小学二年生になると、あたりまえのことだけど、ちょっとだけせんぱいになれる。「一年生のみほんになりましょう」と竹下先生は言うけれど、ついこの前まで一年生だったんだから、むずかしい。
算数のじゅぎょうで、竹下先生に当てられた。
「じゃぁ次のもんだいは、クボショウタくん」
びくっとして、手のひらからあせがジワッと出てくるのがわかった。教室のみんながぼくの方をいっせいに見て、「あぁ、くぼにはむりだよ」といったあきらめムードがただよっていた。
ぼくたちのクラスでは“クラスたっせいポイント”というナゾのしくみがある。じゅぎょうでだれもまちがわずに答えられたり、休み時間の終わりのチャイムでみんながちゃくせきできていたり、きゅう食が時間までにみんな食べ終わっていたり、そうじをさぼらずに全いんでできたり、たくさんある「とりきめ」をまもれたら、竹下先生からポイントがもらえる。
五十ポイントたまると、じゅぎょう時間のなかからニ十分あそびにしてくれる。この前はグラウンドでドッジボールをした。となりの二組の子たちは「一組っていいよなー」と言っているけど、とんだめいわくだ。
ぼくは勉強がニガテだし、すききらいが多くてきゅう食も時間までに食べ終われない。みんなにめいわくをかけてばかりなので、休み時間はトイレだけにして外に出ずいつでもちゃくせきできるようにしている。そうじもだれよりもまじめに取りくんでいる。せめてもののおわびのつもりなのだ。
クラスたっせいポイントが五十ポイントまであと三つで、なかなかたまらずにいた。じゅぎょうでは、ススムくんがまちがって、みんな「あーあ」とためいきがこぼれた。二時間目の体いくが、うんどう会の行しんれんしゅうで、ラクにポイントをゲットできた。四時間目の算数ではうんよく、ぼくとススムくんには当たらなかった。ススムくんはぼくよりもべんきょうがにがてで、体が小さくてリョウスケくんたちにからかわれている。
ともかく、あと一ポイントというところで、きゅう食となった。牛にゅうは、さいきんはのめるようになってきた。コッペパンはだいじょうぶ。きょうのメインは、チンジャオロースだ。お母さんに、できるだけきゅう食とおなじメニューを作ってもらっている。きゅう食のこんだて表をもらうと、お母さんとニガテなものをえらんで、じぜんに食べてトレーニングしている。
お姉ちゃんは「ばっかじゃないの」とあきれている。近いうちにきゅう食で出されるメニューを家で先に食べるなんて、そんした気分ってことだもの。
チンジャオロースはピーマンとたけのこ、ぶた肉が使われている。ピーマンがニガテだけど、たけのこやぶた肉と一緒に食べれば、にがさもやわらぐ。きゅう食当番はリョウスケくんだった。
「ピーマンたっぷりいれてやるぜ」とぼくがピーマンぎらいなのを知って、たけのこ・ぶた肉少な目、ピーマンどっさり、入れてきた。
家のチンジャオロースとちがって、きゅう食はうす味だから、ピーマンのにがみが口の中に広がる。はんごとに向かい合わせで食べていると、前の中島さんや山田さんは食べ終わっていた。右となりのススムくんとぼくは、ピーマンだらけのチンジャオロースにくせんしていた。
「ススムくんもピーマンニガテなの?」と聞くと
「そうなんだ。リョウスケくんにたっぷり入れられて」
ススムくんのおかず皿には細長いピーマンがかたまりになっていた。
ススムくんの方があと少しで食べ終わりそうだった。
ニ十五分たつといったん「ごちそうさま」をする。先生は「きゅう食でたっせいしたら、五時間目のあとあそび時間ね」と言った。みんなは、ぼくとススムくんをジロリと見た。
みんなは校ていで、ドッジやサッカー、おにごっこであそんでいる。竹下先生が、ぼくたちに「あと、十分だよ」とタイムリミットをつたえる。
