妖精の国の猫ちゃん
どらぽん
妖精の国がありました。
そこへ、一匹の猫ちゃんが迷い込みました。
「あら、可愛いのね」
猫はそう言われても分かりません。ただ、ニャーと、鳴きました。お腹が空いているんでしょうか? それとも淋しいんでしょうか?
妖精たちは困ってしまいました。しかし、困ってばかりもいられないとばかり、えーいと、魔法をかけました。
妖精たちは魔法という不思議な力があるのです。
その不思議な力で、猫ちゃんは人間になりました。
「あらら? あたし、にんげんだわ」
猫ちゃんは言いました。猫ちゃんは、可愛い人間の女の子になりました。
猫ちゃんと妖精は、仲良く暮らしました。
そこへ、乱暴者のにんげんたちが、おしよせてきました。
「やい、オレの猫をどこへやった! 」
猫ちゃんの女の子は、かくれてしまいました。どうやら、いやがっているようです。
「飼い主がきたのに、かくれるのか」
いじわるを妖精が言うと、猫ちゃんは、おびえてしまって、こわくて、いまにも泣きそうです。
そこで、腕じまんの妖精がいく人もあらわれて、乱暴なにんげんをやっつけました。
やっつけられたにんげんは、猫にされてしまいました。魔法という不思議な力によるものです。
乱暴者は、猫にされて、人間の世界に戻されました。
「少しは、頭を冷やすがいい」
そう言うと、妖精たちは、「やあ、よかったなあ」猫ちゃんと、に言うと、猫ちゃんは、いつも以上の笑顔を妖精たちに注ぎました。耳がつんと立ったらなあ、ひげをぴくぴくさせられたらなあと、うれしさのあまり、猫ちゃんは、にんげんの姿なのに思うのでした。
「戻りたくないかい。人間の世界に」
また、いじわるなことを、妖精の一人がきくと、もう戻りたくないと、言わんばかりに、猫ちゃんは、首をぶるぶる振るのでした。
それを見て、妖精たちみんなが笑いました。
けれども、妖精の国にいられるのは、そう長くはいられないのが決まりなのでした。
猫ちゃんも、にんげんの姿から、猫の姿に戻らなければなりません。
魔法とは朝日の輝きと夕日に似ていて、妖精たちはそれを知っていて、猫を助けたのです。猫の寿命と、妖精の寿命とでは、朝顔の花のほんの一瞬と、桜の木の一生ほどにちがうのです
妖精は、同情だけでなく、猫ちゃんの愛くるしさに魅入られたようです。夕ご飯にお魚の、尾頭付きがでたときの、大喜びする猫ちゃん。妖精の長老様にジャンプして、ハイタッチしたのには、今でも猫ちゃん話の一つです。
猫ちゃんは悲しくて、泣いて、妖精たちに助けを求めるのですが、妖精たちは、首を振るだけです。
妖精たちも、悲しそうでした。目頭を熱くさせていました。
そこで、猫ちゃんに、また、乱暴な人間が飼い主にならないように、いい飼い主が見つかりますように。と、魔法がかけられました。
しばらく、でいいんです。魔法がかかるのは、せめて、飼い主が見つかるまでは。と、それは、切ない願いでした。誰にとってもね。
猫ちゃんは、猫の姿に戻り、人間の世界に行きました。
いつも以上に、お腹が空いて、死にそうだと、訴えているようでした。いいえ、お腹が空いるんじゃないそう言いたげでした。
猫ちゃん。猫ちゃん。妖精の子どもたちが、泣いてしまって、猫ちゃんを見送り続けました。
さあ? あなたの家に暮らす、猫ちゃんは幸せかしら?
どこから来たの? て聞いてみるといいよ。もしかしたら、妖精の国からきたのかしらね?
猫ちゃん、今は人間が好きかなあ?
今でも、妖精の国に帰りたいかなあ?
おしまい