【コミュニケーション・スキル⑥】疑問・質問がコミュニケーションを発展させる
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③問題意識や興味を持つと、会話が深化する
「スピーチや講演をして聴衆を眠らせる名人」という人がいます。要するに話がつまんないので、みんな寝ちゃうということですね。逆に「どんな話を聞いても絶対寝ない」ことを自慢にしている人もいます。何だか、「矛と盾」の話みたいですが、後者の人に言わせれば、コツは「話の内容に興味・関心を持つこと」だそうです。授業中とか大事な会議の場だとか、応用が利きそうですね。同様に会話でも問題意識や興味・関心を持つと、「ただの話」が「自分にとって意味のある話、関係のある話」となるので、疑問・質問が生れるようになるのです。幕末の教育家吉田松陰も「本は自分に引き付けて読め」と指導していましたが、実は会話もそうなのです。
実践マーケッターの神田昌典さんは、フォトリーディングという驚異的な速読法の公認インストラクターでもありますが、「私に言わせれば、読書というのは、本の情報を正しく理解して、それを活用するために行なうのではない。むしろ、本の情報を刺激として、既存知識を結び合わせて、自分自身の思考体系の中で活用するためだ」と喝破しており、これは会話でも同様のことが言えるのです。ちなみに神田さんの『お金と英語の非常識な関係(下)』には、初めて読む432ページもの洋書をわずか3時間で読了し、しかも概略をつかんで必要な情報を的確に引き出すという驚くべき実例が紹介されています。
単に相手の知識・経験・考えを吸収するというだけでなく、むしろそれを媒介として自分の知識・経験・考えを再編成・再活性化するのです。会話のキャッチボールの中では、聞く側の知識・経験・考えの再編成・再活性化が往々にして、今度は話す側の知識・経験・考えの再編成・再活性化につながっていくものです。こうなったら、双方がこのコミュニケーションから実に多大なものを得ることとなります。
同じように相手から聞いているように見えて、ただの「聞き役」に終始している人と、時々ほんのわずかな質問を交えて、どこまでも会話が発展し、話している側、教えている側も「君と話せてよかった!」「今日はいい時間をありがとう」とつい言ってしまう人の差は何かというと、心の中、頭の中にあるのです。
では、どういう問題意識、興味・関心を持てはいいかというと、これはそれほど難しい話ではありません。要は「人間そのものに関心を持てばいい」のです。「人間を好きになる」といってもいいかもしれません。例えば、歴史に関心があるとしても、歴史は結局「人の営みの集積」と言ってもよく、科学などでも科学上の様々な発明・発見をしたのは「人間」に他ならず、あるいは「金もうけ」を目指している人なら、やはり「貧乏人から出発して金持ちになった人の体験談」に学ぼうと思うことでしょう。要するにあらゆる学問・分野・仕事は全て「人間のなせる業」なのです。