前編の続きのお話です。
昨日は次の記事に向けて調べ物をしていたら記事を書く時間が無くなってしまいました。
(このあたりのお話は最後のオマケということで。)
苦肉の策の前後編です。
ということで点過程というものを前回は導入し、そのなかでも特別な定常ポアソン過程を導入して終わっていたのでした。
(書き忘れていましたが、前回の λ は定常ポアソン過程の強度と呼ばれます。)
では、強度 λ の定常ポアソン過程のイベント間の間隔 τ はどのようになるでしょうか?
バスの来る間隔が λ 分くらいとして、バスが行った後に次のバスが来るまでの時間 τ 分を考えています。
...これは
母数 λ の指数分布になるのです !
統計学の講義を受けたことがある方なら演習問題として導いたことがあるかもしれませんね。
ここまで準備することでやっと待ち時間 τ* を考えることが出来ます。
バスの来る間隔が λ 分くらいとして、バス停に着いてから次のバスが来るまでの時間 τ* 分を考えています。
『点過程の時系列解析』では更新過程と呼ばれる点過程のクラスに対して τ* の確率密度が与えられており、その期待値 E[τ*] は
E[τ*] = E[τ] / 2 ( 1 + V[τ] / E[τ]^2)
で与えられるとのことでした。
例にも挙げてきたように、バスの到着というのは定常ポアソン過程に従うでしょう。
すると、τ は指数分布に従うのでしたから上の τ* の期待値 E[τ*] は E[τ] (= 1 / λ) ということになります。
つまり、
前のバスが何時に来ていようとも次のバスが来るまでの待ち時間は、バスが目の前で行ってしまってから次のバスが来るまでの時間と (期待値の上では) 同じ
ということになるのです。
(前のバスが来てからある程度時間が経っている分、前者の方が短い気がしませんか?)
『点過程の時系列解析』ではこれを待ち時間のパラドックス (waiting time paradox) として紹介していました。
この現象は E[τ*] の式の中の V[τ] がミソになっています。
つまり、「到着時刻がバラつく」ということがこのパラドックスを引き起こすのです。
確率的なお話を考える時は期待値ばかり注目されがちですが、分散というのも無視することはできないのです。
...ということで少しオマケですが、
今日は
こちらで書いていたように日本の数学者について少し調べていたのです。
江戸の数学はどうだろうか ということで
吉田 光邦. (2021). 江戸の科学者.: 講談社学術文庫.
を少し読んでいました。
数学だけでなくいろいろな科学者についての話題があるのですが、共通しそうなのは江戸の科学というのは近代以降と違って芸能としての側面が強いのだなということでした。
ものすごい数の流派があり、それぞれがまさに鎖国的に活動をしていたような印象を受けたのです。
押井監督も「技術の思想」の欠如というようなことを何かで書いていたか言っていたかしましたが、
池上 彰, 佐藤 賢一. (2011). 日本の1/2革命.: 集英社新書.
なんて本もあったように、明治維新の際にこの江戸時代的な意識を更新し損ねたのが良くも悪くも今の日本にも脈々と受け継がれている気がしています。
ということで分割商法で前後編+オマケに分けちゃいました
というお話でした。