ひる休みは、ほかのクラスでもぼくたちみたいに教室できゅう食を食べている人がいる。だから、教室ではあそべなくて、みんな校ていに行く。みんなが、いっせいにもどってくるから、ろう下がこんざつする。そのせいで、ひる休みのちゃくせきポイントはゲットできない。
そうなると、あと一ポイントは、「きゅう食」にかかっている。ススムくんはあと五分というところで、一気にかきこんだ。そのまま、牛にゅうでながしこんだ。ぼくはさいしょに牛にゅうをのみきってしまったので、ながしこめない。パンも食べきったから、はさんで食べることもできない。
ススムくんが「先に食べ終わってごめんね」となぜかあやまって、食きをかたづけに行った。ぼくだけが一人、ピーマンとかくとうしている。ふだんのりょうなら食べ切れたのに、こんなにたくさんのピーマンはむずかしい。
あと、二分。先生は次のじゅぎょうをじゅんびしている。ぼくのせいで、五時間目にあそびができなくなる。ポイントがなくなるわけじゃないけど、みんながっかりするだろうな、と思うとかなしくなった。
すると、つくえの青いプラスチックの引き出しが、ガタガタとゆれた。
小さなギザギザの声が聞こえた。
「よぉ、そのピーマン、オレが食ってやるよ」
引き出しから聞こえた。先生は「あと一分!」と、大きな声を出した。
「聞こえないのか? 引き出しの中にそのピーマン入れてみな」
またギザギザの声がした。「あと三十秒」先生のカウントダウンが始まる。スプーンでピーマンをアルミ皿のはしの方にあつめて、先生がうで時計を見ているすきに、引き出しの中にピーマンをほうりこんだ。
むしゃ、むしゃ、むしゃ、食べる音が聞こえる。
「うまい!」
「あと十秒」先生がそう言うと同時にぼくは右手をあげて
「食べ終わりました」と言った。
あそびに行かずにトイレから帰って来たススムくんがおどろいた顔をしていた。先生は「やったな! ポイントゲットだ」と言い、少し早くもどってきた女子たちが「やったぁ」と手を取り合って、大さわぎしていた。
五時間目が早めに終わり、ニ十分間のあそび時間となった。同じはんの中島さんと山田さんからは、「時間ないに食べられて、スゴイね」とほめてくれた。二人とも時間ないに食べられているのに、ぼくだとスゴイになるのはなんだかはずかしい。
あそび時間、「水がのみたくなった」と言って教室にもどった。青いプラスチックの引き出しは、ガタガタとゆれていないし、声も聞こえない。ぼくは、引き出しの中にきらいなピーマンをすてただけだ。みんながいないうちに、ピーマンをきゅう食ぶくろに入れにもどってきた。引き出しの中にはきょうか書とノート、ふでばこ。そのすきまに、ピーマンがあるはずだった。でも、ない。あれは、ほんとうだったの?
引き出しのおくの方を見ると、目が二つギョロリと見開いて、ぼくをにらみつけた。目から下に長方形の穴があり、中に白い“は”のようなものがあった。
「なんだよ、まだ食わせてくれるのか?」
引き出しは、目をぎょろぎょろと、動かしてたずねた。
「さっき、ピーマンを食べてくれたんだよね」
「あぁ、あれはうまかったな。にがみのなかに、肉のうまみがしみこんで、サイコーだったよ」
赤いしたが動いている。やっぱり、この長方形の部分は“口”なんだ。
「名前は?」
「人に名前を聞く時は、まず自分から名乗るもんだぜ」
「ごめん。ぼくの名前は、クボショウタ」
「オレは、ツブイカ」
「ツブイカ?」
なんだかイカのお化けみたいな名前だ。
「そうだ、ツブイカだ。とくぎはなんでもスキ・キライなく食べることだ」
「なんでも?」
「あぁ、クボのキライなもの、なんでも食ってやるぜ」
家に帰るとお母さんに「もう、きゅう食のれんしゅうしなくていいから」と言った。お姉ちゃんは「どうしたの?」とふしぎそうに聞いてきたけど、
「もう、ぼくにはスキ・キライがなくなったんだよ」とウソをついた。
