①意外に知らない「恋愛の心理」
人生前半期最大のテーマが「恋愛」あるいは「結婚」であるとすれば、誰しもこれを相当研究し、人生経験を重ね、人間関係の訓練をしているかと思いきや、意外にも無知・無理解のまま、いきなり大舞台に上がってしまう人が数多くいます。人間の成長に伴う「生理的なメカニズム」については学校でも学びますが、「心理的なメカニズム」や「人間関係の意味・意義」については家庭でも学校でも系統的に教えてくれるわけでもありませんから、仕方が無いといえば仕方が無いことかもしれません。そもそも教えることが出来る人がいない!
実際、男女間の愛と性に対する意識の違いはよく知られていますが、「恋に恋する」幼いレベルから「相手を通して自分を愛する」自己愛の心理、若い女性に意外に多く見られる「プリンス・チャーミング」(白馬に乗った王子様)観、さらには本人でも自覚するのが難しい「代償」など、知っておくべきことはけっこうあるものです。「代償」では、女性が「男性」「夫」を求めているようで実は「父親」を求めていたというケースのように、親との関係が影響する場合が多いので、「家庭環境」を知らないと判断が出来ません
最近では結婚紹介業も盛んになり、会員数万人という企業も珍しくなくなりましたが、ある「ハイレベル層」(高学歴・高収入など)限定の結婚紹介会社によれば、ここに会員登録している女性達の要求するものは100%「高収入」で、「例外無し」だそうです。これに対して、男性会員は間違いなく「かわいい女性」を求めており、しかも「モデルのような美人」を要求するというのです。ここの就業面接を受け、「あなたはウチの会社に向いている!」とスタッフから絶賛されたある女性はこの現実を知って、思わず友人に「これってどこにも『愛』がないわよね」と言ったそうです。そりゃそうですよね。女性は「要は金よ、私はラクがしたいのよ」と言っているようなものであり、男性の方は金はあるので、それでモデルのような美人を買っているようなものですから。そして、これを聞いた友人も「こうして結婚した夫婦からどんな子供が生れるんだろうね」と顔を見合わせたと言います。
あるいは芸能人の中でも、初めて会った時に「ビビッと来た!」と言って結婚することが一時期多く見られましたが、「ビビッ」と来たにも関わらず、離婚してしまうカップルが多いのは一体どうしたことでしょう?実はこの「ビビッ」がくせ者なのです。そもそもなぜ「特定の人」を好きになるのか、正確に言うと「好きになってしまうのか」、考えたことがありますか?
日本ではあまり知られていませんが、「運命心理学」「運命分析学」を創始したリポット・ソンディによれば、「恋愛」「友情」「職業」「疾病」「死因」といった「選択」には「無意識の作用」が働いており、それはフロイトの言う「個人的無意識」とユングの言う(人類レベルの)「集合的無意識」の間にある「家庭的無意識」(先祖から引き継いだ無意識)が関係しているとしています。
これにはソンディ自身の「原体験」があり、23歳の頃、軍医中尉だった彼がわずかな休暇を利用してウィーン大学で熱心に心理学の聴講していた時、初恋の女性と巡り会い、彼女と是非結婚したいと思って、何とか休暇をもう少し延ばそうとしていたそうです。彼女は語学教師をしており、ブロンド髪のアーリアン系美人で、ザクセン出身でしたが、ある夜、彼の両親が彼の異母兄の悲惨な運命について、悲しげに語り合っているという夢を見て、ソンディは衝撃を受けることとなります。ちなみにソンディは異母兄の死の3年後に生まれています。実は以前に彼の異母兄は彼と同じようにウィーン大学で医学を勉強しており、これまた同じようにブロンド髪のアーリアン系美人で、ザクセン出身の語学教師の女性を愛してしまったのです。彼の異母兄はその女性と結婚しましたが、結局、医師国家試験の受験を断念しなければならなくなり、結婚は完全に失敗で、悲惨と言ってもよかったと言います。この時、ソンディは「これは偶然の暗号ではない!自分は無意識のうちにこの異母兄の運命を反復しようとしているのだ!」と直感し、強い意志と理性を働かせて断ち難い愛着を断ち切り、直ちにウィーンを去ったのでした。
このように「ある特定の人を好きになる」「縁が生じる」というのはたまたま偶然にというわけではなくて、家系を遡っていくと「必然的な原因」が見えてくる場合があるのです。これが「無意識」の中に引き継がれている可能性があるため、「遺伝要因」まで知る必要があるのです。