手の体格、姿勢、動作や運動能力に関わらず、使いやすい適切な大きさと空間が確保されていること。

(4)インクルージョン(Inclusion)
 障害を持つ子供が健常児と一緒に学校教育を受けるインクルージョン(包括教育)が、多くの国で重要な政策目標となっています。OECD(経済協力開発機構)では、その実態調査を米国、カナダ、イタリア、ドイツ、オーストリアなど8カ国で実施し、その報告を「Inclusive Education at Work」と題して出版していますが、そこでは多くの条件付きながらも、インクルージョンが教育を受ける子供達全体に等しく利益をもたらすと結論しています。
 インクルージョンは、1970年代頃より教育における公平や子供の権利の尊重を背景に、親達の意識変化、教育法や情報技術(IT=Information Technology)の導入などによって多くの支持を得るようになり、国連やユネスコでも是認されています。そこには、子供達を障害の有無で分離することなく、個々の子供のニーズに応じて、きめ細かく教育するとの理想があります。また、ノーマライゼーションの前提となる、障害に対する理解を深める自然な場を子供達に提供することになるのです。障害などのために特別教育プログラムを必要とする生徒を一般の学校で受け入れている割合は増えていますが、養護学校などでの分離教育を求める親も多数いたり、障害の性格などからインクルージョンには適さない生徒がいるとも言われています。さらに障害児が障害児同士一緒にいることを望むといった指摘もあり、これらは教育現場の現状や地域社会の障害者との関わり方の実態を反映するものであり、インクルージョン実現のためには教育の方法論にとどまらず、社会を巻き込んだ発想の転換、教育の総合的構造改革が必要とされます。例えば、現在、文部科学省は「二重学籍」を認めていません。OECDでは、教師に対する学校内外の支援態勢(医師、治療士、助手など)の拡充が必要であり、学校単位でカリキュラム、クラスの構成や規模を柔軟に決定できるようにしたり、親や地域社会を一層関与させたりすることが重要であるとしており、また、「分離教育での生徒一人当たりのコストはインクルージョンでの場合より高価になる」という事実が判明しているとの指摘も興味深いところです。

(5)共生社会(Society of Coexistence, Inclusive Society)
ボランティア:意志や好意などを意味するラテン語が語源です。自発性(自主性)、社会性(福祉性)、及び対価を求めないことなどが顕著な特徴です。
世界ボランティア宣言:1990年。ボランティア活動を「個人が自発的に決意・選択し、人間の潜在能力や日常生活の質を向上させ、人間相互の連帯感を高める活動」と定義しています。
ボランティア元年:1995年。阪神・淡路大震災を機にボランティア活動が社会的に広がりました。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR):1951年に設立された国連経済社会理事会の特別機関です。紛争や飢餓のために他国に逃れ、生命の危険にさらされて苦しんでいる難民の救済・援助活動を行っています。
国境なき医師団(MSF):1971年に結成された非営利団体。世界各地で災害や紛争の被害者に対し、人種・宗教に囚われず、医療・人道援助活動を行っています。
対人地雷禁止条約(オタワ条約):非人道的兵器である地雷の廃絶を訴える国際世論の高まりを受けて、1997年に結ばれましたが、アメリカ・中国は加盟していません。
フェアトレード(公正な貿易):発展途上国の産品を生産者から適正価格で輸入し、先進国内で販売する仕組みのこと。継続的に生産者の自立を支援し、市場競争で軽視されがちな生産者の雇用条件や環境への配慮を取り組みの基本方針としています。
製造物責任法(PL法):製造物の欠陥により損害が生じた場合、その製造者が損害賠償責任を負うことを定めています。
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