「のこしてるんでしょ」とお姉ちゃんはといつめてきた。
「ちがうよ」とまたウソをついた。
お母さんは夕はんのじゅんびをしていて、大根を切っていた。
「どうしてもキライなものは、むりしなくてもいいのよ。でも、食べ物にはかんしゃしないといけないの。いのちをいただいているんだから」
「……うん」
ぼくは小さくへんじをした。
次の日から、きゅう食にニガテが出たら、ツブイカに食べさせた。みんなが食べ終わって、あそびに出てからだ。さすがにバレてしまう。
ニンジン、トマト、ナス、キュウリとチーズ、キライなものはツブイカに食べさせた。トントンと引き出しをノックして、ブルブルとふるえたら、食べる合図だ。先生に気づかれないように引き出しをそっと手前に引く。じゅぎょうが終わったきょうか書やノートは、ランドセルに入れておく。引き出しの中はすっきりしていて、ツブイカが食べやすい。食べている時のツブイカは、それはおいしそうに、目をグリグリと動かして、むしゃむしゃと少し音を立てて食べる。
ツブイカはいくら食べても、おなかがいっぱいにならない。いつも、「なんか食べさせてー」とじゅぎょう中にもおねがいしてくるほどだ。
七月に入りもうすぐ夏休みというころ、プールのじゅぎょうが始まった。ぼくはスイミングスクールにかよっていて、およぎはとくいだ。ススムくんはいつもバタバタとおぼれているようなおよぎ方で、リョウスケくんにからかわれていた。
「なんだよ、ススム! うちの犬の方がもっとじょうずだぞ」
ススムくんはリョウスケくんから水をかけられたり、水の中でけられたり、とイジメられているようだった。
ススムくんとは、とくべつナカヨシじゃない。イジメられているのはかわいそうだけど、へたに助けたら今度はぼくがリョウスケくんにねらわれるかもしれない。
もやもやしながら、一人で下校した。とちゅうでお姉ちゃんに会った。四年生だけど六時間目がない日だった。
「ねぇ、アンタ、きゅうにスキ・キライがなくなったのどうしてよ」
お姉ちゃんのついきゅうはきびしい。道ろの白いせんだけをふみ歩く。落ちたら、今日のオヤツを少しあげるという二人だけのルールだ。
「弱点をこくふくっていうのかな、打ちかったんだよ」
ぼくはウソをついた。ここのところ、ウソばかりついている。きゅう食だってぜんぶツブイカに食べてもらっている。
前を歩くお姉ちゃんがクルリとふりかえって、足を止めた。
「このあそびだってさぁ、私が落ちたらショウタにはわかるけど、ショウタが落ちても私にはわかんないのよ」
「落ちたら、落ちたって言うよ」
「それってさぁ、私がショウタをしんじているってことなんだよ」
お姉ちゃんは時どきむずかしいことを言う。おそらくこのあそびは、後ろを歩く人が正じき者じゃないとダメってことだろう。お姉ちゃんは、ぼくをトンと押して、白い線から落とした。
「はい、ショウタのまけー」
「ずるいよ」
お姉ちゃんの言いたいことは、少しわかった気がする。ウソばかりついてたら、だれからもしんじてもらえないってことだ。走るお姉ちゃんのあとをおいかけながら思った。
夕はんのあと、お母さんとお父さんにそうだんした。ススムくんがイジメられているかも、ってことだ。
「リョウスケくんが、ススムくんにイジワルをしてるってことね」
お母さんは洗いものをやめて、ぼくのとなりに座った。
「だとして、ショウタはどうしたいんだ?」
お父さんはテレビを消して、しんけんな表じょうで、聞いてくれた。
「ススムくんを助けるにはどうしたらいいかなって」
「助けるって、ダメよ。イジメられてる子にかかわったら、今度はショウタがねらわれるかもしれないのよ」
お母さんが大きな声を出して、ぼくをぎゅっと抱きしめた。いいにおいがした。
「でもなぁ、友だちだから。助けてあげるのがいいと、父さんは思うけど」
