診断コンテンツを作った後の「ひと工夫」!今日からできる二次活用とLP改善術

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ビジネス・マーケティング

診断コンテンツを「作りっぱなし」にしていませんか?

せっかく制作した診断コンテンツ、公開後に一度使われただけで、そのまま放置されていませんか?

多くの企業で、診断コンテンツが一度きりの施策として終わってしまい、「作っただけ」で活用されていないケースが見受けられます。これはとてももったいないことです。

診断コンテンツは、単なるエンタメではありません。診断結果には、顧客の悩みや関心、ニーズといった「生きたデータ」が詰まっており、それ自体がとても価値の高い情報資産なのです。

本記事では、その貴重なデータを有効活用し、「診断結果連動型コンテンツマーケティング」によって顧客との継続的な接点を生み出す戦略をご紹介します。

第1章:オウンドメディアでの接点強化

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多くの企業にとって、オウンドメディアは情報発信の中心であり、顧客との貴重な接点でもあります。しかし、ただ情報を並べるだけでは、顧客の心に響かせ、継続的なエンゲージメントを生み出すのは難しいのが現実です。

そこで注目したいのが、診断コンテンツの持つ可能性です。

診断コンテンツは、単なる一方通行の情報提供にとどまらず、ユーザーの能動的な参加をうながします。さらに、その結果から、顧客が抱える課題や興味・関心といった「潜在ニーズ」を掘り下げることが可能です。

このような「顧客理解の深化」という大きな強みを活かせば、診断コンテンツはオウンドメディア上の一コンテンツにとどまらず、顧客との関係を築くための強力な「ハブ」として機能します。

本章では、診断コンテンツがどのようにオウンドメディアの価値を高め、顧客とのつながりを強化できるのか。その理由と具体的な活用方法について解説します。

診断コンテンツがオウンドメディアの「ハブ」になる理由

診断コンテンツがオウンドメディアにおける「強力なハブ」となり得る最大の理由は、ユーザーが情報を「自分ごと」として能動的に取りにいく点にあります。

一般的な記事コンテンツが、受動的に情報を受け取る形式であるのに対し、診断コンテンツではユーザー自身が質問に答え、自分だけのパーソナライズされた結果を得るプロセスに参加します。この体験が、強い関心と高いエンゲージメントを生むのです。

そして、この高いエンゲージメントは、その後の行動にもつながっていきます。診断結果という「フック(きっかけ)」を活かすことで、ユーザーの興味・関心に沿った自社のコンテンツやサービスページへ、違和感なく誘導することが可能です。

たとえば、「あなたの肌質に合ったスキンケア診断」であれば、診断結果ページからおすすめの美容液を紹介する記事や、特定成分を配合した商品の紹介ページへと、スムーズに導けます。

このように、オウンドメディア内での回遊率向上はもちろん、診断結果に基づいたパーソナライズされた情報提供によって、より深い顧客関係の構築が期待できます。

接点強化の具体例

診断コンテンツをオウンドメディアのハブとして活用し、顧客との接点を深める方法は実に様々です。ここでは、2つの異なる業界を例に、具体的な活用イメージをご紹介します。

例1:コスメサイトにおける「肌質診断」の活用
あるコスメサイトが提供する「肌質診断」を想定してみましょう。

このコンテンツでは、ユーザーがいくつかの質問に答えることで、「乾燥肌」「脂性肌」「混合肌」など、自身の肌タイプが診断されます。この診断結果ページこそが、次なる顧客接点を生み出す絶好のタイミングです。

たとえば、「あなたの肌タイプにおすすめのスキンケア方法」と題したコラム記事へのリンクを設置します。そうすることで、乾燥肌と診断されたユーザーには保湿ケアに関する記事を、脂性肌のユーザーには皮脂バランスを整えるための情報を表示するなど、診断結果に応じてパーソナライズされたコンテンツへ自然に誘導できます。

こうしたアプローチにより、ユーザーは「自分のために用意された情報だ」と感じやすく、積極的にコンテンツを読み進めてくれるでしょう。その結果、サイト内の回遊率が向上し、ブランドに対する信頼感やエンゲージメントも高まります。

例2:転職サイトにおける「キャリア診断」の活用
転職サイトを利用するユーザーの多くは、自身のキャリアについて漠然とした不安を抱えていたり、将来の方向性に迷っています。ここで有効なのが「キャリア診断」です。

