「得意なことを伸ばす」と聞くと、あなたはどんなイメージを持つでしょうか。新しいスキルや知識を習得するために努力するのはもちろんですが、自分の本来の資質(生まれ持った強み)を理解し、それを活かす方法を見出すことが、実は長期的な成長への最短ルートになることも多いのです。なぜなら、人は誰しも強みを伸ばすほうが、弱点を克服し続けるよりもモチベーションや成果につながりやすいから。
この「自分の資質を知り、強みに変えていく」アプローチをサポートするツールの一つが「ストレングス・ファインダー」です。米国Gallup社が提供する診断ツールで、人がもつ才能の傾向を34の資質に分類し、そのうち上位に位置するものが特に強い資質(才能)だとされています。
今回は、その34の資質の中でも「コミュニケーション」にスポットライトを当て、ビジネスパーソンがこの資質をどのように活かし、さらに強化していくかを考えてみます。あなたが「コミュニケーション」資質を上位に持つ場合はもちろん、普段から言葉を使って仕事をする人や、もっと自分の思いを周囲に伝えたいという方にとっても、多くの学びを得られるはずです。
1. 「コミュニケーション」の特徴
ストレングス・ファインダーで「コミュニケーション」の資質が高い人は、言葉による表現力が豊かで、まわりの人の興味や関心を引くことに長けていると言われています。明確でわかりやすいメッセージを発信する、場を盛り上げる、感情を言葉でうまく伝える――こうした能力は、一見すると「天性の才能」に見えるかもしれません。しかし実は、この資質をさらに磨いていくことで、ビジネスや人間関係において圧倒的な強みになるのです。
1-1. 言葉で相手を惹きつける才能
「コミュニケーション」資質が高い人は、話すことや書くことに喜びを感じる傾向があります。単に情報を伝えるだけでなく、伝えたい内容を「ストーリー」や「ビジュアルイメージ」を絡めてわかりやすく表現するのが得意。たとえばプレゼンテーションの場面では、データや理論だけでなく、自身の経験や感情を交え、周囲の興味を一気に引き寄せる力を発揮します。
1-2. 相手との共通言語を素早く見つける
「コミュニケーション」資質の高い人は、相手がどのような言葉で話すか、何に興味を持っているかを自然に察知し、自分の伝え方を微調整するのが得意です。専門用語を一般的な言葉に置き換えたり、たとえ話を多用してイメージを共有したりするなど、相手と同じ「言葉のレイヤー」に立つことでスムーズな会話を生み出します。
1-3. 感情を言葉にしてリーダーシップを発揮する
人の心を動かすのは「感情」だと言われていますが、それをうまく言葉にするのは意外と難しいもの。コミュニケーション資質の高い人は、この「言語化」が巧みです。たとえば、チームが苦境に立たされているときにも「ここが踏ん張りどころだよね。みんなで乗り越えたらきっと成長できるよ」といった励ましを的確に伝え、チーム全体の士気を高められます。こうしたポジティブな言語化ができる人は、自然に周囲から頼りにされ、リーダーシップをとる場面でも力を発揮しやすいのです。
2. 「コミュニケーション」を本当の強みに進化させるためには
「コミュニケーション」は生まれ持った才能の一つとして、ある程度は自然に発揮されます。しかし、より意図的に磨いていくことで、ビジネスシーンやプライベートでも強力な武器として活かすことができます。ここでは、そのためにおすすめしたい行動や思考について、少し意外な角度からご紹介していきます。
2-1. “聞き手”に回る機会を増やす
コミュニケーション資質が高い人は、どうしても「話す側」に立ちやすい傾向があります。自分の思いや情報を伝えることが楽しいからこそ、ついつい話しすぎてしまうこともあるかもしれません。
しかし、相手の反応や心情をくみ取りながら自分の伝え方を調整するためには、“聞き手”としてのスキルを高めることが不可欠です。たとえば、何か問いかけを受けた際に、すぐに答えずに「どう思う?」と相手に返してみる。あるいは、沈黙を恐れずに相手が話し出すのを待ってみる。こうした工夫をすることで、会話はより深く、相互理解のレベルが上がります。
