教養としての近代思想⑤:イギリス経験論
経験論:経験の起源を経験(感覚)に求める立場。生得観念を否定し、観察と実験によって自然法則を導く帰納法を学問方法としました。これは近代科学の方法論でもあります。現実の生活での有用性を重んじるイギリスを中心に発達し、経験(知覚)を根拠にした認識とはどういうことかを追究していきます。
ベーコン:イギリス経験論の祖、『ノヴム・オルガヌム』『ニュー・アトランティス』。人間にはその本性や感覚によって誤謬や錯覚が生じますが、実験と観察を通じて得られた知識によって、それらを取り除き、自然の一般的な法則を捉えることで、自然を支配できると考えました。『ニュー・アトランティス』では科学技術が発達した理想郷を描いています。
「人間の知識と力は合一する(知は力なり)。」(『ノヴム・オルガヌム』)
帰納法:実験と観察によって得られた個別的事例から一般的な法則を導き出す方法。
イドラ:先入観・偏見など。ベーコンは自然を正しく認識するためには、イドラを排除しなければならないとしました。
種族のイドラ(Idola Tribus):人間という種族であるがゆえに陥る偏見。人間に共通する自然的な制約から生じる偏見。感覚による錯覚など。
洞窟のイドラ(Idola Specus):個人的な性向や経験から生じる偏見。各人が各様に持っている経験や知識から生じる偏見。自然の光が遮られた洞窟の中にいる状態にたとえたもの。
市場のイドラ(Idola Fori):言葉の不適切な使用から生じる偏見。人間相互の交わりから生じる偏見。人々が集まる場所でうわさ話を信じることにたとえたもの。
劇場のイドラ(Idola Theatri):伝統
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