【連載小説】第24話 運命という甘い罠

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人が人に惹かれるのって
『この人だ』と理屈抜きで何かを感じるのだと思う。
それがもし運命の人だったら何の支障もなく、気づくといつも一緒にいることになるだが、、、

『ねえ、運命って信じる?』
『運命?分かんないけどなんか信じたい気がする』
萌は拓海の腕の中でスローなリズムに合わせて踊っていた。
回りにはかなりの人がいるはずなのに萌には拓海の肌の温かさと
微かに香るコロンの匂いだけに包まれていた。
そしてこの時間がこのまま止まって欲しかった。

『萌ちゃん僕、出会ったの運命だと思わない?
僕は萌ちゃんと会った瞬間から運命を感じるんだ』
『運命?』
と萌はささやくように言った。
『それで僕達は恋人同士になるのさ』
『まだ知り合ったばかりなのに』
『ひと目惚れってやつかな』
『私でいいの?今日だって綺麗な人たくさんいるのに』
『他の誰でもなくて、俺は萌ちゃんだけしか見えないよ、
ほら目を見てごらん、本気だって分かるだろう』
と拓海は萌の肩を両手で抱きながら目を覗きこんだ。
萌は魔法にかかったように全身から力が抜けて
その場に崩れ落ちそうになるのを必死で耐えた。
萌は私も拓海さんに会った瞬間から忘れられなくなったって内心思ったが
声がでなかった。

その2人をじっと見つめている1人の男性がいた。
智史は拓海の性格を知っていたので
まだ高校生だというゲームセンターにいたあの子が
なぜか心配で仕方がなかった。
拓海の性格は奔放に出来ていて
女性との関係もその場限りで何人もの女性が傷ついて泣いたことかしれなかった。
今日もその毒牙にかかるのかと思った瞬間、
胸の奥がざらついた。
力強く握った手のひらに爪が食い込み、白くなる。
気づくと智史はホールへと歩きだしていた。

『おい、拓海ちょっと話があるんだ』
『よう智史、何だよ、まだ曲は終わってないぜ』
『いいから来いよ』
と智史は無理やり拓海を店の外まで連れ出した。
その場にぽつんと残された萌はどうしたのかと呆然とした。
『拓海、まさかあの子を騙すのか?』
『智史君、騙すはないだろう。愛を語っていただけさ』
『お前に愛を語る資格があるのか、今まで何人の女を騙せば気が済むんだ』
『ちょっと待てよ、俺がいつ騙した?女のほうが勝手に俺を好きになって去るだけだろ。
何そんなにむきになるんだよ、さては?』
と拓海はにやにやしながら言った。
『おいおい勘違いしないでくれ』
『今まで俺が何してもそんな言い方したことないだろう。
あの子が気に入ったか?』
『俺が言いたいのはあの子はまだ高校生だろ、そんな子供放っといてやれよ』
『はい、はい、そうしますよ。今日のところはね』
と拓海は両手を上げて降参したような仕草をしたがそんな簡単に引き下がるはずもなかった。

『ごめん、待たせたね』
『ううん、どうかしたの?』
『いや、ほらあいつも昨日も一緒だったろ、萌ちゃんのこと気になるみたいで
今度紹介しろってうるさくてさ』
『そうなの?』
『彼女は俺のものだって言ってきたからね』
拓海はまた甘い笑顔で萌を包んだ。

少し離れた場所から智史の鋭い視線は拓海の背中に刺さっていた。
なぜ自分がこんな顔をしているのか、
智史自身にも分からなかった。
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