少し大げさに聞こえるかもしれませんが、今回「父親との関係を整理する」という、とても個人的な作業が、実は、もっと大きなところにまでつながっているのではないか、という話をしてみたいと思います。
インナーチャイルドの本で読んだこと
「世界平和に貢献する」との発想を持つようになったきっかけのひとつに、インナーチャイルドについて書かれた本があります。その中で、暴力事件や犯罪に関わってしまった人たちの背景として、子供の頃、父親との関係がうまくいっていなかったケースが、よく指摘されていました。虐待のような、はっきりとした形の場合もあれば、そこまで深刻なケースではなくても、父親との関係がぎくしゃくしていたことが、その後の人生に大きな影響を与えているケースも想像されると書かれていました。
もちろん、これはあくまで、本の中で紹介されていた傾向であって、すべてがそうだと言い切れるものではありません。それでも、この話を読んだとき、「逆に、父親との関係についての誤解が解けたら、まずは自分の身の回りが、少しずつ落ち着いてくるのではないか」と思うようになりました。それが、今回のブログを書くきっかけになりました。
無理強いをしない
僕は、自分の子供と話をするとき、基本的に無理強いをしません。相手がやりたいことを否定せず、「なぜそう思うのか?」と、理由を聞くような形で話すことが多いと自分では思っています。もっとも、この聞き方は、「すぐどうしてかと聞いてくる」と子供達からは言われるので、子供達からすると、うっとうしいらしく、嫌な顔をされることもあります。
それでも、こうした話し方は、以前ブログでも書いた、父ちゃんの答えを直接与えず「質問を投げかける」というやり方と、よく似ています。父ちゃんとの関係の中で自然と身についた型・パターンが、今、自分の子供との関係の中でも、そのまま現れているのだと思います。
解釈が増えることで冷静になれる
父ちゃんとの関係を、こうして文章にしていく中で、もうひとつ気づいたことがあります。
子供の頃に自分が抱いていた、父ちゃんの行動に関する解釈と、今、あらためて振り返ったときの解釈が、まったく違っていることがよくあります。当時は「怖い」「理不尽だ」としか思えなかった行動でも、今振り返ると、二つ、三つと、別の見方ができることがあります。
この「ひとつの出来事に、複数の解釈を持てる」という感覚は、妻や子供と話すときにも、そのまま活きています。相手の言動を、一方的な決めつけだけで判断せず「別の見方もあるかもしれない」と、複数の可能性が思い浮かぶと、自然と、冷静に対応できるようになってきた気がします。
頭だけでなく、体もほどける
これは、実際に、紙飛行機のエピソードを書いたブログを公開したときに、自分自身に起きた変化です。
新聞紙に「オムライス」とだけ書いて飛行機を飛ばし、父ちゃんがそれを確認したのを見届けてから、兄と一緒に「オムライスが食べたい!」と叫んで、笑いながら部屋に戻っていった、あの場面を思い出したとき、懐かしさと同時に、体がふっと緩む感覚がありました。肩の力が抜けて、体がほどけていくような感覚です。
これは、頭で「理解できた」「整理がついた」と分かるのとは、また別の変化でした。記憶を文章にし、あらためて見返すことで、頭だけでなく、体のレベルでも、緊張がゆるんでいったのだと思います。
この「ホッとして、体がほどける」感覚を、一人ひとりが自分の中に持てるようになったら、どうなるでしょうか。
家庭から職場へ、そして社会へ
こうして、家庭の中で、ある程度落ち着いて、子供や妻と話ができるようになってきたことを、もう少し大きなスケールで想像してみたいと思います。
もし、この「相手の立場を複数の解釈で冷静に想像する力」が、職場や友人関係など、家庭の外にも広がっていったら、どうなるでしょうか。落ち着いて対人関係を築ける人が増えれば、その輪は、少しずつ広がっていくはずです。そして、穏やかに相手の立場を想像できる人が増えていくことが、いずれは、世界平和にもつながっていくのではないか。そんな発想が、今回のブログを書くきっかけとなっています。
ひとりの力は小さいけど
もちろん、自分ひとりが冷静になったところで、世界が変わるわけではありません。
でも、一人ひとりが、目の前の相手に対して、一方的な見方だけでなく、複数の解釈を、冷静に持てるようになったとしたら、どうでしょうか。相手を単純に「敵」とか「理解できない存在」と決めつけることが減っていけば、暴力という手段に訴える必要そのものが、少しずつ減っていくのではないかと思います。
すべては「初めての他人」との関係から
人生で最初に出会う他人である、父親との関係にまつわる誤解が解け、父親の本心や、本当の意図が理解できるようになる経験ができると、その力は、次に出会う第三者 — 職場の人や、友人 — との関係にも、応用が利くようになっていくように思います。
そうやって、一方的な決めつけではなく、複数の解釈を持って、冷静に相手を理解しようとする人が、一人、また一人と増えていけば、社会全体の雰囲気も、少しずつ変わっていくのではないでしょうか。
「父親との関係」について整理が進むと、めぐりめぐって、社会や世界にまでつながっていくように思えます。そう考えると、この作業には、思っている以上の意味があるのかもしれません。
サービス内容で公開している18の質問には、こうした「父親との関係にまつわる誤解」を解きほぐすための問いも含まれています。ご自身の記憶をたどってみると、思いがけない発見があるかもしれません。
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