7月18日のことです。私は部屋でモヤモヤしておりました。前日の夕方に極めて不愉快な出来事があり、それを引きずっていたのです。ですが問題は【ふつうに明日が来る】ことにありました。熱帯夜にすっかり慣れた私は夜から朝が楽になり、まるで他の季節みたいにふつうに朝を迎えていました。賢明なあなたからすれば【いったいどこに問題があるんだ?】となるでしょう。ですが私は【明日は来ない】前提で生きています。バカ暑いだけの名古屋の夏に楽しみなんぞありません。死ぬこと以上の楽しみがないんです。私は生きる希望が見出せずにいました。でも死ねない。どころか死ぬ気配すら感じられない。かといって今さら【明日が来る】生活には戻れません。私は正直迷いました。そんな時いきなり【明日は来ない】と言われたのです。確かに自分の声でしたが、なんか変なんです。そもそもこの文脈で出てくるセリフではない。かといって周りに人の気配はなく、私は自分の部屋にいました。【明日は来ない】とその声は何度も繰り返しました。私はものを書く時はふつうに言い切りますが、ふだんは断定調でものを言いません。もともと現場におりましたから。気休めとか大嫌いだし、目の前の現実を見た上で臨機応変に判断するタイプです。冷静に聞いていると【今の時系列ではない】ことがわかります。この日はさほど暑くなく、せいぜい32度くらいでした。蒸し暑くもなく、この週で一番楽な日。とても今日死ぬような状況ではありません。結局真相は不明ですが、こんな奇妙なことは初めて。私は毎年夏になれば【明日は来ない】前提で生きてきましたが、意外と死にまつわる言葉は出ないんです。何がきっかけか忘れましたが、こんな言葉がふつうに出るからこんな生活を始めたわけではありません。たぶんあれは自分の言葉ではないですね。目の前の現実を無視した発言はあり得ないし、単なる【夏に死にたい】ことへの固執ではないと思います。むしろ私は固執しないタイプ。真剣に悩んでいる時に現実離れしたことを言わないんです。要は【変えるな】というメッセージなんでしょうね。お前はもう長くないと。私はむしろこの言葉に救われたし、今もなお【明日は来ない】前提で生きています。私は変える気など微塵もないし、このままでいいと思っています。でもあれで本当によかったですね。【明日死ぬ】なんて言われたら怖くなってとても正気ではいられないでしょう。誰の言葉かは知りませんがね。