●「ニーズの把握」とは、「なぜこれをやらなければならないか」(やらねばならない)という意義の明確化である
「ニーズ」とは必要性・必然性=同じ勉強をするにしても、なぜこの試験を受けなければならないのか、なぜこの勉強をしなければならないのか、という意義を分かってやっているのか、ただやみくもにやっているのかで大きな違いで出てきます。長丁場になればなるほど、あるいは難関試験であればあるほど、中だるみやスランプに陥るものですが、そうした際に必要なのは「原点に返る」ことであり、こうした意義の再自覚、ニーズの再確認が欠かせないものとなってくるのです。
【ここに注目!】
「勉強」は教える側から見れば「教育」となり(人を教えるだけに限らず、「自己教育」という視点も重要です)、学ぶ側から見れば「学習」となりますが、ここで必要なのはティーチング・スキル、スタディ・スキル、コミュニケーション・スキルといった3つのスキルです。しかし、「ニーズを把握すること」「ウォンツを増幅すること」を知らなければ、これらは単なる技術論(数学の公式の上手な使い方、英単語の楽な覚え方など)となってしまいます。方法論が分かっていなくて勉強が進まない、学力が伸びないという人に対しては技術論が必要ですが、そもそもやる気が起きない、勉強が続かないという人に対しては、メンタル・マネジメント(心の持ち方、管理の仕方)を教えないとどうしようもないのなのです。いわゆるカリスマ講師とか受験の神様とか呼ばれる人の中には、キラー・コンテンツを駆使する「スーパー・テクニシャン」もいれば、何となく話をしているだけで元気になる「やる気にさせる人」もいますが、前者は技術論に長けた人、後者はメンタル・マネジメントに長けた人と言ってよいでしょう。両方持っている人が理想なのです。
●「ウォンツの増幅」とは、「こうなるとどんなにいいことか」(やりたい)という気持ちの強化である
「ウォンツ」とは欲望・願望=「ニーズ」を知的側面とすれば、「ウォンツ」は情的側面となります(一般的日本人にとって「米」はニーズ商品ですが、何の役にも立たない「AIBO」などは究極的なウォンツ商品です)。高額商品を買う消費者の心理は、お金があるから買うのではなく、買いたい気持ちが強いから買うのです(お金がなければローンを組んででも)。試験勉強も単に必要性・必然性といった意義のみだと息切れしてきますが、「これに受かったらこんなことが出来るぞ」「合格したら、まずこれをやるんだ」といった「合格後のイメージ」が強い人ほど、願望達成力が強いことはよく知られています。
【ここに注目!】
経営コンサルタントとして著名な神田昌典氏が食器洗い機(見た人は必ず「業務用ですか」と聞くほど巨大で、都市部のたいていの家には入らなかったそうです)を販売していた時、顧客ターゲットを「3~4人以上の家族、オープンキッチンで、少なくとも80平米以上のマンションもしくは一戸建て」と考えていたそうですが、実際に買った人を訪ねてみると、あにはからんや、アパート暮らしでキッチンも狭く、とても食器洗い機を置くスペースもないのに、喜んで使っていたと言います(食器洗い機を接続してスイッチを入れると出口をふさがれ、キッチンから出られなくなるので、いつも食器洗い機を乗り越えてリビングに出るというのです!)。つまり、金があるから、スペースがあるから買ったのではなく、金は無くても、スペースは無くても、欲しいから買ったのです。勉強も学力があるから、能力があるからやれるのではなく、学力がなくとも、能力がなくとも、そうなったらどんなにいいだろうという願望が強いからやれるのです。
あるいは「ドラゴン桜」なども「東大に1年で行ける」「こうすればゼロからスタートしても何とかなる」という方法論を示して、「自分には東大なんて絶対無理」「東大生と自分は別な世界」という先入観を突き崩し、「自分が東大に入れたら何とすごいことだろう」というウォンツをかき立てたわけです(もちろん最初に東大に行く必要性、必然性、ニーズを訴えていますが、ウォンツを増幅させるところまで行った時、初めて多くの人を揺り動かすこととなったのです)。