教育心理学と学習心理学の応用編③:「目標の因数分解」と「報酬効果」は重要なポイント
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●「目標の因数分解」とは、「1日の戦い」の具体化であり、妥協するかしないかの一線を決めることである
「現実的ポジティブ」は「今日1日の戦い」を明確にする=ただやみくもに「自分は絶対出来ますから!」と叫ぶのではなく(これを「思い込みポジティブ」「観念的ポジティブ」と言うが、最近増えつつあります)、「これが出来るようになるためには、何を、いつまでに、どれくらい出来るようになっていなければならないか」という「目標の具体化」が必要です(「現実的ポジティブ」)。なぜなら、目標が具体的であればあるほど、現実化されやすくなるからです。逆にいつまでも出来ないでいる人、苦手なままでいる人ほど、具体的計画が無く、最終目標⇔長期目標⇔中期目標⇔短期目標が連動(「目標の因数分解」とも言う)していないことがしばしば見受けられます。したがって、1年・半年の目標、1ヶ月・1週間の目標、1日の目標を明確にするわけですが、肝心なのは「今日1日の戦い」なのです。実は難関試験を突破する人であっても、1日の勉強を比較すれば、それほど大それたことをしているわけではありません。ただ、「1日の戦い」が明確で、しかもそれを達成するために妥協しないという「ほんのわずかな違い」の積み重ねが、1週間後、1ヵ月後、半年後、1年後には巨大な差として現実化するのです。したがって、目標達成が出来るかどうかは、端的には「その日1日の戦いを見ればよい」ということになります。それほど多いとも高いとも言えない「1日の目標」(英単語を1日20個覚えるとか、英文法の問題を1単元やるとか、英文解釈の問題を1日1題やるとか)に対して、「妥協癖」「逃避癖」がついている人なら、何日やっても妥協・逃避の積み重ねであるし、「達成癖」「成功癖」がついている人なら、時間が経てば経つほど目標が現実的になってくるからです。これは「出来る!」という思いを、「1日の目標」を達成するという「1日の戦い」の中で、「出来た!」という「自信」「確信」に転換する作業(「出来る!」を確認する作業)と言ってもよいでしょう(練習問題、過去問題、模試なども「出来る!」を確認・強化するものと言ってよいでしょう)。
【ここに注目!】
「重要なのは、どんなに大きく見える作業でも、よく見れば細かい単位で構成されていて、細分化できることである。私はこれを因数分解と呼んでいるが、大きく見える作業ほど因数分解がしやすいものだ。なぜ細分化するかといえば、一つひとつの小さな単位なら、単位ごとに途切れ途切れでもできるし、ほかの作業の合間や、ときにはほかの作業をしながらでもこなせるからである。」(「資格三冠王」黒川康正~弁護士・公認会計士・通訳)
●「報酬効果」とは、「自分を喜ばせながら育む」ことである
区切りがつく前に遊べば逃避、達成後なら「報酬効果」=勉強する前にちょっと一服する人は多くおり、途中の息抜きがついつい長くなって、いつの間にか1時間もおしゃべりしていたり、ついつい手を伸ばしたマンガ本を最後まで読んでしまったという人は後を絶ちません。実はこれらはいずれも逃避であり、勉強から来るストレス回避に他なりません。それで勉強の効率が上がるのならば意味がありますが、たいていの場合、より疲れた状態で勉強に臨むことになるので、逆効果なのです。勉強を推進する上では1単元終わったらお茶するとか、チョコレートを食べるとか、区切りの達成後に報酬を与えた方がより持続力、持久力をもたらすこととなります。これは動物に芸を仕込む作業と同じであり、報酬という喜びも無いのに芸を覚える動物などいないのです。自分を喜ばせながら育てる(セルフ・エデュケーション)ためには、節目節目での報酬が欠かせないのです。
【ここに注目!】
認知行動療法の1つであるセルフ・コントロール療法でも、「報酬効果」を利用した「自己強化」という技法があります。これは簡単な目標を立てて達成の自信をつけ、次第に目標の困難度を上げていき、目標を達成したら、ごほうびとなる行動を自分に許すというものです。目標を達成したら、言葉(ポジティブなセルフトーク)で自分をほめ、自己報酬を増やしていくわけですね。