2-2. “伝える手法の幅”を広げる
「コミュニケーション」資質の人は、言葉を用いた直接的なやり取りが得意ですが、ビジネスの現場ではプレゼン資料、メール、チャットツールなど、多様な媒体を通じた情報伝達が求められます。また、オンライン会議が当たり前の時代には、対面とは異なる工夫も必要です。
たとえばオンライン会議なら、テンポや抑揚を意識した言葉選び、見やすい資料づくり、適切なタイミングでのチャットフォローといった多角的なアプローチが求められます。音声や文字、ビジュアルを複合的に使いこなすことで、あなたの「伝え上手」スキルはさらに飛躍するでしょう。
2-3. “ストーリーテリング”を意識した学習
「話がうまい」「わかりやすい」と評価される人ほど、ただ単に言葉数が多いわけではなく、要点を絞りつつドラマチックに語る「ストーリーテリング」の技術に優れています。特にビジネスの場面では、情報はどれだけ整理されていても、相手の心を動かす「物語」がなければ単なる事実の羅列に終わってしまいがちです。
おすすめは、自分の過去の経験や失敗談をあえてストーリー化し、そこに共感や学びを誘発する“フック”をつけて語る練習をすること。朝礼や社内ミーティングの短いスピーチなど、周囲に小さなストーリーを披露する機会があれば積極的に活用してみてください。話すたびに、自分の伝え方のクセや、相手の反応を学習していくと、日々少しずつ“ストーリーテラー”として成長できるはずです。
2-4. 他の上位資質との組み合わせを意識する
ストレングス・ファインダーで上位に来る資質は、一つだけではなく複数存在します。そしてあなたが持つ他の資質と「コミュニケーション」がどのように組み合わさるかによって、強みの現れ方は大きく変わってきます。
たとえば「着想(Ideation)」資質が高い場合
アイデアを伝えるときに、言葉選びや比喩表現がいっそう独創的になる。新しいアイデアをわかりやすくプレゼンし、周囲を巻き込みやすくなる。
たとえば「共感(Empathy)」資質が高い場合
相手の気持ちを感じ取る力と、伝える力が掛け合わさって、感情に寄り添ったコミュニケーションが得意になる。相談役として周りに頼られやすくなる。
たとえば「最上志向(Maximizer)」資質が高い場合
より完成度の高い伝え方を求めて、言葉選びにこだわり、表現を磨き込む。洗練されたメッセージで人を動かす力が生まれる。
こうした組み合わせを意識しながら、自分独自の「コミュニケーションの強み」をさらに伸ばすためのヒントを探ってみると良いでしょう。
3. もっと深く自分の強みを理解するために
「ストレングス・ファインダー」の結果は、私たちの資質を上位から下位まで示してくれますが、それはあくまで“入り口”に過ぎません。本当に知りたいのは、「なぜその資質が強いのか?」「他の資質とどう絡み合って、自分だけの強みを発揮しているのか?」という点です。
「自分の強みをもっと活かしたい」と思ったら、Gallup認定ストレングスコーチからのサポートを受けるのもおすすめです。コーチは、あなたの資質の組み合わせを深く掘り下げながら、ビジネスやライフスタイルの中でどう活用していけるかを具体的に導き出す手助けをしてくれます。
「コミュニケーション」は人によって現れ方が違います。明るくノリよく場を盛り上げるタイプもいれば、じっくり言葉を選びながら要所で的確に指摘するタイプも。自分だけのパターンを見つけ、その長所が真に活きる場面をつくっていくのが、ストレングスコーチの醍醐味ともいえるでしょう。
あなたの「コミュニケーション」が、単なる話し上手というレベルにとどまらず、人と人をつなげ、新しい価値を創造する原動力となる――そんな未来をつくるために、今日からできることをはじめてみましょう。