ピアジェ:スイスの心理学者。幼児期における自己中心的思考を指摘し、児童期になって、他者の視点に立って物事を認識できるようになることを「脱中心化」と呼び、思いやりの発生基盤としました。
第一反抗期:何でも拒否する態度を示す3~4歳児の頃。
アリエス:フランスの歴史学者。『<子ども>の誕生』で、近代以前のヨーロッパでは「子ども」という概念が確立されておらず、中世では7歳以降の人間は「小さな大人」と見なされていたと指摘し、「子ども」の意義が認められるようになったのは近代以降であるとしました。
青年期:大人としての自立を準備する段階。社会の産業化・情報化が高度に進むと共に、その期間は拡大する傾向にあります。10歳頃から成人までの移行期を人格的な発達に応じて、プレ青年期・青年期(前期・後期)・プレ成人期に区分する考えがあります。
ルソー:フランスの思想家。未熟な存在としてこの世に生まれ落ちた人間が、青年期に至って自己や性に対する自覚を強めるようになることを「第二の誕生」と表現し、子どもの自然な素質や成長に応じた教育の必要性を説きました。
ホリングワース:アメリカの心理学者。青年期に入り、親の保護から離れて精神的に自立しようとする過程を「心理的離乳」と呼びました。
第二次性徴:12~13歳頃から男女の身体的特徴が現れること。第二次性徴が現れて身体が急速に発達する青年期には、女性や男性としての成熟した自己像を形成することが課題となります。
第二反抗期:思春期の12~13頃に始まり、自我の目覚めと共に自己主張が強くなり、大人や社会秩序に対して反抗的な態度を示すようになる時期のこと。親子間に対立関係をもたらすこともあるが、子どもが精神的に自立するプロセスの一環でもあります。
疾風怒濤(シュトルム・ウント・ドラング):元々はゲーテやシラーによる、理性よりも人間の感情を重視した文学運動を指す言葉でしたが、後に感情起伏の激しい青年期の内面を表す言葉として、「疾風怒涛の時代」が用いられました。
エゴイズム(自己中心主義):青年期になると自我に目覚め、エゴイズムの傾向が強くなると同時に、心理的な面で親から自立しようとします。
カウンター・カルチャー(対抗文化):既成の文化や価値観に対抗する若者文化を表したもの。
ヤマアラシのジレンマ:相手に接近したい気持ちとお互いが傷つくことへの恐れとが葛藤を起こし、適度な距離を見出しにくい状況を指します。ヤマアラシ同士が温め合うために近づこうとするが、近づきすぎると相手を傷つけてしまうというドイツの哲学者ショーペンハウアーの寓話から名付けられました。青年期の友人関係にもこのような状態が見られることがあります。
レヴィン:ドイツの心理学者。子どもと大人のはざまにいて、どちらの世界に対しても帰属意識を持てずに不安定な状態にある青年を、「マージナル・マン」(境界人・周辺人)と呼びました。
マージナル・マン(境界人・周辺人):複数の社会集団に属するが、同時にそのいずれの集団にも深く帰属できない人々のこと。子どもと大人のどちらの集団にも属さない、中間の存在としての青年。
カイリー:アメリカの心理学者。年齢的には大人になっても、心理的には子どものままでいようとする青年の有り様をピーターパン・シンドロームと呼びました。
ピーターパン・シンドローム:大人としての責任を拒否する態度。青年期の課題である自我同一性の確立ができていない状態。
モラトリアム人間:いつまでも猶予状態にひたり続ける人間。心理学者小此木啓吾(おこのぎけいご)による命名です。モラトリアムとは本来、決済や預金の払い出しを一時的に停止する支払い猶予という意味での経済用語でしたが、これを「大人としての義務・責任の遂行を猶予される時期」という意味に転用して青年期を説明したのがエリクソンでした。
エリクソン: ドイツ出身のデンマーク系ユダヤ人、アメリカの精神分析学者。父親の顔を知らずに育ち、放浪の旅と芸術活動を続けた青年期を経た後、ウィーンでフロイトとその娘アンナから精神分析を学びました。児童分析家として成長した後、アメリカに渡り、文化人類学者のマーガレット・ミードやベネディクトらと交流する中で『幼児期と社会』を著し、人間には乳児期から青年期までの各段階において発達課題を達成していくというライフサイクル理論を示しました。社会と自己の関係についてのエリクソンの考えは、友人だったリースマンの著書『孤独な群衆』にも影響を与えました。
ライフサイクル(人生周期):エリクソンは人生を8つの発達段階からなるライフサイクルに区分し、各段階に達成すべき課題があるとしました。例えば、乳児期の発達課題は基本的信頼の獲得であり、青年期の課題はアイデンティティ(自我同一性)の確立であるとしました。また、青年期の自己探求において、それまでに経験したことのない様々な役割を実際に行ってみることを役割実験と呼び、その意義について説きました。
アイデンティティ(自我同一性):一貫性・単一性に基づく自己認識をしつつ、所属集団から評価されることで充実感が得られ、集団の価値観を受容して役割期待に応えることで形成されていく自我の安定状態(自我理想)。
アイデンティティの危機(自我同一性の拡散):自分が自分であるという確信が持てず、自分が何者かが分からなくなる、生きている実感が得られないといった混乱状態のこと。
マーガレット・ミード:アメリカの文化人類学者、『サモアの青春』。『菊と刀』のベネディクトはコロンビア大学の同門です。サモア諸島の調査で、未開社会における思春期の少女達に青年期特有の葛藤の現象が見られないことを発見し、男女の気質・性質が後天的な文化の所産であることを実証し、歴史的・地域的な状況が個性の形成に大きく影響すると考えました。
一般化された他者:共同体・社会集団を代表する、抽象化された他者。ミードは、「私」がいて、他者との関係が生まれるのではなく、社会的な関係から「私」が産出されるとしました。
主我(I):個人という自由な主体。自分から見た自分。主我と客我が相互に作用することで自分がつくられていきます(自己形成)。
客我(me):他者の視点(役割の期待)を取得して形成。他人から見た自分。
不条理:フランスの小説家・劇作家・哲学者カミュの用語。人生や世界の意味を見出せない状態のこと。
神谷美恵子:日本の精神科医、『生きがいについて』。ハンセン氏病療養所での勤務経験を基に、幸福感と生きがい感の違いに着目し、前者に比べて後者は未来に向かう心の姿勢や使命感を強く含むと考えました。
オルポート:アメリカの心理学者。パーソナリティの研究を行い、成熟した人格(精神的に大人であること)の特徴として次の6つを挙げました。
(1)社会的領域への自己意識・自己感覚の拡大
(2)他者との温かい人間関係の構築
(3)情緒的安定と自己の受容
(4)現実的認知と解決のための技能
(5)自己の客観化・客観視、自己洞察とユーモア
(6)人生を統一する人生観・人生哲学の獲得
通過儀礼(イニシエーション):七五三や成人式など、人生の節目に行われる儀礼のこと。
ニート(NEET=Not in Employment or Training):就業・就学もせず、職業訓練も受けていない若者のこと。
生涯学習:学齢期の後も生涯にわたって学習を続けていくこと。
スチューデント・アパシー:学業に対して無気力になる学生の症状。
青い鳥症候群:一流大学を卒業して一流企業に就職するも、自分の期待と現実とのギャップから転職を重ねる青年を分析したもの。精神科医清水将之が提唱しました。
パラサイト・シングル:学校を卒業した後も親と同居し、住居や食事などの基礎的生活条件を親に依存する未婚者のこと。社会学者山田昌弘が提唱しました。