経験論:経験の起源を経験(感覚)に求める立場。生得観念を否定し、観察と実験によって自然法則を導く帰納法を学問方法としました。これは近代科学の方法論でもあります。現実の生活での有用性を重んじるイギリスを中心に発達し、経験(知覚)を根拠にした認識とはどういうことかを追究していきます。
ベーコン:イギリス経験論の祖、『ノヴム・オルガヌム』『ニュー・アトランティス』。人間にはその本性や感覚によって誤謬や錯覚が生じますが、実験と観察を通じて得られた知識によって、それらを取り除き、自然の一般的な法則を捉えることで、自然を支配できると考えました。『ニュー・アトランティス』では科学技術が発達した理想郷を描いています。
「人間の知識と力は合一する(知は力なり)。」(『ノヴム・オルガヌム』)
帰納法:実験と観察によって得られた個別的事例から一般的な法則を導き出す方法。
イドラ:先入観・偏見など。ベーコンは自然を正しく認識するためには、イドラを排除しなければならないとしました。
種族のイドラ(Idola Tribus):人間という種族であるがゆえに陥る偏見。人間に共通する自然的な制約から生じる偏見。感覚による錯覚など。
洞窟のイドラ(Idola Specus):個人的な性向や経験から生じる偏見。各人が各様に持っている経験や知識から生じる偏見。自然の光が遮られた洞窟の中にいる状態にたとえたもの。
市場のイドラ(Idola Fori):言葉の不適切な使用から生じる偏見。人間相互の交わりから生じる偏見。人々が集まる場所でうわさ話を信じることにたとえたもの。
劇場のイドラ(Idola Theatri):伝統や権威を無批判に盲信することから生まれる偏見。劇場で演じられる芝居を、観客が本物と思い込むようなもの。
ロック:『人間悟性論』。人間には生まれつき一定の観念が備わっているという見方(生得観念)を否定し、あらゆる観念は感覚という外的な経験と反省という内的経験によって、後天的に形成されるとしました。
白紙(タブラ・ラサ、tabula rasa):人間の心の生まれた当初の状態、経験する前の状態。
バークリー:観念以外の事物の存在を否定する唯心論。
「存在することとは知覚されることである。」:バークリーは、事物が存在するのは人間がこれを知覚する限りにおいてであり、心の他に物質的世界などは実在しないと考えました。
ヒューム:因果関係の客観性を否定する懐疑論。原因と結果の結びつきはむしろ習慣的な連想や想像力に由来する主観的な信念に他ならないとしました。このヒュームの懐疑論は、後にカントの独断のまどろみを破ったことで知られています。
「知覚の束」:ヒュームは経験論を徹底させ、人間の心は単なる「知覚の束」にすぎないと主張しました。そして、実在するのは流れゆく知覚だけで、実体としての精神は存在しないという懐疑的立場を取りました。