この診断では、「成長志向タイプ」「安定志向タイプ」「専門職志向タイプ」など、ユーザーの価値観や志向性を把握できます。診断結果のページには、「◯◯タイプに向いている業界・職種のトレンド解説」や「△△タイプが面接で強みを伝えるためのポイント」といった、より深い洞察を提供する記事やガイドへのリンクを配置します。

単なる求人情報ではなく、ユーザー一人ひとりに合わせた「あなただけのキャリア支援」を提供することで、サイトは求人メディアから一歩進んだ“信頼できるキャリアパートナー”として認識されるようになります。

このように、質の高いパーソナライズド情報の提供は、ユーザーのロイヤルティを高めるだけでなく、最終的なコンバージョンへと繋がる重要な一手となるのです。

第2章:コンテンツ資産を最大化する二次活用術

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診断コンテンツは「作って終わり」ではありません。むしろ、そこから様々な形に二次展開することで、その価値を何倍にも高めることが可能です。

限られたリソースで最大限の成果を得るためには、コンテンツの再活用と制作効率の向上が大切です。さらに、診断結果を異なるチャネルやフォーマットで再構成することで、接点を増やし、多様な顧客層へのリーチを実現できます。

本章では、診断コンテンツを起点に、ブログ記事、ホワイトペーパー、動画などへと展開していく具体的な方法をご紹介します。

アイデア1:ブログ記事への展開

診断コンテンツから得られる豊富なデータと知見は、ブログ記事としての二次活用にとても適しています。なかでもシンプルかつ効果的な方法が、各診断タイプを深掘りするシリーズ記事の展開です。

たとえば、金融関連の診断で「堅実家タイプ」と診断されたユーザーに向けて、「“堅実家タイプ”のための資産運用入門」や「リスクを抑えたNISAの活用術」といった、具体的で実践的なアドバイスをまとめた記事を制作できます。

このように、診断結果を起点に、ユーザーそれぞれの特性に合わせた情報を提供することで、診断後のエンゲージメントを継続的に高められます。

さらに、診断コンテンツを通じて蓄積された統計データを活用し、そこから導き出されたインサイトを記事化することも効果的です。

たとえば、「◯◯診断に見る20代の消費動向」や「キャリア診断から読み解くZ世代の仕事観」など、特定の層の行動傾向や価値観を分析した記事は、読者にとって有益なマーケット情報となり、メディアとしての専門性や信頼性の向上にもつながります。

また、こうした記事はSEO対策にも有効であり、検索エンジン経由での新たなユーザー流入をうながす手段としても機能します。

診断コンテンツを起点とした記事展開は、既存ユーザーとの関係強化と新規ユーザーの獲得を同時に実現できる、とても効率的なマーケティング施策といえるでしょう。

アイデア2:ホワイトペーパーへの展開

診断コンテンツによって蓄積されたデータは、BtoBビジネスにおいても高い価値を持つ情報資産です。これらのデータをもとに、専門性の高いホワイトペーパーとして再構成することで、効果的なリード獲得施策へとつなげられます。

たとえば、自社サービスに関連する診断の回答結果を分析し、特定の市場における動向や、顧客の潜在的なニーズを明らかにする市場分析レポートを作成します。こうしたレポートは、企業のマーケティング担当者や経営層が直面する課題に対して、有益な示唆を与える資料として活用されやすく、信頼性の高い情報源として機能します。

このホワイトペーパーを自社サイト上でダウンロードコンテンツとして提供すれば、メールアドレスなどの情報と引き換えに、質の高いリードを効率よく獲得できます。

さらに、ダウンロードしたリードに対しては、診断結果や関心テーマに合わせたパーソナライズされたナーチャリング施策を展開しやすくなり、その後の商談や受注へとつなげる可能性も高まります。

アイデア3:動画シナリオへの展開

診断コンテンツは、視覚的な魅力を活かした動画コンテンツへ展開することで、新たな顧客層へのアプローチを可能にします。なかでも効果的なのが、人気の診断タイプをキャラクター化し、それを活用したSNS向けショート動画や解説動画を制作する手法です。

たとえば、「あなたの隠れた才能診断」で人気のある「クリエイティブタイプ」や「分析家タイプ」といった診断結果を、それぞれの特性を反映した個性豊かなキャラクターとして表現します。

このキャラクターたちが登場するショート動画では、各タイプの「あるある」や悩みをユーモラスに描いたり、ちょっとしたアドバイスを提供することで、視聴者の共感と親近感を引き出せます。

また、解説動画では、各タイプの特徴や強み、向いている働き方などを分かりやすく解説することで、診断コンテンツ自体への理解と関心を深められます。

動画は、テキストコンテンツと比べて拡散性が高く、SNSとの相性も抜群です。特にショート動画は、短時間で多くのユーザーの目に触れる機会をつくれるため、ブランド認知の向上や、新たな診断コンテンツへの流入を促進する強力な武器となります。

第3章:診断の熱量をコンバージョンにつなげるLP

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ユーザーが診断コンテンツを終えた直後は、診断結果に対する関心と「熱量」が最も高まっているタイミングです。それでは、その貴重な瞬間を、しっかりと活かせているでしょうか?