お母さんとお父さんの意見がまっぷたつに分かれてしまった。となりのへやでゲームをしていたお姉ちゃんがやってきて
「先生にそうだんするのがいいよ」と言って、この話はとつぜん終わった。
朝からはな血がでたので、近くの耳び科に行ってきた。そのせいで、二時間目が終わるころに、おくれて学校に行った。ちょうど中間休みの時間で、ドッジボールでみんながあそんでいた。赤いボールと青いボール、二つ使ったドッジボールだ。この方がスリルがあって楽しめると、リョウスケくんが考えだしたのだ。その分、ほかの子たちがあそぶボールが一つへってしまう。
ススムくんはイジメられているわりに、正ぎ感の強い人で、リョウスケくんに「ボールが足りないから、一つであそんでよ」と言いに行った。後ろで、女子たちがススム君に「ガンバレ」とおうえんしているように見えた。
ぼくは教室に入ってランドセルを置きたかったので、そのあとどうなったのか見てはいない。休み時間が終わる前に、みんなちゃくせきしていた。ポイントのパワーはみんなのいしきをかえる。みんなと思っていたら、ぼくのうしろのせきのススムくんだけいなかった。
中島さんに「ススムくんどうしたの?」とたずねた。
「さっき、リョウスケくんにボールをぶつけられて、ほけんしつに行ったわ」と教えてくれた。一つボールを返そうとしたリョウスケくんが、おもいっきりススムくんの顔をめがけてボールを投げたそうだ。ドッジボールでも、顔面ねらいはきん止なのに、わざとだったらゆるせない。ぼくは、教室をとびだして、ほけんしつに行った。
「あら、めずらしい。クボくんじゃない。どうしたの?」
「おなかがいたくて」
またウソをついてしまった。でもこんどのウソはいいウソだ。ススムくんをしんぱいしてのウソだから。
「あれ、ススムくんは?」
「目にボールが当たったみたいだから、びょういんに行ってもらったの」
ほけんの谷先生がそう言うと、ぼくは
「あれ、もうなおったみたい」と言って教室にもどった。
次の日、ススムくんは目を守る“ガンタイ”というものをつけて登校してきた。ほうか後、水とうを取りにだれもいないはずの教しつにもどると、ぼくの机の近くにススムくんとリョウスケくんがいた。ススムくんは、ガンタイのゴムひもを引っ張られていた。
「イジメはやめろよ」と大きな声で言った。もし先生が近くにいたら、助けてくれるかもしれないと思ってだ。でも、先生は来なかった。
その時、ギザギザの声が聞こえた。
「おーい、ショウタ。このイジワルなヤツ、食ってやろうか?」
ツブイカだ。青い引き出しがグラグラとゆれている。二人には何も聞こえていないようだ。まどに強い風がふきこんで、カーテンがぶわっとふくらむ。ススムくんとリョウスケくんがカーテンにつつまれた。
「ツブイカ! リョウスケくんを、食べて」
やわらかくゆらいだカーテンがまどにピタッとくっついた。ススムくんの目の前にいたリョウスケくんが消えた。僕のつくえから引き出しが少し出ていて、ツブイカの白いはが、ちらっと見えた。
リョウスケくんがとつぜんきえた。ススムくんはぼくに近づいて
「きみの、そのつくえの、引き出しがやったんだろ?」と言った。
ススムくんは、ツブイカのことを知っていた。ぼくが今日もきゅう食のナスを食べさせたのを見たと言った。こわくなってぼくたちは家に帰った。
リョウスケくんがいなくなって、学校は大さわぎになった。けいさつもやってきたと、お母さんから聞かされた。夕はんのハンバーグを食べながらお姉ちゃんが
「アンタ、なんか知ってんじゃないの?」とこわい顔をして言った。
「しらないよ」とぼくはまたウソをついた。ツブイカが食べたって言ってもしんじてもらえないし、いやちがう。しんじてもらえない、って思うのはお姉ちゃんにいっぱいウソをついてきたからだ。ぼくがわるいんだ。
