今の高校野球を象徴するワンプレーを垣間見た瞬間
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あれは去年の秋季大会でしょうか。九国がどこかの高校と試合しました。序盤の九国の攻撃。ワンアウト1塁でバッターは牟礼翔君。彼はレフト線沿いのサードゴロを打ち、併殺崩れでツーアウト1塁に変わりました。ここで九国ベンチが動き、実に3度に及ぶ2塁塁審への抗議が始まります。問題となったのはセカンドが捕球した位置がファーストランナー寄りだったこと。打球がライン沿いの当たりだったせいかサードからの送球がランナー寄りに逸れてしまった。タイミングはアウトですが、九国は1塁側のベンチだからこのプレーがよく見えた。要は【セカンドがファーストランナーを突き飛ばしたように見えた】んでしょう。つまりこれは【走塁妨害じゃないか?】と抗議しているんです。ですがルール上は全く問題ないプレー。ここで問題となるのは【セカンドが故意にファーストランナーを突き飛ばしたか?もしくは走塁を妨害したのか?】ではなく【セカンドのとった位置が必要だったか?】なんです。私は長年にわたり野球を見てきましたが、このルールは全く知りませんでした。おそらく守備側を守るためのルールなんでしょうが、ここには【守備側のラフプレーが全く考慮されていない】んです。しかもかつて聖隷クリストファーが常套手段とした故意落球とは違ってこんなプレー試合中頻繫に生起するプレーなんですよね。サードからすればライン寄りの打球を処理して併殺を狙うならばどうしたってファーストランナー寄りに送球せざるを得ないという事情もあるわけです。なぜならば逆方向にボールが逸れれば捕球するセカンドは逆シングルになるし、なおかつファーストランナーに足元をすくわれるリスクまであるからです。そうなれば3塁どころかホームにまでランナーが返ってくる恐れがある。仮にボールを後逸せずとも併殺が崩れれば相手の攻撃が続くわけです。得てして後味の悪いエラーの後は失点に結びつきやすい。中には逆にファーストランナーがセカンドの守備を妨害したというコメントもありましたが、私にはそう見えませんでした。でも仮にそうだとすると敵側の抗議があるはずなんですがね。そもそも九国が3度も2塁塁審に抗議したのは被害者側だったからでしょ?しかも試合は序盤。ここで審判の心証を決定的に損ねれば後々不利になるし九国は3点リードを追う側なんです。ではセカンドは?本当にあのプレーは故意ではなく不可抗力だったのか?絶対にそうだとは言い切れません。