実際には、多くの企業で診断後の遷移先が、汎用的なサービスページや商品一覧ページとなっているケースが少なくありません。その結果、せっかく高まったユーザーの関心が徐々に冷めてしまい、最終的なコンバージョンへとつながりにくくなるという課題が生じています。

本章では、この診断直後の「熱量のピーク」を逃さず、スムーズにコンバージョンへと導くための、ランディングページ(LP)の改善ポイントにフォーカスします。

診断結果に合わせて「動的に変わる」LPとは?

「診断結果に合わせて動的に変化するランディングページ(LP)」とは、従来のようにすべてのユーザーに一律の情報を表示する静的なLPとは異なり、ユーザーごとの診断結果に基づいて、ページ内容をリアルタイムで最適化する仕組みを指します。

たとえば、診断コンテンツで得られた情報(「肌質:乾燥肌」や「キャリア志向:成長重視」など)に応じて、LP上のキャッチコピー、紹介する商品・サービス、掲載するお客様の声や成功事例までもが、そのユーザーに最も響く形で動的に変化します。

具体例として、転職診断で「リーダーシップタイプ」と診断されたユーザーに対しては、「あなたのリーダーシップを活かすキャリアへ」といったキャッチコピーが表示され、管理職向けの求人情報やマネジメント研修プログラムが優先的に紹介されるLPが生成されます。

このように、自分専用に最適化された情報を受け取ることで、ユーザーは「これは自分のためのページだ」と実感し、強い共感と納得感をもってコンテンツに向き合うようになります。

こうしたパーソナライズされた体験は、ユーザーエンゲージメントを飛躍的に高めるだけでなく、コンバージョン率の向上にも直結する強力な施策となります。

構築のポイントと効果

診断結果に応じて動的に変化するLP(ランディングページ)を構築するには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。なかでも最も効率的な手法は、CMS(コンテンツ管理システム)や専用のパーソナライズツールを活用することです。

これらのツールを用いれば、「診断結果がAタイプであれば、このキャッチコピーと商品画像を表示する」「Bタイプであれば、別のお客様の声と関連ブログ記事へのリンクを表示する」といった表示ルールを事前に設定し、自動で最適化されたページを生成できます。

これにより、膨大なLPパターンを個別に制作する手間を省きながら、ユーザーごとに最適な内容をリアルタイムで提供することが可能です。診断コンテンツとLPがシームレスに連携することで、ユーザーは診断直後の“熱量”を保ったまま、次に取るべき具体的アクションへ自然に誘導できます。

こうした動的LPの導入がもたらす効果は大きく、ユーザーにとって「まさに自分のためのページだ」と感じさせる体験は、離脱を防ぎ、エンゲージメントを強化する強力な要因となります。その結果、商品購入・資料請求・問い合わせなど、最終的なコンバージョン率の大幅な向上を期待できます。

たとえば、旅行サイトにおける「あなたの旅のスタイル診断」を活用したケースを考えてみましょう。

「アクティブ派」と診断されたユーザーのLPには、カヤックやハイキング、登山などのアクティビティを中心とした旅行プランが表示され、一方、「リラックス派」と診断されたユーザーには、プライベートプール付きの高級ホテルやスパ体験を中心としたプランが表示されます。

このように、ユーザーの興味や価値観にピタリと合った情報が瞬時に提示されることで、ページへの納得感と満足度が高まり、結果として、購買意欲を最大限に引き出せるのです。

第4章:メール/プッシュ通知で「あなた向け」のコンテンツを自動配信

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診断コンテンツを通じて顧客の興味やニーズを深く理解し、LPでその熱量を高めたとしても、そこで関係が終わってしまっては、せっかくの顧客理解がもったいないですよね。

現代のマーケティングにおいて、顧客との継続的な関係を築き、LTV(顧客生涯価値)を最大化するためには、診断後もパーソナライズされたコミュニケーションを継続することが大切です。

本章では、診断コンテンツで得られた顧客データを活用し、メールやプッシュ通知といったチャネルを通じて、「あなた向け」のコンテンツを自動で配信する戦略について解説します。