大スキなハンバーグなのに、あまり食べられずにいて、なみだがぼろぼろとながれてきた。
お母さんがやさしい声で
「ちゃんと、話しなさい」と言った。ぼくは、おはしをおいて、しょうじきに全ぶ話した。
ツブイカは引き出しのオバケで、ツブイカにきゅう食をたべさせてきたこと。今日のほうか後、ススムくんをイジメているリョウスケくんを食べさせたこと。でも、そんな話をお母さんはしんじてくれなかった。お姉ちゃんも「こんなときにウソはダメだよ」とあきれた声で言った。
次の日のほうか後、だれもいない教しつでススムくんとぼくはツブイカにリョウスケくんを返してと頼んだ。
「イヤだね。だって、キライなんだろ。アイツのこと。オレはショウタのキライなものをかわりに食べて消してやってるだけだよ」とろう下に聞こえるほどの大きな声で言い返された。
「リョウスケくんは、ぼくたちの大せつな友だちなんだ。そりゃぁ、イジワルだし、らんぼうものだし、キライなところもあるけど。消えてほしいわけじゃない。そうだろ、ショウタくんも同じだろ?」
ススムくんの目からなみだがぽろぽろとこぼれた。右目にピタッとくっついているガンタイからも、なみだがあふれていた。
「ショウタはどうなんだ? リョウスケのことキライなんだろ? 消えたほうがいいよな?」
ツブイカは白いはが見えるくらいに大きな口をあけて、ギョロリとにらみをきかせて僕にたずねた。しょうじきに言わなきゃ、ウソはもう言わない。
手をぎゅっとにぎりしめて、ゆうきをふりしぼった。
「リョウスケくんのことキライだけど、キライだけどなかよくする方ほうを考えたいと思うんだ。キライなものだって、これからはちゃんと食べたい」
「また、ウソじゃないのか?」
「ウソじゃない!」
閉めていたはずの窓があいていた。カーテンがパタパタとゆれる。また大きくふくらんだ。
「ウソはついていいときもあるんだ。だけどな、ウソばかりついていると自分の気もちとか考えていることとか、わかんなくなるからな。あと、だれからもしんじてもらえなくなる。よくおぼえておけ」
ツブイカは大きな目をとじて、口をめいっぱい開いた。
「んんぐうぐうううぁ、うぁッ」
そう言うと、リョウスケくんがツブイカの口からはき出された。
ススムくんはあわててほけんしつの谷先生をよびに行った。リョウスケくんは「なに、オレ、ねてたの?」と聞いてきた。
ぼくは、リョウスケくんに「ごめんなさい」とあやまった。あやまってすまないとも思うけれど、これしかできなかった。そのあと、竹下先生もやってきて、おくれてリョウスケくんのお母さんが泣きながらかけつけた。
ぼくとススムくんは、とくにおこられることもなかった。リョウスケくんが「オレもわるかったしな。ススム、ごめんな」と頭をさげた。
夏休みがあっという間に終わって、二学期が始まった。プールのじゅぎょうで、リョウスケくんはススムくんにおよぎ方を教えていた。
「こわがらずにさぁ、まずはうくことをいしきして」
ススムくんはニガテに立ちむかっていた。
ぼくはというと、夏休みにお母さんにおねがいして、スキ・キライこくふく作せんをじっ行した。ピーマンやニンジン、ナスなどキライな野さいを食べまくった。キライはそうかんたんにスキにはなれなかったけど、大しんぽだとお母さんとお姉ちゃんは言ってくれた。
ニガテな勉強はお父さんとお姉ちゃんに教えてもらった。
「字をていねいに書くといいよ」とお父さんが教えてくれて、じっ行した。自分の字が読みにくくて、何を書いたかよくわからなかったんだと気づいた。いっぱい本も読んだし、実は夏休みにススムくんとリョウスケくんとで虫取りにも行った。ススムくんがクワガタをつかまえて、さわらせてもらった。
引き出しのなかには、もう、ツブイカはいなかった。