私の絵本の作り方

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 梅香る頃、皆さま、いかがお過ごしでしょうか?



 私は、1冊目の絵本をお客さまのもとへ、届ける事が出来ました。




 今日は、改めてお客さまとの絵本の作る流れについて、お話したいと思います。




 主人公は、プレゼントするお子さんのお名前と同じ名のウサギです。





 まずはじめに、私の絵本作りでは、お客さまとのコミュニケーションから、制作が始まります。最低でも、絵本を贈られる方の「好きなモノ3つ」はお聞きして、絵本の要素に取り入れていきます。



 絵本を作るうえで、一番難しいのがストーリーの展開です。どんなお話にするのか、何ページにまとめるのか。ページによっても制約が生まれるので、ストーリーの起承転結が試されます。



 今回のご依頼では、お客さまと、事前に通話でのヒアリングが出来たので、言葉のやり取りが多くあって、絵本にする手がかりがたくさんありました。お子さんが、4月から入園するという事、初めての家庭以外での生活を経験するというお話を伺いました。また、好きな動物はウサギという事でした。この会話で、ウサギをお子さんと重ねて、同じ名前にして物語の中で、外の世界に出る事を冒険に仕立てようと思い立ちました。




 ストーリーの作成に、1週間以上はかかります。ヒアリングしたお客さまの「好きなモノ」のかけらを踏まえながら、あれこれと組み立てていきます。難所なのが、指定のページ数にまとめて、話を完結させる事です。どうしてもご予算の関係もありますし、ページが多ければ良いというのでもありません。なんとかご指定の6ページで、お話を作り上げる事が出来ました。



 お話が出来たら、いよいよ絵本の絵に取り掛かります。
 まずは、下書きです。
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 鉛筆を使って、白紙の絵本に下書きをしていきます。今回は、透明水彩絵の具での着彩なので、鉛筆の線をしっかり活かせるように集中して描きます。





 下書きが終われば、透明水彩絵の具での着彩です。これに一番時間がかかります。透明水彩絵の具は、色を重ねて深みを出していく画材なので、そのプロセスも大事になります。




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 これが軽く一度塗った様子です。これでもいいんじゃない?と感じるあなた、もう少し経過を見てください。





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 さらにはっきりと見えてきました。背景の色を重ねることで、綺麗にオレンジとピンクが発色してくれました。鉛筆の線を足したり、手前の手の表情をはっきりさせて、絵の完成です。





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 最後は、本文を書きこんで仕上げです。絵の具で全体を塗っているので、下書きなしの一発勝負です。ある意味、絵本に仕立てる中では、一番緊張する瞬間なのではないでしょうか。




 ご紹介した流れのページは、冒頭から2ページですが、一番お気に入りのシーンの過程もぜひご覧ください。クライマックスの、冒険の途中で、偶然に目的のお花を見つけるという場面。花はもちろん、花が咲いている空間に一番神経を注ぎました。



1.下書き後の一度塗り
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2.さらに色を重ねて、花や空間の輝きを引き出します。
 影を付けたことで、奥行きも出て世界観がさらに増しました。
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3.最後に本文を書きこんで、完成です。
 鉱脈を見つけたイメージなので、その満ちた光が伝わればと思いながら描きました。
さくらちゃん絵本制作008.jpg







 いかがでしたか?



 今回は、絵本の作り方の流れという事で、簡単にご紹介しました。実は、絵よりもお話が一番苦労しているんですが、そのあたりの内容は、次回のブログで詳しくおはなししましょう。



 モニターでは、なかなか実物の色が伝わりづらいかもしれませんが、透明水彩絵の具で塗った色はとても綺麗なんです。少しでもお楽しみいただけたら、幸いです。




 今日のお話はこの辺で。また、私とおはなししましょう。


Copyright 2022 Chihiro Egoshi




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