診断後の「継続的なコミュニケーション」の重要性

診断コンテンツは、潜在顧客の興味を引き出し、ニーズを可視化するうえでとても効果的なツールです。しかし、そこで得られたリード(見込み顧客)を放置してしまうことは、大きな機会損失につながります。

一度でも診断を受けてくれたユーザーは、自社の製品やサービス、あるいはその周辺にある課題に対して、一定の関心を抱いている状態です。この初期段階の熱量が冷めてしまう前に、継続的かつパーソナライズされたコミュニケーションを展開していくことが、最終的なコンバージョンへとつなげるポイントとなります。

ここで言う「継続的なコミュニケーション」とは、単に情報を送り続けることではありません。診断結果という「顧客理解の入り口」を起点に、一人ひとりの関心レベルや行動履歴に応じて、最適なコンテンツやソリューションを、適切なタイミングで届けていく仕組みを指します。

こうしたアプローチにより、ユーザーは「このブランドは自分を理解してくれている」と感じ、信頼感やロイヤルティが自然と形成されていきます。

このプロセスこそが、診断コンテンツを単発施策で終わらせず、LTV(顧客生涯価値)の最大化につながる長期的な顧客育成の道筋となるのです。

MA(マーケティングオートメーション)を活用した自動化シナリオ

診断後の継続的なコミュニケーションを効率的かつ効果的に実現するためには、MA(マーケティングオートメーション)ツールの活用が重要です。MAツールは、診断コンテンツから得られた顧客データをもとに、パーソナライズされたメッセージを、最適なタイミングで自動配信するための強力な武器となります。

ステップメールの自動化
代表的な活用例が、メールやLINE配信の自動化です。MAツールを活用することで、診断結果に応じてステップメールのシナリオを分岐させられます。

たとえば、コスメサイトで「乾燥肌タイプ」と診断されたユーザーには、次のような流れで情報提供を行えます。

診断完了直後
 「乾燥肌ケアの基本」をテーマにしたウェルカムメールを配信
数日後
 「正しい保湿方法とやりがちなNG習慣」を紹介
1週間後
 「保湿成分の選び方とおすすめアイテム」を案内

このように、診断結果に合わせた実践的な情報を段階的に届けることで、ユーザーは「自分に役立つ情報が届いている」と感じやすくなり、商品購入への意欲が自然と高まっていきます。

プッシュ通知によるタイムリーな再接点
さらに、プッシュ通知の活用も効果的です。MAツールと連携させることで、次のような通知をパーソナライズされた形でタイムリーに配信できます。

「あなたの診断結果にぴったりの新着記事が公開されました」
「〇〇タイプのあなたへ、限定セールのご案内です」

このような通知は、ユーザーの関心を継続的に引きつけ、再訪・購買行動を強力に促す導線として機能します。

MAを活用した自動化シナリオは、手動では実現が難しい規模と精度で、顧客一人ひとりとの最適な接点を創出できます。その結果、顧客の課題解決をサポートしながら、LTV向上やコンバージョン最大化につながるナーチャリング施策の中核となるのです。

おわりに:顧客理解から始まる、次世代のマーケティングへ

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本記事では、診断コンテンツを単なる一時的な施策で終わらせず、その価値を最大限に引き出すための戦略について解説しました。

診断を起点に、コンテンツの二次活用、診断結果と連動したインタラクティブなLP(ランディングページ)、そしてMA(マーケティングオートメーション)を活用したリードナーチャリングをシームレスに連携させる。

これこそが、顧客との継続的な接点を創出し、LTV(顧客生涯価値)を高めていくうえで大切なアプローチなのです。

これからのマーケティングは、ただ情報を発信するだけでは、なかなか成果に結びつきません。

重要なのは、テクノロジーを最大限に活用し、顧客一人ひとりの個性やニーズに寄り添ったパーソナライズ体験を提供すること。その積み重ねが、信頼関係を生み、選ばれ続けるブランドへの道を切り開きます。

今一度、自社の診断コンテンツを見直してみましょう。

一つの診断結果から、どのような「あなた向け」の情報が届けられるか?
どのような体験を通じて、顧客との関係を深められるか?

その問いへの答えを探す旅が、今まさにここから始まります。

なお、当方では様々な診断コンテンツのロジック開発を請け負っております。診断コンテンツの企画・設計から開発・運用まで、診断コンテンツ作成キャリア30年以上の筆者がサポートいたします。

診断コンテンツの活用を検討されている方は、ぜひお気軽にご相談ください。


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