私は一度だけ、ゆきずりの男と肌を重ねたことがあります。
興味があって、年齢に追い立てるような世間の言葉に負けてしまったのです。
愛のないまま行うその行為とは、こんなにむなしい物かと思いました。
それから、もう男はいいと思いました。
軽々しく、「彼氏が欲しい」と口にするのは止めました。
お節介を焼く人には、結婚は「いつか、してみたい」とは言います。
でも、相手は自分で選ぶと決めている私の気迫に負けるのでしょう。それ以上はもう、なにも言ってこなくなりました。
貴方が私のために貞操を守っていたらどうしよう。
私はそれで思い悩みました。
でも、モテモテで実は……いや……。
貴方が問題ではないのです。
私が処女ではない。と言う事実は消えないのです。
本当になんて馬鹿なことをしてしまったのか。
その直前まで、それを守っていこうと決めていたのに。
二十歳の時、アルバイト先の先輩の女性に、「守っておきなさい」と言われ、その言葉を大切にしていたのに。
私は貴方だけではなく、その先輩までも裏切ってしまいました。
貴方はそれでもいいんだ、と。
「私の過去のすべてを知って」私を選んで下さったのだ、と。ある日気が付きました。
だから、それについて泣くのは終わりにしました。
でも、事実は消えないのです。
私は、貴方が浮気をしても責められません。
ごめんなさい。ちょっと、泣かせてください。