教育心理学と学習心理学の応用編④:「記憶のメカニズム」と「情報処理能力のアップ術」がカギ
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●「記憶のメカニズム」として、「ワーキングメモリ(超短期記憶)の活用」を覚えなければいけない
「ワーキングメモリ」(Working Memory)=「短期記憶」の概念をさらに拡大して、課題を遂行するために処理機能の役割を補充したもの。「作業記憶」「作動記憶」とも言います。従来は保持機能にのみ注目されていた「短期記憶」に対して、文の理解や推論など、より高次の認知機能と関連する保持の場として考えられ、目標に向かって情報を処理しつつ、一時的に事柄を保持する働きをしているのが「ワーキングメモリ」であるとされます。これはすでに学習した知識や経験を絶えず参照しながら目標に近づけるように、その過程を支えています。例えば、文を読む際には知識やエピソードを元にした長期記憶の検索を進めながら単語や文を理解しており、読み手は文を読む時に文理解の中心となるもの(フォーカス)を探していますが、ひとたび特定の単語を重要な情報であると判断すると、すかさず、それを中心として心的表象を構築するわけです。ここで如何に効率よくフォーカスを形成できるかが、文理解の効率を決定するのです。つまり、「ワーキングメモリ」は記憶の情報を使った知的活動(暗算、思考、推論、計画、問題解決など)の作業台であり、いわゆる「頭の良い人」は特に「ワーキングメモリ」を駆使することに長けている人と言ってもよいでしょう。ちなみにヒトと相同な「ワーキングメモリ」を担う「脳」部位は真猿類にしかないので、これは「人間性」にも直結する機能だと考えられています。
【ここに注目!】
例えば、671-123を頭の中だけで暗算してみて下さい(この紙も見ないで、頭の中に思い浮かべて計算してみましょう)。そろばんが得意で、頭の中にそろばんがある人はともかく、ごく普通の一般人なら、頭の中の作業台で足したり、引いたりして、処理するイメージがよく分かります。これがワーキングメモリです。
●「情報処理能力のアップ術」として、「捨てる技術」を身につけなければならない
「完全主義」「完璧主義」よりも「いい加減」「適当」にやることが肝心=1年かけて完璧に、真面目に1回仕上げるよりも、1ヶ月でいい加減に、適当に1回終えて、1年で12回反復する方が「勉強効果」ははるかに上がります。実は英語学習を妨げる心理的要因は「完璧でなければ出来るとは言えない」といった思い込み・強迫観念であり、真面目な人ほど陥りやすい完璧主義なのです。やり過ぎでもやらなさ過ぎでもない「いい加減」に、無謀でも無策でもない「適当」にやるべきであり、そのカギが「1回のハードル」を下げた「反復回数の確保」にあるのです。したがって、参考書・問題集の「目次」は何度も見て、全部で何章あり、何回で終えることが出来るか、今はどこをやっているかを常に把握しながら進めると(「マッピング」)、自分を見失わないで済みます。
また、受験などでは「精読」の訓練(「読解の技術」「論理的把握の方法」を身につけること)は絶対不可欠ですが、いつまでもここに留まると、「完全主義」「完璧主義」の落とし穴にはまってしまいます。「精読」が出来るようになれば(ゆっくり時間をかければ確実に理解することが出来るということを意味します)、早く「多読」の訓練に移行すべきであり、そのために必要な「こだわりを捨てる」ためには一般書籍よりも月刊誌、月刊誌よりも週刊誌、週刊誌よりも新聞の方が適当でしょう。新聞は1日で捨てないとたまってしまうため、さっさと読み切ってしまわなければならず、見出しだけ読んで関心があるものだけ本文記事に目を通すという習慣や、「1媒体1情報」という原則をつかむのに便利なのです。例えば、いきなりタイムなどから始めたりすると、いちいち分からない単語が気になってしまいますが、英字新聞だと通勤・通学時間の間、ヘッドラインと写真のみ目を通して、関心があれば第一パラグラフを読み、さらに興味が湧けば全て読むとすれば十分です。こうなれば、目的地に着いた時点でゴミ箱に捨てておしまいです。また、最初の1ヶ月ぐらいは頻出単語を1日100語ぐらい辞書で引くとよいでしょうが、これもその後、一切辞書を引かなくするためです(ペーパーバックスなどを読む際にも辞書は引かないのがコツなのです)。
【ここに注目!】
英語メディアでも月刊誌・週刊誌より新聞の方が「捨てる技術」を身につけやすいのです。「別に今、全部が全部分からなくてもいいや」といういい加減さ・適当さが速読速解を可能にします。